聖女の使命のためだけに生きてきましたが、突然現れた人嫌い勇者さまに溺愛されました

天草つづみ

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ふたりの約束

40.最後の逢瀬(4)※

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「だから、ね……きて……?」

 熱に浮かされているような心地のまま、サフィアは両手をアーサーに伸ばした。

「ああ……」

 アーサーは喉を鳴らして頷くと、はち切れんばかりに勃起した陰茎をサフィアの秘部に当てた。サフィアのそこが、期待するようにちゅう、と先端に吸い付く。アーサーはその感覚に促されるまま腰を進め、ゆっくりとサフィアの中に入っていった。

「あ、あああっ……」
「くっ……」

 アーサーのが自分の中を広げていくだけでサフィアの粘膜が蠢き、逃がすまいと締め付けた。アーサーの性器はそれにびくびくと震え、その感触がまたサフィアの内側に甘い電流を発生させる。全てが入る頃には、アーサーは歯を食い縛りながらぽたぽたと汗を垂らしていた。サフィアが夢でも見ているような瞳で見上げていると、アーサーが目を細めて言った。

「すまないっ……我慢、できない……っ」

 サフィアが頷く前に、アーサーが動き始めた。

「ひっ、う!? あ、あああああっ!」

 アーサーはサフィアの引き締まった腰を掴んで、前回の時とは打って変わってがつがつと腰を叩きつけるように動いた。ぐちゃぐちゃパンパン、ギシギシと、いかにも性行為をしていると主張するような音が部屋の中に響き渡る。初めから太く硬い肉棒で温まり切った内壁をごりごりと擦り上げられ、サフィアの胸が仰け反った。アーサーに突き上げられる度に胸がふるふると揺れ、その先端の赤く熟した果実が空気と摩擦する。その些細な感覚までも、サフィアの身体は性感として受け取った。
 サフィアがなんとかアーサーに視線を向けると、肉に飢えた獣のような瞳に捕らわれた。
 いつもは涼やかな緑色が、今はギラギラと輝いている。相変わらず表情筋はあまり動いていないのにその瞳が彼の中で渦巻く欲と感情を訴えていて、その視線だけでサフィアの背筋を甘く痺れさせた。

「ああ、あ、ああ、あー、さぁっ……!」

 欲しがるように、あるいは命乞いのように名前を呼べば、アーサーは堪らないとばかりにサフィアの後頭部を片手で掴み、噛みつくようにキスをした。

「ん、ん、んんぅ、ん、んん~っ!」

 喘ぎ声も食べられ、サフィアはアーサーの厚い体の下でがくがくと震えた。アーサーはもう片方の手でサフィアの片脚を極限まで開き、腰をぐりぐりと押し付ける。陰茎の先端で奥の壁を捏ねられ、サフィアは体内からくすぐられるような性感に襲われた。身体が逃げようとするが、ベッドとアーサーに挟まれて身動きが取れない。上下の結合部からよだれを垂らしながら、サフィアは身をくねらせるので精一杯だった。

「んんんんんーっ!」

 強制的に押し上げられるように絶頂に達し、サフィアは受け止めきれない性感に涙を零しながら下腹部を痙攣させた。アーサーも精を搾り取ろうとうねる膣壁に息を詰まらせ、何度かピストンして、最奥に白濁を浴びせた。

「ん、ん、ん……はぁ、ん、ぅ……」

 自分の中でアーサーがどくどくと脈打つ感覚にも感じ、サフィアはアーサーと舌を絡ませたまま甘く喉を鳴らした。射精が終わると唇が離れ、脚から離れたアーサーの大きな手がサフィアの顔に汗ではりついた髪の毛をはらってくれる。そうしながらも相変わらず腰はぐりぐりと押し付けられ、まるで精液を奥に塗り込んでいるような仕草にサフィアは甘い声をあげた。

「ぁ、ぁあ~っ……ぁ……」

 サフィアの脳裏ではまだぱちぱちと火花が弾け、絶頂の余韻が残っていた。貪られるような性交と追い立てられる絶頂に恐怖を感じなかったと言えば嘘になる。けれど終わってみれば、あそこまでアーサーが自分を女として求めてくれたことに嬉しさを感じるし、そんなアーサーの姿にときめいてしまう気持ちもあった。前回の甘く優しい性交も良かったけれど……いやそっちの方が良いのだけれど、さっきのような激しい絶頂も癖になりそうだった。
 アーサーの押し付けられる腰に体を僅かに揺らしながらそんなことをぼんやりと思っていると、サフィアは、自分の中でアーサーがまた硬くなり始めていることに気付いた。

――もしかして、もう一回……?

 戸惑いと期待に心臓をドキドキと鳴らしていると、アーサーが陰茎をずるりと抜いた。サフィアが「んっ……」と声を漏らすと、アーサーがサフィアの身体を起こす。そして顔中にちゅ、ちゅ、とキスをしながら、アーサーが言った。

「なあ、サフィア。すまないが、まだおさまりそうになくて……。君が嫌じゃなければ、後ろからしても良いだろうか」
「え? あ、うん……大丈夫、よ」
「ありがとう」

 やっぱりするんだと思いながら、サフィアはアーサーに背を向けて四つん這いになった。二回もするなんて。アーサーもサフィアと同じで、色々な出来事が重なったことで興奮状態にあるのだろう。

「いれるぞ」
「うん……」

 アーサーがサフィアの後ろに来て、割れ目の肉を片手で広げた。愛液とアーサーの精液で濡れているそこに、また自身を埋め込んでいく。初めての体位だが、ほぐれきったサフィアの中は難なくアーサーを受け入れて、優しく包み込んだ。一度射精して先ほどよりは冷静になったのか、アーサーは何度か腰を前後に動かして様子を見てから、その腰使いを早めていった。

「あ、あっ……あ、あっ……」

 サフィアは突かれる度に喘ぎながら、前のときの会話を思い出していた。たしかアーサーは、人は向かい合ってするのが普通なんだよな、とサフィアに聞いたのだ。それでサフィアは、森育ちのアーサーにとって、性交とは獣たちの交尾のイメージが強いんだなと思った覚えがある。つまり今自分たちがしているのはまさにそういう体勢なわけで、これが彼にとってのスタンダードな性交なのだと思うと、顔が見れない寂しさとか、獣のような格好の羞恥心は興奮を煽る要素になってしまった。
 逃がさないように腰を掴む大きな手も、自分の臀部に叩きつけられる腰も、サフィアの性的興奮を高めていく。顔を見ることができないからか他の感覚器がアーサーの気配を拾おうとして、その息遣いがはっきり聞こえてくる気がした。

「あ、あ、ああん、あ、あっ」

 アーサーの腰使いが深くなっていくと、体勢のためか、奥をより強く突き上げられる。反射的に逃げようとする腰を引き寄せるように掴み直されて、サフィアの下腹部がきゅんきゅんした。

「はっ……ぁ……痛くない、か……?」
「へ、いきっ……」

 そんな中でも気遣う言葉に、胸もきゅんと高鳴る。
 背中にアーサーの体温を感じたかと思うと、ピストンに合わせて揺れていた乳房を片手に掴まれ、先端を指先でくすぐられた。
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