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九話 道具屋のおっさん、階段を上る。
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「待てこらああああああああああああぁぁぁぁぁっ!」
「――ひいいぃっ!」
必死の思いで追いかけてなんとかエレネのお下げ髪を掴むと、振り返ったところを思いっ切りぶん殴った。
「死ねやオラッ!」
「ぴぎいっ!」
「てめえ、オラッ! よくも、オラッ! 逃げやがって! オラアアアァッ!」
「いやあああぁぁぁっ!!」
兎耳を振り乱して泣き叫ぶ雌豚に馬乗りになり、ひたすら殴る。
「暴れるんじゃねえ! こんの雌豚があああああぁぁ!」
……あ、豚じゃなくて兎だったか。まあいいや。
「やべっ! おべッ! ぷぎっ! やべでええええ!」
「――……はぁ、はぁ、はぁ、はあぁ……」
気が付くと俺の拳は血まみれになっていた。
……よかった。エレネは顔を腫らして目が線になってるがまだ死んでないし、意識もあった。途中からちょっと手加減したとはいえ、人間って意外と丈夫なんだな……。
「……ひっく、ぐすっ……」
「……お前が悪いんだぞ、エレネ。逃げるから……」
「……ごめんなしゃい……。にゃんでもしますから……命だけは……」
「じゃあ、俺の妻になれ」
「……なりましゅ。なりましゅから……」
俺のプロポーズがあっさり決まった瞬間だった。こんなにモテなかった俺が……信じられない……。力こそ正義って本当なんだな……。フウゥゥゥ、爽快ッ、リフレッシュ……!
「……お前さ、俺のどこに惚れたんだよ。言ってみ?」
白々しく質問してみる。
「……つ、強いところでしゅ……」
「……ほかにはないのか?」
「……え、えっと……」
「もう殴らないから安心しろ」
「はい……えっと……その……」
「おい……」
拳を振り上げてみせる。
「待ってくだしゃい。あにょ、全部でしゅ……」
「そうかそうか、そんなにか。俺さー、今まで女の子と手もつないだこともなかったんだ。グスンッ……。つまり……童貞ってわけさ。恥ずかしいから言わせんな……。そんな俺でもいつか運命の出会いがあるって、おっさんの癖にさあ、まるでシンデレラみたいにそう思ってたんだぜ……。ホント、いくらなんでも気持ち悪すぎるだろう? 今思うとこれまでの苦労は、この瞬間のためにあったんだなって……。まあ俺の言いたいことはさ、つまり俺たちこれから……大人への階段を登っちゃうってこと!」
「……」
「誓いの接吻を……」
「……うぅ……んぅ……」
エレネのやつ、涙まで流して嬉しそうに俺の唇を受け入れてくれた。そのお礼として童貞をプレゼントしてやりたいが、それだと神様が見えなくなっちゃうから、我慢だ……。
「――じゃあ、オルグに嫁はいないってことか?」
「はい……」
俺の嫁になったエレネから面白いことを聞いた。
ということはあれか、あいつは見栄を張るためだけにわざわざ妹のエレネを自分の奥さんに仕立て上げてようとしていたわけだ。なんという自慢に対する執念……。おぞましい、あまりにもおぞましすぎる……。
「ちなみにエレネ、お前は何歳だ?」
「13歳になったばかりです」
「……なるほどな」
やっぱりなあ……。何が大恋愛だ。大ぼら吹きのカス野郎が。オルグは自慢することで俺が羨ましそうにするのをオカズにしようとしていたんだな。これもう完全に変態野郎だろう。うーし、おもしれーこと思い付いてオラ、わくわくしてきたぞ……。
「いいか? エレネ、これからオルグに会いに行くわけだが、ぜーったいに裏切るなよ?」
「わかっています」
「裏切ったらオルグごと殺してやるからな……」
「は、はい……あの……」
「ん?」
「私の家で何をするおつもりなんですか……? お金ですか、それとも……その……」
「その?」
「……か、体……でしょうか……」
指と指を絡め合わせてもじもじし始めたエレネ。可愛いなあ。あー勃起しそう。その腫れ上がった顔じゃなかったら危なかった。
「お前なあ、鏡見てみろよ。そんなブスな面でよお、俺を満足させられるとでも思ったのかよ」
「……ごめんなさい」
「謝るなら土下座しろカスッ」
「はい、ごめんなさい……」
土下座したエレネの頭に足を置いてやる。こいつの頭は俺の足置き場でしかない。最早ただの階段だ。なんという征服感。いつでもゴミみたいに殺せるというのもまたいい。
「俺が何をするかはよお、ついてからのお楽しみでいいだろ。そのほうがおめーもおもしれーだろうがよー?」
「……ですね。わかりました……」
「ただこれだけは言っておく。今度逃げたら、絶対殺すからな。滅多刺しだ」
「……は、はい。絶対逃げません……」
声まで震えちゃって、可愛い……。
「俺のこと大好きだもんなあ?」
「はい、大好きです……」
「なら俺の唇を受け取れ。チュー」
