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第三章 魔法学園
イライザの様子がおかしいです
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結局イライザはその日ずっとおかしいままで授業もないのに先生に質問しに行ったまま見つからず部屋に戻っているようだとアイリーンに聞いて尋ねたけれど疲れて休んでいると面会を断られてしまった。
「しばらくそっとしておくしかないかな…」
ぼやく私にセーラが優しくうなずいてくれる。
「誰でも一人になりたい時はあるでしょうから。」
「ほっとくのが一番。イライザ寂しがり屋。すぐ出てくる。」
ルルはカリカリとペンを走らせながら素っ気なく言う。
カストルが小さく吹き出したのを私は見逃さなかった。
「まぁ、確かに。イライザって一見気が強そうに見えて寂しがり屋で繊細なところもあるから…」
「でも強い。芯がしっかりあって揺るがない。だから安心。」
「見習いたいですよね。」
「セーラは同じ。風に揺れる花みたい。すぐ折れそうに見えてしっかり根を張ってる。」
ルルの表現は確かにセーラを上手く表している。
「えっ私がですか?」
本人は全く自覚なしみたいだけど。
「できた。」
ルルはカタンとペンを置いて熱心に書いていた紙をセーラに渡す。
「さすがですわルルシア様。全問正解。綴り間違いも無しです。」
「ルル。ルルだってば。」
ハッと口を抑えたセーラは笑いながら謝っている。
「書く方が楽。話す方が難しい。
う~身体が固まった。
ねぇ、淑戦に練習しに行きたいな。セーラも一緒に。」
ルルの提案に私たちは席を立ち部室へと向かった。
部室には案の定アスターさんとソリーさんが来ていた。
活動時間が決まっていない淑戦部は自由に出入りして各自練習したり技を研究したりしているのだけど、お二人はもう住んでいるんじゃと思うくらい高確率で部室にいらっしゃる。
「あらあら」
にこやかに私たちを迎えてくれたアスターさんだけどカストルの姿を見て困ったように眉を下げ頬に手を当てる。
「淑女暗器戦闘部は乙女の集まりでして男性の方は…
あっ、もちろん心は乙女だとおっしゃるなら歓迎いたしますが?」
カストルは困った顔になり私たちとアスターさんたちに視線を走らせる。
「2年のカストルは普段はリーク殿下の護衛をしていらっしゃいますが、今日一日はルルの護衛を任されていまして。」
かわいそうになって助け舟を出す。
だってカストルったら迷子になった子犬みたいな目で見てくるんだもん。
「あらまぁ、そうでしたの。素質がありそうでしたから歓迎しようと思いましたのに見学希望ではないのですね。」
アスターさんはちょっと残念そうだ。
ソリーさんの了承も得て部室に入ることができたカストルは居心地悪そうに部屋の片隅に立っている。
先輩方に何故カストルが護衛につくことになったか説明しているとアスターさんは顔をしかめてルルの首元を調べている。
「お医者様がきちんと治療してくださったのですね。とにかく無事で本当に良かった。」
ギュッと抱きしめられたルルはキョトンとしている。
「私、とっても不思議。
みんな私にガッカリしない。
私、自分の使用人に殺されかけた。普段も嫌がらせ受けてた。情けないこと。
でも呆れたりしない。無事で良かったと言ってくれる。」
「あら、悲しいですわ。
私やソリーが貴女を嘲ると思ったの?
それは普段から屋敷にいる使用人にいじめられていたら主人側の人間としての威厳に欠けるのかしらと思いますがルルは違うでしょう?」
「どうして…マリー達にしか話してないのに。」
「聞かずとも分かりますわ。
ただ嫌がらせをしているだけではなく貴女と接し慣れていない様子をみればおのずと推測できます。
不審に思ってちょっと迎賓館の使用人に紛れこんだらすぐ色々な情報が入ってきましたし。」
ルルは感心してうなずいてるけど…えっ?使用人に紛れ込む?
