PMC作ってみた

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体力錬成

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 人材は重要だが、さらに重要なものは、自分自身の体力だと山田は思っている。

 今は、戦闘要員は自分と野村の2人だけだが、本格的に経営に乗り出したならば、もっと人数がいる。

 だが、訓練の施されていない人材を現場に派遣する訳にはいかない。

 きちんと訓練を受けていない人材を派遣するという事は、この業界において最大のタブーだ。

 訓練の施されていない人材を送れば、仕事にもよるが、大抵、失敗する。

 この業界における依頼料は決して安くない。

 高い金を払っておきながら、失敗されたとなれば、依頼主からのクレーム、バッシングはただ事では済まない。

 実績という名の信頼で成り立つこの業界において、失敗は最大の恐怖なのだ。

 失敗が積み重なったら、その会社は潰れる。

 高い依頼料であればあるほど、高いリスクを孕み、危険も多い。

 それらには、暴力団の敵対勢力への襲撃支援や、大手のPMCとなると、警察との共同でデモ鎮圧作戦を遂行、といった物がある。

 そんな依頼を失敗したとなれば、二度とそういった依頼は来ない。

 そういった最悪のケースを限りなく低くするためには、人材育成が必要になる。

 そして、その人材を育成するのは、自分と野村の2人なのだ。

 自分達のように体力に自信がある人材ばかりでは無いだろう。

 自分達のように、元自衛隊だとか、あるいは、元警察だとか言った人材を簡単に確保できるとは思えない。 

 だから、一般人でも戦力になるようにするために、訓練を施すのだ。

 だが、肝心の『教官』の自分達の指導が甘ければなんの意味もない。

 『教官』、と一言でいっても、指導する事は、体力作りだけではない。

 仲間との連携、身体の動かし方、物の考え方、危険を回避したり察知したりするといった、生き抜くために必要な事を教えるのが教官だ。

 陸自で教え込まれた教育は今も、身に染みている。

 もちろん、野村と協力して指導方法を効率的にしなければいけないが、目下の不安の種は、山田自身の体力だった。

 教官の体力が教え子に負けていては、示しがつかない。

 武内物産時代も、休日には、ランニングや筋トレをしていたが、陸自時代と比べれば、お遊びのようなものだ。

 体力が落ちているのは確実だった。

 現役の時は、体力徽章という、体力検定一級で一級を取るともらえるバッジをつけていた。

 一級取得資格は、3000メートル走を10分38秒以内、腕立て伏せを2分以内で82回以上、腹筋を2分以内で80回以上などかなりハードな内容だった。

 他にも、懸垂17回以上、ソフトボール投げ60メートル以上など色々な種目がある。

 現役時代ならなんという事は無かったが、今の身体能力では、無理だった。

 指導方法を研究しなければいけないが、今優先すべきは体力錬成だった。

 武内物産時代から使い続けているジャージを着て、いつものランニングコースを走る。

 以前ならばタイムを気にしなくても良かったが、これからはそうはいかない。

 今の限界を知る為に、本気で走ったが、3キロ、14分49秒だった。

 これにはさすがに焦りを覚えた。

 まさか、ここまで落ちているとは思わなかった。

 せいぜい13分半ぐらいだと思っていたが、これは予想外だった。

 しかし、自宅に帰ってから行った腹筋と腕立て伏せは72回と74回とかなり良かったのが幸いだった。

 しかし、現役時代からは落ちていた。

 だが、山田は頭を切り替えようと思った。

 「何かを始めるのに遅い、などという事は決してない。」

 陸自時代の新隊員前期教育の担当の班長から言われた事を思い出したのだ。

 山田は陸自に入隊した時、小太り気味な体型だった。

 課業後の体力錬成でも周りについて行けず、挙句、陰口を叩かれていた山田にその班長はその言葉をかけてくれた。

 その班長は、山田の体力錬成に自分自身の仕事の合間に付き合ってくれた。

 忙しい教育期間中にそんな事をしてくれる班長はそうは居ない。

 山田は、その日から班長の恩に報いたいがために、がむしゃらになって訓練や体力錬成に没頭した。

 教育期間最後の体力検定では、一級を取得できた。

 そして山田はその日から、こう思うようになった。

 「努力に才能は関係無い。」

 言い訳かもしれないが、今の山田には、この言葉は効果てきめんだった。

 不安が無くなり、やってやる、という気になった。

 問題が起きた時、おどおどして取り組むのと、吹っ切って楽しんで取り組むのでは、雲泥の差が出てくるということを、山田は知っていた。

 その後、トレーニングを再開し、30分後には、風呂に入って、布団に入り、その日を終えた。

 

 

 

 
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