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第三章 魔法学園
ニリーナ様を超えちゃいました?
しおりを挟む「やれやれ、こんなもんでいいだろう。」
ニリーナ様がひと仕事終わったというように首をぐるぐる回してハフスさんから離れると、叩かれすぎたから…というよりは大声で叫びすぎて疲れたらしくゼェゼェいいながらハフスさんがしゃがみ込んだ。
「さすが師匠。よくこんなに手際よく彼女の精神を傷つけずにあの女の魔力を離散させることができますね。
まぁ、さすがに話を進める前に休息が必要でしょうけど」
言いながらアロイスが杖を振るとハフスさんは巨大なシャボン玉のようなものに包まれ、そのまま倒れ込んで眠ってしまう。
「ったりめーだろ。アンタが聖獣を守護獣にしようが魔力量が私を超えようが経験値が違うからね。」
ニリーナ様は陛下たちの側に戻りがてらアロイスの額に再びデコピンをしている。
「痛い!もう、師匠やめてくださいよ。」
「つけ上がらないよう釘を指すのも師の務めだ。」
ニリーナ様は嬉しそうにニンマリ笑みを浮かべている。
「ニリーナ、先ほどから言っていることは…アロイスは賢者になっただけではなくそなたをも超越していると?」
「そりゃそうさ、あんなの連れてんだからね。」
くいっとアゴでニリーナ様がリーダーを示す。
当の本人?は話題に上がっても我関せずといった様子でクルリと体を丸め、あくびをした。
「しかし、アロイスは曲がりなりにもまだ学生だぞ?
賢者の称号を得たことだけでも世間を騒がせるだろうにそなたを超えた力を持つとなると…」
陛下は戸惑った様子でニリーナ様とアロイス、リーダーを見ている。
「学生だろうが若すぎだろうがなっちまったもんは仕方ねーだろが。
じゃ、何かい?あたしゃばーさんだから賢者であっても不思議はないってのかい?失礼な奴だよまったく。」
「そうではない、そう言いたいのではなくてだな。」
焦った様子の陛下の肩にエライザ王妃の手が乗る。
「からかわれているんだよキル。
ニリーナ、それだけの力があるなら周りの者の目をくらませることなど容易いのだろう?」
「へっ、せっかく久々に遊んでたのにつまらねーな。そうさ、今だってあたし以外は気づかなかったじゃないか。わざと隠してんだろ?アロイス。」
アロイスはにっこりと笑みを浮かべる。
「はい、色々面倒なことになると嫌なので。できればこのままマリーたちと学園生活を楽しみたいんですよね~」
陛下は眉間にシワを寄せて腕を組む。
「ほう、それはアロイスとしてか?リノアとしてか?」
「うーん、正直どちらでもいいんですけど…あっ、でもリノアの方がマリーと隣り合って暮らせるからいいですね。すぐ部屋に行けるから便利だし。」
ずっと大人しく座っていたイライザが目を大きく見開いた後、陛下の許しを得て立ち上がりサッと私の隣にきて肩を抱く。
「破廉恥ですわ!
アロイス様、いくら婚約者といえど婚前に堂々と婚約者の部屋に入るなんて。
そういえば部屋で二人きりにもなっていましたわね?
私の大切なお友達にいかがわしいことをなさっていないでしょうね?」
ホープもイライザと私、両方を抱き込むように尻尾を私たちに巻き付けからかうようにアロイスを見る。
「アロイスすけべ」
アロイスは特に動じた様子もなく口を尖らせる。
「まだ何もしてないよ~」
「まだですって!ますます信用なりませんわ。
陛下、おそれながら申し上げますが私リノアとしてアロイス様が学園生活をおくることには反対させていただきます。」
「なんだよ、お前ら何年も婚約しててまだ何もしてないのか。」
リークが意外そうな顔でこちらを見ている。
「いいんだよ、僕らには僕らのペースがあるんだから。
ね、マリー」
ニコニコ笑顔を向けられても…こんな王族の皆様の前でする話じゃないと思うんだけど。
私は真っ赤になってうつむいてしまった。
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