21 / 27
第21話
しおりを挟むステータス
名前:『白石優也』
年齢:『15』
性別:『男』
称号:『ラッキーマン』『マッチョマン』『リア充』『Fクラス(NEW)』
レベル:『50』
腕力:『32』
俊敏:『42』
体力:『30』
技術:『30』
知力:『19』
魔力:『31』
運勢:『30』
MP:『48』
DP:『35』
スキル:『合成マスター』『鑑定眼レベル3』『異空間レベル2』
従魔:『クロム』『アマメ(NEW)』
武器:『ゼリーソード』『鮮血剣レベル1』
防具:『水の鎧』『ブラックビーストの靴』
道具:『無限の水筒』『永遠の黒髪』『魔法の筆』
素材:『暗色の蒟蒻』
今や恒例となった寝起きのステータスチェック。これが僕の現在のありのままの姿だ。昨日の今日ってことで訓練は一切してないのでステータス値に変化はない。
知力をもう少し上げるべきかなとか、装備がいい感じに揃ってきたとか、色々と思うところはあるんだけど、Fクラスっていう称号が特に輝いてるように思う。やっと昇格を掴み取ったって感じだからなあ。
……あ、そうだ。ここからFクラスの教室へ行くにあたって、魔法の筆で情報を色々隠しおいたほうがいいかもね。最底辺のG級と違って、鑑定系のスキルを持っている人が何人かいてもおかしくないし。
僕の情報については、ある程度のことは青野さんたちに知られてるけど、彼らは味方だからいいんだ。それ以外、特に敵対者に見られると不利になる可能性もあるので、最強の探索者を目指すなら対策しないといけない。
ってことで、僕は魔法の筆を使ってステータスの色んな部分を黒塗りしていく。隠す情報はこんなものでいいだろう。
ステータス
名前:『白石優也』
年齢:『15』
性別:『男』
称号:『ラッキーマン』『マッチョマン』『リア●』『Fクラス』
レベル:『●●』
腕力:『●●』
俊敏:『●●』
体力:『●●』
技術:『●●』
知力:『●●』
魔力:『●●』
運勢:『●●』
MP:『48』
DP:『35』
スキル:『●●マスター』『●●●レベル3』『●●●レベル2』
従魔:『●●●』『●●●』
武器:『●●●ソード』『●●剣レベル1』
防具:『●の鎧』『●●●●●●●の靴』
道具:『●●の水筒』『永遠の●髪』『●●の筆』
素材:『●色の蒟蒻』
「ふう……」
大体こんなもんでいいかな。これなら鑑定系スキルで探られたとしても、黒塗りばかりでわけがわからないだろうし。称号の一部を消したのは仕方ない。リア充ってどう考えても無駄に敵を作りそうな称号だからね。また狙われる男になりたくもないし……。
「ムニャ……この焼き鉄、絶品だモ……」
「……」
地下室の溶鉱炉(飾り)近くで寝ているクロムの寝言がちょっと可愛い。焼き鉄って、彼にとっては焼き芋的な感覚っぽい。
もう一人の従魔のアマメもお休み中かな?
僕は製鉄所を模したこの場所から階段を上がって、一階の和室の様子をそっと覗いてみる。このブラックビーストの靴は、こっそり歩かなくても全然音がしないので本当に便利だ。
おぉっ、アマメは僕が用意した小さな布団で寝ていた。昨晩にちゃぶ台の上に置いておいた海苔とご飯と沢庵のセットもちゃんと食べてくれてるのがわかる。食堂から拝借したものなんだ。
よかったよかった。それにしても、寝顔が可愛いので間近で眺めたくなる。まだ懐いてないとはいえ、僕の従魔なんだしちょっとくらいならいいよね?
「――わたくしは、安くありませんのよ……」
「っ……⁉」
僕の眼前でアマメがむくりと上体を起こしたかと思うと、目を瞑ってパタンと倒れた。あー、びっくりした……。クロムに比べると、かなり心臓に悪いタイプの寝言の吐き方だ。
それでも、彼女は賢いのもあって僕がこれらのものを用意したことはわかってそうだし、心の距離は縮まってると思いたい。
「……」
んー、そういや何か忘れてるような。なんだっけ……って、たった今思い出した!
