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ミネアは、タンジア王子の周辺から離れることはなかった。
(いつ、なんどきカリューシャが襲ってくるかわからない。。もしかしたら、浴室にいるときにくるかもしれない。。)
そう思うと、不安になり、タンジア王子が入浴中でも、天井裏からこっそりとタンジア王子を見張っていた。
タンジア王子は、ミネアがすぐ側で護衛をしていることが、わかっていながらミネアと挨拶一つ交わせないことがジレンマであった。
(なんとかして、アピールしなければ。それでなくても、私はミネアに冷たい態度をとってばかりいる。。)
タンジア王子にとって、ミネアは初恋であり、初めての恋に、どのように接したらわからず、好きな子をいじめてしまう幼稚な男の子がするような態度をとってしまっていた。
朝は唯一、タンジア王子がミネアと顔を合わせて話せる時間である。
ミネアは、タンジア王子が起床すると、
「王子、今日もランビーノは、カリューシャを追跡するほうに回っています。私が、王子の護衛を致しますので、よろしくお願いします」
そう言って、跪いて頭を下げる。ミネアにとって、王子は階級としては天の上の人だった。王子を敬い、常に頭一つ分下げ、決して目を見て話すことはなかった。
「ランビーノがいないと不安だ。あなたで大丈夫なのか」
タンジア王子は、冷たい口調で、心にも思っていないことをつい言ってしまう。
(俺は、なんでこんなこと、言ってしまうんだ。。もっと優しい言葉をかけたいのに)
「ランビーノがカリューシャを追い、捕まえることができれば、ここには来ることはないでしょう。私で不安でしょうが、精一杯勤めます」
ミネアは、タンジア王子の言葉に傷つきながらも、礼儀正しく返した。
(やはり、王子は、あの夜のカリューシャの闘いで、私がカリューシャに敵わないと思っているのだ)
ミネアは、自分自身、カリューシャとの闘いを不安に感じているので、心の中では落ち込んでいた。
(うう。ミネアが暗い顔をしている。これではダメだ)
「ところで、今日は、天気が良く、たまには散歩をしたいと思う」
「散歩ですか。」
「そうだ。久しぶりに、海が見たくなった。城の後ろにある高台まで行く。護衛でついて参れ」
「そんなところまで?人も少なくなりますし、危ないのでは」
ミネアは、カリューシャが襲ってきたらと思うと、できれば城の中、人目の多い場所に王子にはいてほしかった。
しかし、タンジア王子は、ミネアと二人きりになりたかった。もはや、恋が頭を占めてしまい、カリューシャのことなど気にする余地はなかった。
タンジア王子は、強い敵にも勇敢に挑んでいく、勇気ある王子であるが、こういう場合には、危険を顧みれないことが、敵に油断の隙を与えてしまう。
「大丈夫だ。ミネアがいてくれるだろう。先ほど、そう言ったのを、確かに聞いた。そうだ、その黒い服では、かえって怪しまれる。着替えて参れ」
王子は、ミネアの言葉を聞く耳をもたなかった。ミネアと二人で散歩をして、海を見ながら告白をする。王子の頭の中で、湧き上がった計画をなんとか遂行するために、必死であった。
「申し訳ございません。服はこのタイプしか持っておりません。私は、後ろからついてまいります」
ミネアは、一瞬、恥ずかしい気持ちになり、顔を赤らめる。
(王子は、立派な人だ。服も立派で、高価なものばかりだ。それに比べると、私は、なんてみすぼらしいのだろう)
ミネアも今年16歳になり、年頃の女であった。小さい頃から、ランビーノに育てられ、服は黒の衣しか持っていない。
〝いいか。剣士は、黒い衣だ。影でいないといけないからだ‘’
ランビーノの教えであった。剣士であるために、ミネアはずっと、黒い衣しか着ていなかった。
「そうか。わかった」
タンジア王子は、頷き、女執事を呼んだ。
「お呼びですか、タンジア王子」
「ああ。すまんが、ミネアに似合う服を見立ててくれ。高台まで、散歩に行く」
タンジア王子は、張り切った口調で命令を言う。
「はい。かしこまりました」
女執事は、姿勢正しく、うやうやしく礼をし、
「では、ミネア様、こちらへ来てください」
と言い、ミネアの手を取り、部屋から連れ出した。
「え?」
ミネアは、起こっていることについていけず、言われるままに執事の後に着いて行った。
(なに?王子は、何をしたいの???)
