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(まずったな……)
まさか直人と両思いになれると思っていなかったので、とても面倒くさいことになってしまった。とはいえ、玉砕していたとしても、春樹が男性嗜好だと知ればいずれは莉奈も離れていったはずだ。
(あ、そうか)
どうしてこんな単純なことに気づかなかったのか。自分は男性嗜好なのだと莉奈に言ってしまえばいいのだ。そうしたら諦めるはず。こんな簡単なことになぜ気づかなかったのか。
「ははっ」
春樹は左腕に莉奈をくっつけて歩きながら、思わず乾いた笑いを漏らしていた。
「楽しいね、デート」
春樹の笑った声を聞いて莉奈の声が弾む。どうやらいつの間にかデートをしていることになっているようだ。とにかくどこかで話せる場所に移動せねばならない。まだ待ち合わせまで時間があるし、近くのカフェに入ることにした。
「莉奈とカフェに来たいって、春樹くんから言ってくれるの初めて。莉奈うれしい」
向かい合って座った春樹は、とりあえずコーヒーを注文して打ち明けるタイミングを見計らう。
「莉奈、今から大事なことを話すから、取り乱さないで聞いてほしい」
真剣な声のトーンでそう言って、真面目な顔を作る。それで莉奈も何事か、と驚いた顔で固まってしまった。
「莉奈に秘密にしていたことがある」
「え、秘密?」
「俺の好きなやつというか、付き合っているやつな……男性なんだ。彼女じゃなくて彼氏。俺、男が好きなんだ。だから莉奈は二番にもなれない」
春樹の打ち明け話を目をまん丸にして聞いていた莉奈は「えっ?」とひとこと言って再び固まる。その間に注文したコーヒーが運ばれてきた。
「男の人が、好きなの?」
「そう。これから会いに行くのも男で、そいつが彼氏なんだ。わかるか? だから莉奈とは付き合えないし将来もない。わかってくれるか?」
ここまで言ってわかってくれなければもう終わりだ。男性嗜好の男性とどうやって付き合えると、可能性があると思えるのか。今度こそ莉奈は春樹に愛想をつかせて、テーブルの氷の入った水を春樹にぶっかけて出て行くだろう。
まさか直人と両思いになれると思っていなかったので、とても面倒くさいことになってしまった。とはいえ、玉砕していたとしても、春樹が男性嗜好だと知ればいずれは莉奈も離れていったはずだ。
(あ、そうか)
どうしてこんな単純なことに気づかなかったのか。自分は男性嗜好なのだと莉奈に言ってしまえばいいのだ。そうしたら諦めるはず。こんな簡単なことになぜ気づかなかったのか。
「ははっ」
春樹は左腕に莉奈をくっつけて歩きながら、思わず乾いた笑いを漏らしていた。
「楽しいね、デート」
春樹の笑った声を聞いて莉奈の声が弾む。どうやらいつの間にかデートをしていることになっているようだ。とにかくどこかで話せる場所に移動せねばならない。まだ待ち合わせまで時間があるし、近くのカフェに入ることにした。
「莉奈とカフェに来たいって、春樹くんから言ってくれるの初めて。莉奈うれしい」
向かい合って座った春樹は、とりあえずコーヒーを注文して打ち明けるタイミングを見計らう。
「莉奈、今から大事なことを話すから、取り乱さないで聞いてほしい」
真剣な声のトーンでそう言って、真面目な顔を作る。それで莉奈も何事か、と驚いた顔で固まってしまった。
「莉奈に秘密にしていたことがある」
「え、秘密?」
「俺の好きなやつというか、付き合っているやつな……男性なんだ。彼女じゃなくて彼氏。俺、男が好きなんだ。だから莉奈は二番にもなれない」
春樹の打ち明け話を目をまん丸にして聞いていた莉奈は「えっ?」とひとこと言って再び固まる。その間に注文したコーヒーが運ばれてきた。
「男の人が、好きなの?」
「そう。これから会いに行くのも男で、そいつが彼氏なんだ。わかるか? だから莉奈とは付き合えないし将来もない。わかってくれるか?」
ここまで言ってわかってくれなければもう終わりだ。男性嗜好の男性とどうやって付き合えると、可能性があると思えるのか。今度こそ莉奈は春樹に愛想をつかせて、テーブルの氷の入った水を春樹にぶっかけて出て行くだろう。
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