慌てて端末で時刻を見ると、朝の7時を少し過ぎたところだった。この時間帯にみんなと大部屋で集合するって約束してるんだ。
んで、そこからみんなで朝ご飯を食べて、校舎二階のFクラスへ行くことになってたってわけ。
なんせ8時からF級のクラスメイトに自己紹介をしなきゃいけないからね。不良だらけのG級とは違うだろうし、初日から遅刻をかましたくはない。
「――ぐごおおおぉぉっ……!」
そういうわけで、僕は異空間から大部屋へと戻るも、そこには獣の咆哮のようないびきをかく青野さんと、怪我から復帰したG級の生徒が数名寝てるところだった。
まだ寝てたのか……。まったく。青野さんのいびきは部屋中に響き渡るほどうるさいから、異空間スキルがあって本当によかった。とはいえ、今日でこのタコ部屋と別れると思うと寂しくなる。
お、誰か来たと思ったら汐音だ。
「ごめん、優也君……。ちょっと遅れちゃった……」
「大丈夫大丈夫。遅れたっていってもほんの少しだけだし、青野さんなんてこの通りまだ寝ちゃってるくらいだからね」
「ほんとだ……」
「ぐがぁぁっ……うししっ。小鳥よ、わしは遂にやったぞ……」
青野さんの寝言から察するに、楽しい夢を見てそうだ。そっか。孫の小鳥ちゃんもFクラスにいるわけだからね。念願が叶って嬉しいだろうなあ。
「……真っ黒……」
「え、汐音、真っ黒って?」
汐音が急に変なことを言い出した。そういや、今日の僕のパンツの色って黒なんだよね。ま、まさか、『鑑定眼』スキルで見られちゃった……⁉
「ステータス……」
「あっ……そっちか……!」
「そっちって?」
「あ、いや、こっちの話! 今回のガチャで手に入れた隠蔽用の道具があって、それで隠したんだ。味方ならいいけど、敵に自分のステータスをじっくり見られたら嫌だからね」
「へえ……便利なんだね。私の黒いのも見る……?」
「え、し、汐音の黒いのって、何かな……?」
汐音の台詞にどぎまぎする。もしかして、アレじゃないよね……?
「見たらわかるよ。今回、手に入れたものだから……」
「あ、あぁ、そっちね! こっちは黒塗りで隠しといてなんだけど、それじゃあ遠慮なく……」
ステータス
名前:『黒崎汐音』
年齢:『16』
性別:『女』
称号:『死神』『リア充(NEW)』『Fクラス(NEW)』
レベル:『30(+10)』
腕力:『22』
俊敏:『20』
体力:『19』
技術:『21』
知力:『24』
魔力:『22』
運勢:『20』
MP:『2(-298)』
DP:『13(-137)』
スキル:『鑑定眼レベル3』
従魔:『シャドウキャット(NEW)』
武器:『死神の大鎌』
防具:『悪魔の翼(NEW)』
道具:『呪いの赤い糸(NEW)』
素材:『無し』
おお、さすが汐音。素材ガチャと合成が上手くいったみたいで、新たにレベル、従魔、防具を手に入れてる!
この中で特に気になったのは従魔のシャドウキャットだ。『鑑定眼』で調べてみると、闇喰いの猫ともいって、夜だと思ったときにだけ活動し始める黒猫で、暗闇を動力にして生きるんだとか。
懐けば言葉を喋るだけじゃなく、全身の毛を逆立てることによって、モンスターの発生を早い時期から予測できるみたい。喋る猫って羨ましいなあ。夜以外は寝てるみたいだけど。
「ほら、優也君。見て……」
「あっ……!」
汐音の両手に漆黒の猫が現れる。見た目はただの黒猫だけど、なんとなくオーラがある感じだ。
「撫でてもいいの?」
「いいよ」
うわ、モッフモフだ。いいなあ。熟睡してるのか、いくら触っても起きなかった。
「そうだ、汐音。この子の名前、シャトっていうのはどうかな?」
「シャト……?」
「シャドウキャットから取ったんだ。安直かもしれないけど……」
「……いいね。じゃあそれにする」
「おー! シャト、これからよろしくね!」
「……」
当然、寝てるから返事は来ないんだけど、シャトの耳がぴくっと動いた気がした。そのあと、お役御免なのかシャトは汐音の腕の中ですっと消えていき、その代わりのように黒い大きな翼が汐音の背中に生えた。
「これ、どう……?」
「うわ……」
ゴクリッ……漆黒の翼を広げた汐音は、思わず息を呑むほどの大迫力だ。これが悪魔の翼か。そういや詳細までは調べてなかったけど、どんな効果なんだろう? この際だから彼女に直接聞いてみるか。
「それってさ、どんな効果があるの?」
「……これ……」
「……」
悪魔の翼がはためき、汐音の体が1メートルくらい宙に浮かんだと思ったら、すぐに着地した。ありゃ?
「ちょっと浮かぶ程度の効果みたい」
「ははっ……」
でも衝撃とかこれで和らげそうだし、何より汐音にはぴったりな感じだからいいのかもね。大鎌と黒猫とのセットで、死神系のファッションとして……。
そのあと、しばらく経ってからタクヤとマサルが慌てた様子でやってきた。
「すまねえ、みんな。マサルと遅くまでガチャと祝勝会やってたから寝坊しちまったぜぇ」
「みんな、わりーな。そういうわけでのろまってよ……」
「大丈夫大丈夫。もっと遅れてる人がいるから。だよね、汐音?」
「うん」
「「え……?」」
「ぐがああぁぁぁっ……」
「「……」」
タクヤとマサルもようやく気付いたらしい。
というわけで、まだいびきをかいて寝ている青野さんをみんなと一緒に叩き起こしたあと、僕たちは急いで食堂へ行って朝食を手早く済ませ、ようやくFクラスへと出発することになるのだった。
112
あなたにおすすめの小説
パーティーを追放されるどころか殺されかけたので、俺はあらゆる物をスキルに変える能力でやり返す
名無し
ファンタジー
パーティー内で逆境に立たされていたセクトは、固有能力取得による逆転劇を信じていたが、信頼していた仲間に裏切られた上に崖から突き落とされてしまう。近隣で活動していたパーティーのおかげで奇跡的に一命をとりとめたセクトは、かつての仲間たちへの復讐とともに、助けてくれた者たちへの恩返しを誓うのだった。
回復力が低いからと追放された回復術師、規格外の回復能力を持っていた。
名無し
ファンタジー
回復術師ピッケルは、20歳の誕生日、パーティーリーダーの部屋に呼び出されると追放を言い渡された。みぐるみを剥がされ、泣く泣く部屋をあとにするピッケル。しかし、この時点では仲間はもちろん本人さえも知らなかった。ピッケルの回復術師としての能力は、想像を遥かに超えるものだと。
無能はいらないと追放された俺、配信始めました。神の使徒に覚醒し最強になったのでダンジョン配信で超人気配信者に!王女様も信者になってるようです
やのもと しん
ファンタジー
「カイリ、今日からもう来なくていいから」
ある日突然パーティーから追放された俺――カイリは途方に暮れていた。日本から異世界に転移させられて一年。追放された回数はもう五回になる。
あてもなく歩いていると、追放してきたパーティーのメンバーだった女の子、アリシアが付いて行きたいと申し出てきた。
元々パーティーに不満を持っていたアリシアと共に宿に泊まるも、積極的に誘惑してきて……
更に宿から出ると姿を隠した少女と出会い、その子も一緒に行動することに。元王女様で今は国に追われる身になった、ナナを助けようとカイリ達は追手から逃げる。
追いつめられたところでカイリの中にある「神の使徒」の力が覚醒――無能力から世界最強に!