カストルも顔色を悪くしている。
「ああ、そうでしたわ。カストルさんは普段リーク殿下の護衛をしていらっしゃるんでしたわね。
迎賓館の警備の穴をいくつか後ほど報告いたしますわ。」
全部は教えるつもりないんだろうな。
朗らかに笑顔を浮かべるアスターさんは罪なほど無邪気に見えた。
「しばらくそっとしておくしかないかな…」
ぼやく私にセーラが優しくうなずいてくれる。
「誰でも一人になりたい時はあるでしょうから。」
「ほっとくのが一番。イライザ寂しがり屋。すぐ出てくる。」
ルルはカリカリとペンを走らせながら素っ気なく言う。
カストルが小さく吹き出したのを私は見逃さなかった。
「まぁ、確かに。イライザって一見気が強そうに見えて寂しがり屋で繊細なところもあるから…」
「でも強い。芯がしっかりあって揺るがない。だから安心。」
「見習いたいですよね。」
「セーラは同じ。風に揺れる花みたい。すぐ折れそうに見えてしっかり根を張ってる。」
ルルの表現は確かにセーラを上手く表している。
「えっ私がですか?」
本人は全く自覚なしみたいだけど。
「できた。」
ルルはカタンとペンを置いて熱心に書いていた紙をセーラに渡す。
「さすがですわルルシア様。全問正解。綴り間違いも無しです。」
「ルル。ルルだってば。」
ハッと口を抑えたセーラは笑いながら謝っている。
「書く方が楽。話す方が難しい。
う~身体が固まった。
ねぇ、淑戦に練習しに行きたいな。セーラも一緒に。」
ルルの提案に私たちは席を立ち部室へと向かった。
部室には案の定アスターさんとソリーさんが来ていた。
活動時間が決まっていない淑戦部は自由に出入りして各自練習したり技を研究したりしているのだけど、お二人はもう住んでいるんじゃと思うくらい高確率で部室にいらっしゃる。
「あらあら」
にこやかに私たちを迎えてくれたアスターさんだけどカストルの姿を見て困ったように眉を下げ頬に手を当てる。
「淑女暗器戦闘部は乙女の集まりでして男性の方は…
あっ、もちろん心は乙女だとおっしゃるなら歓迎いたしますが?」
カストルは困った顔になり私たちとアスターさんたちに視線を走らせる。
「2年のカストルは普段はリーク殿下の護衛をしていらっしゃいますが、今日一日はルルの護衛を任されていまして。」
かわいそうになって助け舟を出す。
だってカストルったら迷子になった子犬みたいな目で見てくるんだもん。
「あらまぁ、そうでしたの。素質がありそうでしたから歓迎しようと思いましたのに見学希望ではないのですね。」
アスターさんはちょっと残念そうだ。
ソリーさんの了承も得て部室に入ることができたカストルは居心地悪そうに部屋の片隅に立っている。
先輩方に何故カストルが護衛につくことになったか説明しているとアスターさんは顔をしかめてルルの首元を調べている。
「お医者様がきちんと治療してくださったのですね。とにかく無事で本当に良かった。」
ギュッと抱きしめられたルルはキョトンとしている。
「私、とっても不思議。
みんな私にガッカリしない。
私、自分の使用人に殺されかけた。普段も嫌がらせ受けてた。情けないこと。
でも呆れたりしない。無事で良かったと言ってくれる。」
「あら、悲しいですわ。
私やソリーが貴女を嘲ると思ったの?
それは普段から屋敷にいる使用人にいじめられていたら主人側の人間としての威厳に欠けるのかしらと思いますがルルは違うでしょう?」
「どうして…マリー達にしか話してないのに。」
「聞かずとも分かりますわ。
ただ嫌がらせをしているだけではなく貴女と接し慣れていない様子をみればおのずと推測できます。
不審に思ってちょっと迎賓館の使用人に紛れこんだらすぐ色々な情報が入ってきましたし。」
ルルは感心してうなずいてるけど…えっ?使用人に紛れ込む?
カストルも顔色を悪くしている。
「ああ、そうでしたわ。カストルさんは普段リーク殿下の護衛をしていらっしゃるんでしたわね。
迎賓館の警備の穴をいくつか後ほど報告いたしますわ。」
全部は教えるつもりないんだろうな。
朗らかに笑顔を浮かべるアスターさんは罪なほど無邪気に見えた。
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