「ちゅ、チュー……うぅ……」
恋愛なんてこんなもんだろう。脅して好きと言わせればそれで大成功、大団円、大満足だ。要は力で押さえつければいいだけの話なんだ。いやー、実にあっけないもんだなあ……。
「――ひいいぃっ!」
必死の思いで追いかけてなんとかエレネのお下げ髪を掴むと、振り返ったところを思いっ切りぶん殴った。
「死ねやオラッ!」
「ぴぎいっ!」
「てめえ、オラッ! よくも、オラッ! 逃げやがって! オラアアアァッ!」
「いやあああぁぁぁっ!!」
兎耳を振り乱して泣き叫ぶ雌豚に馬乗りになり、ひたすら殴る。
「暴れるんじゃねえ! こんの雌豚があああああぁぁ!」
……あ、豚じゃなくて兎だったか。まあいいや。
「やべっ! おべッ! ぷぎっ! やべでええええ!」
「――……はぁ、はぁ、はぁ、はあぁ……」
気が付くと俺の拳は血まみれになっていた。
……よかった。エレネは顔を腫らして目が線になってるがまだ死んでないし、意識もあった。途中からちょっと手加減したとはいえ、人間って意外と丈夫なんだな……。
「……ひっく、ぐすっ……」
「……お前が悪いんだぞ、エレネ。逃げるから……」
「……ごめんなしゃい……。にゃんでもしますから……命だけは……」
「じゃあ、俺の妻になれ」
「……なりましゅ。なりましゅから……」
俺のプロポーズがあっさり決まった瞬間だった。こんなにモテなかった俺が……信じられない……。力こそ正義って本当なんだな……。フウゥゥゥ、爽快ッ、リフレッシュ……!
「……お前さ、俺のどこに惚れたんだよ。言ってみ?」
白々しく質問してみる。
「……つ、強いところでしゅ……」
「……ほかにはないのか?」
「……え、えっと……」
「もう殴らないから安心しろ」
「はい……えっと……その……」
「おい……」
拳を振り上げてみせる。
「待ってくだしゃい。あにょ、全部でしゅ……」
「そうかそうか、そんなにか。俺さー、今まで女の子と手もつないだこともなかったんだ。グスンッ……。つまり……童貞ってわけさ。恥ずかしいから言わせんな……。そんな俺でもいつか運命の出会いがあるって、おっさんの癖にさあ、まるでシンデレラみたいにそう思ってたんだぜ……。ホント、いくらなんでも気持ち悪すぎるだろう? 今思うとこれまでの苦労は、この瞬間のためにあったんだなって……。まあ俺の言いたいことはさ、つまり俺たちこれから……大人への階段を登っちゃうってこと!」
「……」
「誓いの接吻を……」
「……うぅ……んぅ……」
エレネのやつ、涙まで流して嬉しそうに俺の唇を受け入れてくれた。そのお礼として童貞をプレゼントしてやりたいが、それだと神様が見えなくなっちゃうから、我慢だ……。
「――じゃあ、オルグに嫁はいないってことか?」
「はい……」
俺の嫁になったエレネから面白いことを聞いた。
ということはあれか、あいつは見栄を張るためだけにわざわざ妹のエレネを自分の奥さんに仕立て上げてようとしていたわけだ。なんという自慢に対する執念……。おぞましい、あまりにもおぞましすぎる……。
「ちなみにエレネ、お前は何歳だ?」
「13歳になったばかりです」
「……なるほどな」
やっぱりなあ……。何が大恋愛だ。大ぼら吹きのカス野郎が。オルグは自慢することで俺が羨ましそうにするのをオカズにしようとしていたんだな。これもう完全に変態野郎だろう。うーし、おもしれーこと思い付いてオラ、わくわくしてきたぞ……。
「いいか? エレネ、これからオルグに会いに行くわけだが、ぜーったいに裏切るなよ?」
「わかっています」
「裏切ったらオルグごと殺してやるからな……」
「は、はい……あの……」
「ん?」
「私の家で何をするおつもりなんですか……? お金ですか、それとも……その……」
「その?」
「……か、体……でしょうか……」
指と指を絡め合わせてもじもじし始めたエレネ。可愛いなあ。あー勃起しそう。その腫れ上がった顔じゃなかったら危なかった。
「お前なあ、鏡見てみろよ。そんなブスな面でよお、俺を満足させられるとでも思ったのかよ」
「……ごめんなさい」
「謝るなら土下座しろカスッ」
「はい、ごめんなさい……」
土下座したエレネの頭に足を置いてやる。こいつの頭は俺の足置き場でしかない。最早ただの階段だ。なんという征服感。いつでもゴミみたいに殺せるというのもまたいい。
「俺が何をするかはよお、ついてからのお楽しみでいいだろ。そのほうがおめーもおもしれーだろうがよー?」
「……ですね。わかりました……」
「ただこれだけは言っておく。今度逃げたら、絶対殺すからな。滅多刺しだ」
「……は、はい。絶対逃げません……」
声まで震えちゃって、可愛い……。
「俺のこと大好きだもんなあ?」
「はい、大好きです……」
「なら俺の唇を受け取れ。チュー」
「ちゅ、チュー……うぅ……」
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