141 / 247
第三章 魔法学園
リークの様子もおかしいです
しおりを挟む
眠るイライザを囲んで困っている時にちょうどリークが現れてくれた。
「ちょうど良かったリーク。」
私は急いで事情を説明してイライザを運んでくれるよう頼む。
「なんだってこう次から次へと。分かったよ。女子寮に堂々と入るわけに行かないから先に寮長に説明してこいよ。」
面倒そうな口ぶりだけどそっと優しい手つきでイライザを抱き上げる。
セーラが急いで女子寮へ向かう。
「ルルはカストルと一緒に迎賓館へ向かってくれ。兄貴達が先に話してるから。」
ルルはイライザに心配そうな眼差しを向けてから軽くうなずきカストルを連れて迎賓館へ向かった。
「やれやれ、じゃあ行くか。」
「うん。ねぇリーク?」
「何だ」
「昨日イライザと何かあったの?」
う~ん。リークはうなり声をあげて空を仰ぐ。
「あった。っちゃあった。なかった。っちゃあなかった。」
「何それ、なぞなぞ?」
「自分でも分かんね。特別なことするつもりはなかったんだけどな~」
リークが何を言いたいのか私にはさっぱりだ。
「イライザってさ…」
リークは抱き上げたイライザを見つめながらつぶやく。
「気が強いよな。」
「待って、ほんと急にどうしたの?昨日ケンカしたの?イライザと。」
「いつまでも自分の兄貴に過保護だし。」
「まぁ、そういう部分もあるね~」
「意地っ張りだし。」
「まぁ…時々?」
「負けず嫌いですぐリノアと張り合うし。」
「うう、まぁね。」
「だから知らなかったんだよ。イライザもあんな風に泣くこと。」
「え?」
私は驚いて足を止めてしまった。
「俺が………って思ったんだよ。なんでか無性に。」
「え?え?何?聞こえなかった。もう一度言って。」
慌てて駆け寄り隣に並ぶ。
「んだよ。ってかマジで起きないなイライザ。お前どんだけ強い浄化魔法ぶちかましたんだ?」
「そんな、ちょっとだけだよ。本当にちょびっと。」
疑わしそうな視線を向けられ私はグッと黙り込んだ。
ちょびっと…だったよね?
悩んでいたらセーラと寮長の姿が見えた。
寮に近づいたせいか人通りも多く皆んなが驚いた視線をイライザとリークに向けている。
リークは結局イライザを部屋まで運んでくれて寮長やイライザの侍女たちに恐縮されていた。
その後すぐ寮を出て迎賓館に向かいながらリークはため息を吐き出した。
「あ~あ、明日から面倒なことになりそうだな。結構見られたし。」
「ごめんね、リーク。私が責任を持って事情を説明するから。」
「頼むわ。にしても…」
何やら両手を見下ろしながら顔をしかめている。
「どうしたの?」
「いや、別に。(あいつ軽すぎじゃね?ちゃんと食ってんのかな…)」
迎賓館の前には王立騎士団の制服姿の人たちが立ち並び物々しい雰囲気にあふれている。
そんな中ちょうど中から出てきた人物に私は駆け寄った。
「ディル!」
ディルは優しい笑顔で私たちに片手をあげる。
「大変だったみたいだね。」
労うように言われてブンブン頭を横にふる。
「大変だったのはルルとイライザだよ。私は何も力になれなくて…」
「アロイス様にまだ動かないよう止められてたんだからあまり気にしないで。
友達が辛い目にあってマリーも辛かったでしょ?」
優しい手つきで頭を撫でられる。
うう、ディル優しい。さすがヒロイン。側にいてくれるだけで癒される。
「リークの活躍も聞いてるよ。お疲れ様。」
「おう。ありがとう…なぁ、ディル。」
リークは少し考え込むような仕草でジッとディルを見ている。
「何?」
「後で相談に乗ってくれ。」
「えっ僕でいいの?いいならもちろん相談に乗るけど…ちゃんと力になれるかな…」
「もちろんだ。ディルに頼みたいんだから。」
リークは満足したように迎賓館の中へ入っていく。
「相談ってなんだろう…」
自分には相談してくれなかったことを少し寂しく感じながら私はリークの背中を見送った。
「ちょうど良かったリーク。」
私は急いで事情を説明してイライザを運んでくれるよう頼む。