「――わたし、あなたに運命を感じました!」
ナナが再び王女の座に返り咲くため、カイリは冒険者として名を上げる。「厄災」と呼ばれる魔物も、王国の兵士も、カイリを追放したパーティーも全員相手になりません
※他サイトでも投稿しています
最遅で最強のレベルアップ~経験値1000分の1の大器晩成型探索者は勤続10年目10度目のレベルアップで覚醒しました!~
ある中管理職
ファンタジー
勤続10年目10度目のレベルアップ。
人よりも貰える経験値が極端に少なく、年に1回程度しかレベルアップしない32歳の主人公宮下要は10年掛かりようやくレベル10に到達した。
すると、ハズレスキル【大器晩成】が覚醒。
なんと1回のレベルアップのステータス上昇が通常の1000倍に。
チートスキル【ステータス上昇1000】を得た宮下はこれをきっかけに、今まで出会う事すら想像してこなかったモンスターを討伐。
探索者としての知名度や地位を一気に上げ、勤めていた店は討伐したレアモンスターの肉と素材の販売で大繁盛。
万年Fランクの【永遠の新米おじさん】と言われた宮下の成り上がり劇が今幕を開ける。
勇者パーティーを追放された召喚術師、美少女揃いのパーティーに拾われて鬼神の如く崇められる。
名無し
ファンタジー
ある日、勇者パーティーを追放された召喚術師ディル。
彼の召喚術は途轍もなく強いが一風変わっていた。何が飛び出すかは蓋を開けてみないとわからないというガチャ的なもので、思わず脱力してしまうほど変なものを召喚することもあるため、仲間から舐められていたのである。
ディルは居場所を失っただけでなく、性格が狂暴だから追放されたことを記す貼り紙を勇者パーティーに公開されて苦境に立たされるが、とある底辺パーティーに拾われる。
そこは横暴なリーダーに捨てられたばかりのパーティーで、どんな仕打ちにも耐えられる自信があるという。ディルは自身が凶悪な人物だと勘違いされているのを上手く利用し、底辺パーティーとともに成り上がっていく。
俺を凡の生産職だからと追放したS級パーティ、魔王が滅んで需要激減したけど大丈夫そ?〜誰でもダンジョン時代にクラフトスキルがバカ売れしてます~
風見 源一郎
ファンタジー
勇者が魔王を倒したことにより、強力な魔物が消滅。ダンジョン踏破の難易度が下がり、強力な武具さえあれば、誰でも魔石集めをしながら最奥のアイテムを取りに行けるようになった。かつてのS級パーティたちも護衛としての需要はあるもの、単価が高すぎて雇ってもらえず、値下げ合戦をせざるを得ない。そんな中、特殊能力や強い魔力を帯びた武具を作り出せる主人公のクラフトスキルは、誰からも求められるようになった。その後勇者がどうなったのかって? さぁ…
異世界に転移した僕、外れスキルだと思っていた【互換】と【HP100】の組み合わせで最強になる
名無し
ファンタジー
突如、異世界へと召喚された来栖海翔。自分以外にも転移してきた者たちが数百人おり、神父と召喚士から並ぶように指示されてスキルを付与されるが、それはいずれもパッとしなさそうな【互換】と【HP100】という二つのスキルだった。召喚士から外れ認定され、当たりスキル持ちの右列ではなく、外れスキル持ちの左列のほうに並ばされる来栖。だが、それらは組み合わせることによって最強のスキルとなるものであり、来栖は何もない状態から見る見る成り上がっていくことになる。
凡人がおまけ召喚されてしまった件
根鳥 泰造
ファンタジー
勇者召喚に巻き込まれて、異世界にきてしまった祐介。最初は勇者の様に大切に扱われていたが、ごく普通の才能しかないので、冷遇されるようになり、ついには王宮から追い出される。
仕方なく冒険者登録することにしたが、この世界では希少なヒーラー適正を持っていた。一年掛けて治癒魔法を習得し、治癒剣士となると、引く手あまたに。しかも、彼は『強欲』という大罪スキルを持っていて、倒した敵のスキルを自分のものにできるのだ。
それらのお蔭で、才能は凡人でも、数多のスキルで能力を補い、熟練度は飛びぬけ、高難度クエストも熟せる有名冒険者となる。そして、裏では気配消去や不可視化スキルを活かして、暗殺という裏の仕事も始めた。
異世界に来て八年後、その暗殺依頼で、召喚勇者の暗殺を受けたのだが、それは祐介を捕まえるための罠だった。祐介が暗殺者になっていると知った勇者が、改心させよう企てたもので、その後は勇者一行に加わり、魔王討伐の旅に同行することに。
最初は脅され渋々同行していた祐介も、勇者や仲間の思いをしり、どんどん勇者が好きになり、勇者から告白までされる。
だが、魔王を討伐を成し遂げるも、魔王戦で勇者は祐介を庇い、障害者になる。
祐介は、勇者の嘘で、病院を作り、医師の道を歩みだすのだった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる