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第一章 リトア王国
皆んなでお茶会です
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リークは自分に関係する話だというのに興味なさそうに飲んだり食べたりした後、ディルを連れ出してダミアンさんに持ってこさせた木刀で手合わせを始めた。
私たちは私たちでゲームの話をアリアドネ様から教えてもらい盛り上がっていた。
「え?じゃあもうダミアンからセリーナ様の話を聞いてるの?
いやだ~早すぎよ~
ゲームでのあの切ない胸キュンがなくなっちゃうじゃない。」
「切ない胸キュンですか?」
「そうよ~ゲーム内ではマリーベルがダミアンからその話を聞いた時にはセリーナ様は亡くなった後で、セリーナ様の真意に気づけなかったと涙ぐみ落ち込むマリーをディルが優しく抱きしめて慰めるのよ。」
ええ、切ないとか言ってる場合じゃない。最悪な事態が起きなくて本当に良かった。
「早すぎじゃないですよ。僕らそれを回避するために必死に頑張ったんですから。」
「そうよね。スリジェ家の皆んなが…なんて現実にはあり得ない話だけど用心するにこしたことないものね。」
「それは私も思います。スリジェ家の皆さんはあんなに強いのにゲームのような展開なんてあり得ないですよね?」
「そうよね~やっぱりゲームはゲーム。この世界とは似て非なる世界なのかしらね~」
「ご歓談中申し訳ないが…」
唐突にお父様の声が上から降ってきて私は椅子の上で飛び上がりそうになった。
「あなたがこちらにいるのは相当まずい。アリアドネ妃。リーク王子は子供という点で多少目をつぶってもらえるだろうが、隣国の妃が護衛も連れずに王宮ではなく我が家にいらしたとなれば騒ぎになる。
間もなく彼も戻ってくるでしょうし。」
顔をあげると固く口をひき結んだお父様がテーブルの側に立っていた。
「あら、失礼。こちらに迷い込んだ天使を探しにきただけのつもりがすっかり長居しちゃって。リーク、帰りますよ。」
アリアドネ様の声にこちらを向いたリークはお父様の姿を見つけて目を丸くしながら駆けてきた。放り出した木刀をディルが拾ってあげている。
「わぁ、もしかしてあなたが春雷?初めて生で見た!」
「リーク!!」
無邪気に言葉を発したリークはアリアドネ様にすごい勢いで睨まれた。
「ごめんなさい。やり直し。
はじめまして、スリジェ辺境伯。キルライト・イシェラの息子、リークです。お会いできて嬉しいです。」
ピシッと背筋を伸ばして挨拶するリークにお父様の強張っていた顔が少しもとに戻った。
「イシェラ王国とリトアの国境地域を任されておりますアラン・スリジェです。
殿下にお会いできて大変光栄でございます。」
優雅に深々と頭を下げたお父様を見るリークの目はキラキラ輝いていた。
私たちは私たちでゲームの話をアリアドネ様から教えてもらい盛り上がっていた。
「え?じゃあもうダミアンからセリーナ様の話を聞いてるの?
いやだ~早すぎよ~
ゲームでのあの切ない胸キュンがなくなっちゃうじゃない。」
「切ない胸キュンですか?」
「そうよ~ゲーム内ではマリーベルがダミアンからその話を聞いた時にはセリーナ様は亡くなった後で、セリーナ様の真意に気づけなかったと涙ぐみ落ち込むマリーをディルが優しく抱きしめて慰めるのよ。」
ええ、切ないとか言ってる場合じゃない。最悪な事態が起きなくて本当に良かった。
「早すぎじゃないですよ。僕らそれを回避するために必死に頑張ったんですから。」
「そうよね。スリジェ家の皆んなが…なんて現実にはあり得ない話だけど用心するにこしたことないものね。」
「それは私も思います。スリジェ家の皆さんはあんなに強いのにゲームのような展開なんてあり得ないですよね?」
「そうよね~やっぱりゲームはゲーム。この世界とは似て非なる世界なのかしらね~」
「ご歓談中申し訳ないが…」
唐突にお父様の声が上から降ってきて私は椅子の上で飛び上がりそうになった。
「あなたがこちらにいるのは相当まずい。アリアドネ妃。リーク王子は子供という点で多少目をつぶってもらえるだろうが、隣国の妃が護衛も連れずに王宮ではなく我が家にいらしたとなれば騒ぎになる。
間もなく彼も戻ってくるでしょうし。」
顔をあげると固く口をひき結んだお父様がテーブルの側に立っていた。
「あら、失礼。こちらに迷い込んだ天使を探しにきただけのつもりがすっかり長居しちゃって。リーク、帰りますよ。」
アリアドネ様の声にこちらを向いたリークはお父様の姿を見つけて目を丸くしながら駆けてきた。放り出した木刀をディルが拾ってあげている。
「わぁ、もしかしてあなたが春雷?初めて生で見た!」
「リーク!!」
無邪気に言葉を発したリークはアリアドネ様にすごい勢いで睨まれた。
「ごめんなさい。やり直し。
はじめまして、スリジェ辺境伯。キルライト・イシェラの息子、リークです。お会いできて嬉しいです。」
ピシッと背筋を伸ばして挨拶するリークにお父様の強張っていた顔が少しもとに戻った。
「イシェラ王国とリトアの国境地域を任されておりますアラン・スリジェです。
殿下にお会いできて大変光栄でございます。」
優雅に深々と頭を下げたお父様を見るリークの目はキラキラ輝いていた。
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