(いつ、なんどきカリューシャが襲ってくるかわからない。。もしかしたら、浴室にいるときにくるかもしれない。。)
そう思うと、不安になり、タンジア王子が入浴中でも、天井裏からこっそりとタンジア王子を見張っていた。
タンジア王子は、ミネアがすぐ側で護衛をしていることが、わかっていながらミネアと挨拶一つ交わせないことがジレンマであった。
(なんとかして、アピールしなければ。それでなくても、私はミネアに冷たい態度をとってばかりいる。。)
タンジア王子にとって、ミネアは初恋であり、初めての恋に、どのように接したらわからず、好きな子をいじめてしまう幼稚な男の子がするような態度をとってしまっていた。
朝は唯一、タンジア王子がミネアと顔を合わせて話せる時間である。
ミネアは、タンジア王子が起床すると、
「王子、今日もランビーノは、カリューシャを追跡するほうに回っています。私が、王子の護衛を致しますので、よろしくお願いします」
そう言って、跪いて頭を下げる。ミネアにとって、王子は階級としては天の上の人だった。王子を敬い、常に頭一つ分下げ、決して目を見て話すことはなかった。
「ランビーノがいないと不安だ。あなたで大丈夫なのか」
タンジア王子は、冷たい口調で、心にも思っていないことをつい言ってしまう。
(俺は、なんでこんなこと、言ってしまうんだ。。もっと優しい言葉をかけたいのに)
「ランビーノがカリューシャを追い、捕まえることができれば、ここには来ることはないでしょう。私で不安でしょうが、精一杯勤めます」
ミネアは、タンジア王子の言葉に傷つきながらも、礼儀正しく返した。
(やはり、王子は、あの夜のカリューシャの闘いで、私がカリューシャに敵わないと思っているのだ)
ミネアは、自分自身、カリューシャとの闘いを不安に感じているので、心の中では落ち込んでいた。
(うう。ミネアが暗い顔をしている。これではダメだ)
「ところで、今日は、天気が良く、たまには散歩をしたいと思う」
「散歩ですか。」
「そうだ。久しぶりに、海が見たくなった。城の後ろにある高台まで行く。護衛でついて参れ」
「そんなところまで?人も少なくなりますし、危ないのでは」
ミネアは、カリューシャが襲ってきたらと思うと、できれば城の中、人目の多い場所に王子にはいてほしかった。
しかし、タンジア王子は、ミネアと二人きりになりたかった。もはや、恋が頭を占めてしまい、カリューシャのことなど気にする余地はなかった。
タンジア王子は、強い敵にも勇敢に挑んでいく、勇気ある王子であるが、こういう場合には、危険を顧みれないことが、敵に油断の隙を与えてしまう。
「大丈夫だ。ミネアがいてくれるだろう。先ほど、そう言ったのを、確かに聞いた。そうだ、その黒い服では、かえって怪しまれる。着替えて参れ」
王子は、ミネアの言葉を聞く耳をもたなかった。ミネアと二人で散歩をして、海を見ながら告白をする。王子の頭の中で、湧き上がった計画をなんとか遂行するために、必死であった。
「申し訳ございません。服はこのタイプしか持っておりません。私は、後ろからついてまいります」
ミネアは、一瞬、恥ずかしい気持ちになり、顔を赤らめる。
(王子は、立派な人だ。服も立派で、高価なものばかりだ。それに比べると、私は、なんてみすぼらしいのだろう)
ミネアも今年16歳になり、年頃の女であった。小さい頃から、ランビーノに育てられ、服は黒の衣しか持っていない。
〝いいか。剣士は、黒い衣だ。影でいないといけないからだ‘’
ランビーノの教えであった。剣士であるために、ミネアはずっと、黒い衣しか着ていなかった。
「そうか。わかった」
タンジア王子は、頷き、女執事を呼んだ。
「お呼びですか、タンジア王子」
「ああ。すまんが、ミネアに似合う服を見立ててくれ。高台まで、散歩に行く」
タンジア王子は、張り切った口調で命令を言う。
「はい。かしこまりました」
女執事は、姿勢正しく、うやうやしく礼をし、
「では、ミネア様、こちらへ来てください」
と言い、ミネアの手を取り、部屋から連れ出した。
「え?」
ミネアは、起こっていることについていけず、言われるままに執事の後に着いて行った。
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