「なんだってこう次から次へと。分かったよ。女子寮に堂々と入るわけに行かないから先に寮長に説明してこいよ。」
面倒そうな口ぶりだけどそっと優しい手つきでイライザを抱き上げる。
セーラが急いで女子寮へ向かう。
「ルルはカストルと一緒に迎賓館へ向かってくれ。兄貴達が先に話してるから。」
ルルはイライザに心配そうな眼差しを向けてから軽くうなずきカストルを連れて迎賓館へ向かった。
「やれやれ、じゃあ行くか。」
「うん。ねぇリーク?」
「何だ」
「昨日イライザと何かあったの?」
う~ん。リークはうなり声をあげて空を仰ぐ。
「あった。っちゃあった。なかった。っちゃあなかった。」
「何それ、なぞなぞ?」
「自分でも分かんね。特別なことするつもりはなかったんだけどな~」
リークが何を言いたいのか私にはさっぱりだ。
「イライザってさ…」
リークは抱き上げたイライザを見つめながらつぶやく。
「気が強いよな。」
「待って、ほんと急にどうしたの?昨日ケンカしたの?イライザと。」
「いつまでも自分の兄貴に過保護だし。」
「まぁ、そういう部分もあるね~」
「意地っ張りだし。」
「まぁ…時々?」
「負けず嫌いですぐリノアと張り合うし。」
「うう、まぁね。」
「だから知らなかったんだよ。イライザもあんな風に泣くこと。」
「え?」
私は驚いて足を止めてしまった。
「俺が………って思ったんだよ。なんでか無性に。」
「え?え?何?聞こえなかった。もう一度言って。」
慌てて駆け寄り隣に並ぶ。
「んだよ。ってかマジで起きないなイライザ。お前どんだけ強い浄化魔法ぶちかましたんだ?」
「そんな、ちょっとだけだよ。本当にちょびっと。」
疑わしそうな視線を向けられ私はグッと黙り込んだ。
ちょびっと…だったよね?
悩んでいたらセーラと寮長の姿が見えた。
寮に近づいたせいか人通りも多く皆んなが驚いた視線をイライザとリークに向けている。
リークは結局イライザを部屋まで運んでくれて寮長やイライザの侍女たちに恐縮されていた。
その後すぐ寮を出て迎賓館に向かいながらリークはため息を吐き出した。
「あ~あ、明日から面倒なことになりそうだな。結構見られたし。」
「ごめんね、リーク。私が責任を持って事情を説明するから。」
「頼むわ。にしても…」
何やら両手を見下ろしながら顔をしかめている。
「どうしたの?」
「いや、別に。(あいつ軽すぎじゃね?ちゃんと食ってんのかな…)」
迎賓館の前には王立騎士団の制服姿の人たちが立ち並び物々しい雰囲気にあふれている。
そんな中ちょうど中から出てきた人物に私は駆け寄った。
「ディル!」
ディルは優しい笑顔で私たちに片手をあげる。
「大変だったみたいだね。」
労うように言われてブンブン頭を横にふる。
「大変だったのはルルとイライザだよ。私は何も力になれなくて…」
「アロイス様にまだ動かないよう止められてたんだからあまり気にしないで。
友達が辛い目にあってマリーも辛かったでしょ?」
優しい手つきで頭を撫でられる。
うう、ディル優しい。さすがヒロイン。側にいてくれるだけで癒される。
「リークの活躍も聞いてるよ。お疲れ様。」
「おう。ありがとう…なぁ、ディル。」
リークは少し考え込むような仕草でジッとディルを見ている。
「何?」
「後で相談に乗ってくれ。」
「えっ僕でいいの?いいならもちろん相談に乗るけど…ちゃんと力になれるかな…」
「もちろんだ。ディルに頼みたいんだから。」
リークは満足したように迎賓館の中へ入っていく。
「相談ってなんだろう…」
自分には相談してくれなかったことを少し寂しく感じながら私はリークの背中を見送った。
0
あなたにおすすめの小説
【完結】私ですか?ただの令嬢です。
凛 伊緒
恋愛
死んで転生したら、大好きな乙女ゲーの世界の悪役令嬢だった!?
バッドエンドだらけの悪役令嬢。
しかし、
「悪さをしなければ、最悪な結末は回避出来るのでは!?」
そう考え、ただの令嬢として生きていくことを決意する。
運命を変えたい主人公の、バッドエンド回避の物語!
※完結済です。
※作者がシステムに不慣れかつ創作初心者な時に書いたものなので、温かく見守っていだければ幸いです……(。_。///)
※ご感想・ご指摘につきましては、近況ボードをお読みくださいませ。
《皆様のご愛読に、心からの感謝を申し上げますm(*_ _)m》
村娘になった悪役令嬢
枝豆@敦騎
恋愛
父が連れてきた妹を名乗る少女に出会った時、公爵令嬢スザンナは自分の前世と妹がヒロインの乙女ゲームの存在を思い出す。
ゲームの知識を得たスザンナは自分が将来妹の殺害を企てる事や自分が父の実子でない事を知り、身分を捨て母の故郷で平民として暮らすことにした。
村娘になった少女が行き倒れを拾ったり、ヒロインに連れ戻されそうになったり、悪役として利用されそうになったりしながら最後には幸せになるお話です。
※他サイトにも掲載しています。(他サイトに投稿したものと異なっている部分があります)
アルファポリスのみ後日談投稿しております。
【完結】乙女ゲーム開始前に消える病弱モブ令嬢に転生しました
佐倉穂波
恋愛
転生したルイシャは、自分が若くして死んでしまう乙女ゲームのモブ令嬢で事を知る。
確かに、まともに起き上がることすら困難なこの体は、いつ死んでもおかしくない状態だった。
(そんな……死にたくないっ!)
乙女ゲームの記憶が正しければ、あと数年で死んでしまうルイシャは、「生きる」ために努力することにした。
2023.9.3 投稿分の改稿終了。
2023.9.4 表紙を作ってみました。
2023.9.15 完結。
2023.9.23 後日談を投稿しました。
悪役令嬢のビフォーアフター
すけさん
恋愛
婚約者に断罪され修道院に行く途中に山賊に襲われた悪役令嬢だが、何故か死ぬことはなく、気がつくと断罪から3年前の自分に逆行していた。
腹黒ヒロインと戦う逆行の転生悪役令嬢カナ!
とりあえずダイエットしなきゃ!
そんな中、
あれ?婚約者も何か昔と態度が違う気がするんだけど・・・
そんな私に新たに出会いが!!
婚約者さん何気に嫉妬してない?
悪役令嬢ですが、当て馬なんて奉仕活動はいたしませんので、どうぞあしからず!
たぬきち25番
恋愛
気が付くと私は、ゲームの中の悪役令嬢フォルトナに転生していた。自分は、婚約者のルジェク王子殿下と、ヒロインのクレアを邪魔する悪役令嬢。そして、ふと気が付いた。私は今、強大な権力と、惚れ惚れするほどの美貌と身体、そして、かなり出来の良い頭を持っていた。王子も確かにカッコイイけど、この世界には他にもカッコイイ男性はいる、王子はヒロインにお任せします。え? 当て馬がいないと物語が進まない? ごめんなさい、王子殿下、私、自分のことを優先させて頂きまぁ~す♡
※マルチエンディングです!!
コルネリウス(兄)&ルジェク(王子)好きなエンディングをお迎えください m(_ _)m
2024.11.14アイク(誰?)ルートをスタートいたしました。
楽しんで頂けると幸いです。
※他サイト様にも掲載中です
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
完璧(変態)王子は悪役(天然)令嬢を今日も愛でたい
咲桜りおな
恋愛
オルプルート王国第一王子アルスト殿下の婚約者である公爵令嬢のティアナ・ローゼンは、自分の事を何故か初対面から溺愛してくる殿下が苦手。
見た目は完璧な美少年王子様なのに匂いをクンカクンカ嗅がれたり、ティアナの使用済み食器を欲しがったりと何だか変態ちっく!
殿下を好きだというピンク髪の男爵令嬢から恋のキューピッド役を頼まれてしまい、自分も殿下をお慕いしていたと気付くが時既に遅し。不本意ながらも婚約破棄を目指す事となってしまう。
※糖度甘め。イチャコラしております。
第一章は完結しております。只今第二章を更新中。
本作のスピンオフ作品「モブ令嬢はシスコン騎士様にロックオンされたようです~妹が悪役令嬢なんて困ります~」も公開しています。宜しければご一緒にどうぞ。
本作とスピンオフ作品の番外編集も別にUPしてます。
「小説家になろう」でも公開しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる