素材ガチャで【合成マスター】スキルを獲得したので、世界最強の探索者を目指します。

名無し

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第8話


「……」

 というか、食堂で食べてるときからそうだったけど、僕に対する不良たちの視線が今までと違う感じになってる。いじめっ子独特の鋭い視線が来たと思ったらすぐ剝がされる感じ。

 妙だな……って、もう8時過ぎちゃってるし! 端末で時刻を見てぎょっとした僕は、急いで教室へと駆け出した。

 まもなく、僕はG級の教室前まで到着したけど、自分が全然疲れてないことに軽く感動を覚えていた。以前なら焦燥感も手伝ってハーハー言ってたのに。

 まあ体力や魔力がレベル1の頃とは違うわけだからね。この程度で疲労するわけがないんだ。

 ……っと、それどころじゃなかった。授業に遅刻していたんだ。

 僕は思い出したように緊張しつつ、ドアをそっと開けた。遅れたことで猪川先生にこっ酷く叱られた挙句、みんなに笑われちゃうんだろうな。いじめられっ子は辛いよ。はあ……。

「「「「「ザワッ……」」」」」

 んん? 僕が来たことで失笑でもされるかと思いきや、どよめいてる。もしや、モンスターが出現したのかとモニターのほうを見やるも通常運転。

 というか、明らかにみんな僕のほうを向いてる。ってことは、まさか……僕はハッとなってステータスをチェックしてみることにした。

 ステータス

 名前:『白石優也』
 年齢:『15』
 性別:『男』
 称号:『いじめられっ子』『Gクラス』『ラッキーマン』『マッチョマン(NEW)』

 レベル:『30』
 腕力:『20』
 俊敏:『19』
 体力:『15』
 技術:『3』(+1)
 知力:『1』
 魔力:『14』
 運勢:『16』

 MP:『0』
 DP:『420』

 スキル:『合成マスター』『鑑定眼レベル2(+1)』『異空間レベル1』
 従魔:『クロム』
 武器:『ゼリーソード』
 防具:『水の鎧』
 道具:『無限の水筒』
 素材:『神秘の羊羹』

「……」

 なるほど。新しい称号に『マッチョマン』が追加されてた。そういえば、よく見ると二の腕とか太くなってるし、胸筋もくっきり浮かんでる! どうやら、鍛えたステータスに体の見た目が追いついてきたみたいだ。

 食堂で五十嵐って人を倒したときにみんながビビってたのは、こういう見た目の理由もあるからだね。彼をボディブローで沈めたことで技術が1上がったらしい。

 でも、ボディビルダーみたいなごつごつとした感じじゃない。痩身の割りにとても引き締まった体つきっていう形容がよく似合うと思う。

 以前の僕がヒョロヒョロだっただけに、その落差がより際立ったからこんな称号がついたんだろうね。

「オ、オッホンッ……」

「あ……」

 そうそう、そうだった。猪川先生の咳払いでようやく我に返った。僕は生徒の立場でありながら遅刻しちゃったんだから謝らないと。そういうわけで彼のもとに歩み寄ると、何故か青い顔をされた。

「え、えー、白石優也君……お、遅いのは、私のほうでした。すみません」

「えっ……」

 なんてことだ。逆に先生のほうから謝られてしまった。これが力というものなのか。悪くない……ん、生徒たちからヒソヒソと声が聞こえてくる。

 僕のことを恐れているのか、まさに息を潜めるが如く密やかにって感じで、前のように普通に聞こえるものじゃなかったので耳を澄ますことにした。

「あ、あいつ、どうしたんだ……?」

「マッチョマンになっとるやん!」

「嘘だろ。ドーピングしてんのか?」

「うわっ。俺、初日からあいつのこといじめてたわ。やべー……」

「……」

 みんな、やたらとビクビクしちゃってるなあ。当時の僕みたいだ。

 そんな中で自分の席に着くと、まだ周囲がざわついていたので会話を聞いてみることにした。

「そういえば、が来ないな」

「ん、例のやつって、前の学校から転校してきた五十嵐竜也ってやつか?」

「そうそう、そいつ! 相当な悪党で、何人も半殺しにしてきたらしい。その中には実際に死んだやつもいるとかいないとか」

「うへえ……」

「てか、その人知ってる! ここで番を張ってるっていう話を真に受けて、食堂で白石君に喧嘩売ってたけど、返り討ちにされてたよ!」

「それ俺も見た! 白石にボコられて、自分から退学届けを出したらしいぞ!」

「「「「「ええっ……⁉」」」」」

 俄かに色めき立つ教室内。

「ま、ままっ、まぐれだろ?」

「そ、そ、そうだよ、まぐれに決まってる。うちののタクヤとマサルだって、白石にはまぐれでやられてたし……」

「まぐれってあれか、火事場のバカ力ってやつか?」

「で、でも、そう何度もまぐれが続くものなの……⁉」

「わ、私、白石君のことはそんなに嫌いじゃないよ。無視はしたけど……」

「俺なんて足をかけて倒しちまった。あとでお詫びに肩を揉んでみようかな……」

「……」

 焦りからか懐柔の動きを見せる生徒もいたけど、それは同級生の中だと極一部で、教室には不穏な空気が立ち込めていた。

「あいつ、マジでやばくね……?」

「きっと、あたしたちにいじめられたのが悔しくて、復讐の鬼と化したのよ……」

「し、白石に復讐される前にさ、今のうちに、みんなで協力してやっちまおうか?」

「お、そりゃいいな。まだスキルとか従魔とか持ってないだろうし」

「隙を見て、再起不能になるまで叩き潰して、学園から追い出そうぜ」

「おー!」

「お、おい、静かにしろ。白石のやつに聞こえちまうぞ……」

 ……普通に聞こえてるんだけど。彼らは興奮してるためかそんなことにも気づけないらしい。まあいいや。今の僕なら返り討ちにできると思うし。ただ、もうこのクラスでいじめられっ子として生きていくのは厳しいかもね。

 僕を毎日のようにいじめてきたマサルとタクヤのおかげで、ギリギリ『いじめられっ子』の称号を維持できてるだけで。油断させるには最適だったんだけど、こうなったら仕方ない。

 開き直った僕は、腕を組んでふんぞり返るようにして椅子に座り、周りの生徒を威圧してみた。

「「「「「ひっ……」」」」」

 ビビってるビビってる。なんか気持ちいいなあ……って、勘違いしたのか青野さんまで縮こまってるし、あとで話しかけるか。聞きたいこともあるしね。

 そういうわけで、僕は休み時間に青野さんを誘ってトイレへ向かった。

 でも、やっぱりいつもと様子が違う。なんか、やたらとビクビクしてるっていうか。

「青野さん」

「ひっ⁉」

「……」

 話しかけた途端、青野さんがガードの体勢になったので僕は地味に傷つく。

「何もしないから大丈夫ですよ、青野さん。別に、青野さんをボコろうと思ってトイレに誘ったわけじゃないですから」

「じゃ、じゃあ、単なる連れしょんなのかの?」

「もちろんですよ」

「よ、よかったぁ……。わしはてっきり、白石のあんちゃんがいじめられたあまりブチぎれて、Gクラスの無差別殺戮を計画しておるのかと……」

「……想像が飛躍しすぎですよ。僕ってどんだけやばいやつなんですか……」

「……な、なんというか、結構マッチョになっとるし、その上で人が良さそうな笑みが逆に怖いんじゃ……」

「ははっ……大丈夫ですって。それじゃ、トイレに行きましょう」

「わ、わかったのじゃ。びびりすぎて出るかわからんが……」

「ははっ」

 そうして、僕たちは仲良くトイレへ入ることになった。っていうか、青野さんと何を話そうと思ってたんだっけ? 度忘れしちゃった。

「――あっ!」

「ひっ……⁉」

 そうだ、思い出した。大声を上げたので隣にいた青野さんには悪いけど。

「小鳥っていう名前の子を見かけたんですけど、青野さんの孫なんですか?」

「えっ⁉ し、白石のあんちゃん、なんで孫のことを知っとるんじゃ……?」

 やっぱりそうだったか。ストーカーだと思われそうだし鑑定したとはいえない。なので、作り話を考えることにした。

 よし、こうしよう。食堂に女子生徒たちがいて、その中の一人が青野さんとか小鳥さんとか名前を呼ばれていて、なおかつ雰囲気的に青野さんに似ていたので孫だと思ったってことにすればいいんだ。

「――っと、こういうわけなんです」

「おお、そうか! 雰囲気でもわかるか! あの子は、昔から本当におじいちゃん思いでな。遡ること、7年前……」

「……」

 目を細めた青野さんが孫について話し始めたんだけど、まったく止まりそうになかった。いつ終わるのかな?
 
 そうだ、その間に僕の従魔――メタリックスライムのクロムに会いに行くか。『異空間』スキルを使い、出現した扉型の光る入口へと入る。これは僕が入った時点で自然に閉じるようになってるんだ。

「……モ、モ……」

「……」

 異空間に入ると、クロムがベッドでうたた寝していた。か、可愛い!

 起こすのも悪いので傍で観察していると、ちょうど目を開けたクロムと目が合ってしまった。

「モモッ……⁉」

 飛び上がってベッドの下に隠れるクロム。あああ、嫌われちゃったかな?

「邪魔しちゃったね、クロム。また来るよ……あ……」

 異空間から出ようとしたときだった。クロムがベッドの下から這い出て、期待感のあるような輝く目で僕を見上げてきたんだ。

 反抗的な、それでいてちょっと期待感のある目だ。もしかしたら、クロムはお腹がすいてるのかもしれない。

 でも、だからってすぐあげちゃうのもなあ。よーし……ここは、焦らす作戦だ。

 僕は餌を出す仕草をして、引っ込めてみる。

「モッ、モッ……?」

 クロムが嬉しそうに駆け寄ってきたかと思うと、困惑したような顔ですぐに後ずさりする。その姿はコミカルでなんとも可愛らしい。

「モォ……」

 それを繰り返すうちに、クロムが涙目になってしまった。ははっ、可愛いからっていじめすぎちゃったかな。

 この辺でやめておくか。特別に大きめの鉄片をやると、クロムは目を輝かせて食べ始めた。メタリックスライムにしてみたら、高級チョコレートみたいなものかな?

 後ずさりはしてたけど、前のようにすぐ逃げるわけじゃないし、僕たちの仲は少し前進したようだ。

 授業があるし元の場所に戻ってみる。さすがに青野さんはもう教室に戻ってるだろうね。

「――焼きそばにチーズをかけた小鳥は、無垢な笑顔でこう言ったのじゃ。『はい、おじいちゃん。スパゲッティ!』とな。少しズレとるが、本当に健気な子でなあ……」

「……」

 青野さんはまだ孫の話をしていた……。

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