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第一章 リトア王国
もう一人の貴婦人
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「婚約してても関係ない。って人、結構多いから。」
嬉しそうに話すアリアドネ様をエライザ様がからかうような声で口を挟む。
「なんだ?自分のことか?」
「もう、エライザったら意地悪ね。」
ニヤリと笑う王妃様カッコいい~などと思っていると見ている私に気づきニコッと笑ってくださった。
ふわぁ、女性なのに王子様みたい。
「私たちが学生時代アリアはよくモテてね~婚約者がいる男子生徒を含め多くの者と分け隔てなく付き合っていたからな。」
「付き合いって言ってもほとんどがお友達としてよ。エライザの方が男女問わず人気があって、あの頃すでにキルライト陛下の婚約者だったのに片思いしてくる相手は数えきれないわね。」
仲良く話すお二人がなんだか不思議でアロイスとディルも目を丸くしてこちらを見ている。
「エライザ」
キャッキャと話している二人に挟まれ呆気にとられていた所に陛下の声が聞こえてきた。
「なんだキル?」
「二リーナの偽物がいる。リトア王宮に。」
簡潔に話す陛下だけど眉間をひそめたその様子はだいぶ不愉快そうだ。
「おやまぁ、それはまた命知らずな。」
「だから言ったじゃない。いくら社交嫌いだからってちょっとは顔を出さなきゃ誰かに利用されるわよって。」
「リトアの王宮にまで入り込んでいるとなると少々厄介かもしれんぞ。どうする?二リーナ。」
陛下の言葉に慌てるよりもむしろおかしそうに話すお二人の目はテーブルの一番端に座りゆっくりと紅茶をすすっているご婦人に注がれている。
一人だけまだ紹介させていないその人のことが実は気になっていたんだけど…
雪のように真っ白な白髪を綺麗に結い上げた上品なその方はお祖母様と同じ歳くらいだろうか、いつの間にか居なくなっていたと思っていたけどちゃんといらしたんだ…
皆の視線が自分に集まっていることに気づくとその人はカップから口を離しフゥっとため息をついた。
「面倒くさい。別にいいんじゃないかい?そいつべっぴんさんだっていうし。変な顔した奴だったら気に触るけどさ。ちょうどいいから代わってもらゃあアタシもちったあ楽ができるってもんよ。賢者二リーナなんて御大層な肩書き堅苦しくて。」
言いながらグルグル首を回して見せた。
賢者二リーナさま?
見た目は高貴な貴婦人なのに…
見た目と喋り方のギャップに目を向いているとエライザ様にバレてしまった。
「ひどい言葉遣いだろう?顔面詐欺だと言われたりしているんだ。」
「そういう王妃様も褒められた喋り方じゃないだろってんだ。
まぁ、王家なのにここはこんなだから居座って羽伸ばさせてもらってるけど。
ったく貴族の連中はすぐコソコソヒソヒソ人の悪口が大好物ときたもんだ。
自分らは何もしないくせにこっちがやる事が失敗すりゃ眉をひそめ成功すりゃ媚びへつらう。寒気がするねまったく。」
口調とはうらはらに静かに置かれたカップ。流れるような手つきで皿から選び取られた一口サイズのムースが品よく口元へ運ばれる。
「うん。美味いね。今年の木苺の出来は上々じゃないか。
やっぱり料理でも菓子でも季節のもんを食うのが一番だよ。」
嬉しそうにまた紅茶を飲む二リーナ様に陛下が苦い顔を向けている。
嬉しそうに話すアリアドネ様をエライザ様がからかうような声で口を挟む。
「なんだ?自分のことか?」
「もう、エライザったら意地悪ね。」
ニヤリと笑う王妃様カッコいい~などと思っていると見ている私に気づきニコッと笑ってくださった。
ふわぁ、女性なのに王子様みたい。
「私たちが学生時代アリアはよくモテてね~婚約者がいる男子生徒を含め多くの者と分け隔てなく付き合っていたからな。」
「付き合いって言ってもほとんどがお友達としてよ。エライザの方が男女問わず人気があって、あの頃すでにキルライト陛下の婚約者だったのに片思いしてくる相手は数えきれないわね。」
仲良く話すお二人がなんだか不思議でアロイスとディルも目を丸くしてこちらを見ている。
「エライザ」
キャッキャと話している二人に挟まれ呆気にとられていた所に陛下の声が聞こえてきた。
「なんだキル?」
「二リーナの偽物がいる。リトア王宮に。」
簡潔に話す陛下だけど眉間をひそめたその様子はだいぶ不愉快そうだ。
「おやまぁ、それはまた命知らずな。」
「だから言ったじゃない。いくら社交嫌いだからってちょっとは顔を出さなきゃ誰かに利用されるわよって。」
「リトアの王宮にまで入り込んでいるとなると少々厄介かもしれんぞ。どうする?二リーナ。」
陛下の言葉に慌てるよりもむしろおかしそうに話すお二人の目はテーブルの一番端に座りゆっくりと紅茶をすすっているご婦人に注がれている。
一人だけまだ紹介させていないその人のことが実は気になっていたんだけど…
雪のように真っ白な白髪を綺麗に結い上げた上品なその方はお祖母様と同じ歳くらいだろうか、いつの間にか居なくなっていたと思っていたけどちゃんといらしたんだ…
皆の視線が自分に集まっていることに気づくとその人はカップから口を離しフゥっとため息をついた。
「面倒くさい。別にいいんじゃないかい?そいつべっぴんさんだっていうし。変な顔した奴だったら気に触るけどさ。ちょうどいいから代わってもらゃあアタシもちったあ楽ができるってもんよ。賢者二リーナなんて御大層な肩書き堅苦しくて。」
言いながらグルグル首を回して見せた。
賢者二リーナさま?
見た目は高貴な貴婦人なのに…
見た目と喋り方のギャップに目を向いているとエライザ様にバレてしまった。
「ひどい言葉遣いだろう?顔面詐欺だと言われたりしているんだ。」
「そういう王妃様も褒められた喋り方じゃないだろってんだ。
まぁ、王家なのにここはこんなだから居座って羽伸ばさせてもらってるけど。
ったく貴族の連中はすぐコソコソヒソヒソ人の悪口が大好物ときたもんだ。
自分らは何もしないくせにこっちがやる事が失敗すりゃ眉をひそめ成功すりゃ媚びへつらう。寒気がするねまったく。」
口調とはうらはらに静かに置かれたカップ。流れるような手つきで皿から選び取られた一口サイズのムースが品よく口元へ運ばれる。
「うん。美味いね。今年の木苺の出来は上々じゃないか。
やっぱり料理でも菓子でも季節のもんを食うのが一番だよ。」
嬉しそうにまた紅茶を飲む二リーナ様に陛下が苦い顔を向けている。
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