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正体5
しおりを挟むはぁ……と片手で頭を押さえるフードの彼。
殿下と呼ばれるのは王族だけだわ。
きっとお忍びで市中の様子を見に来ている王子様なのね!
「……今のは聞かなかったことに致しますわ。」
「えっ」
「だからご安心されてください。」
王族なんてなんてめんどくさい人種に出会ってしまったのかしら。
逃げるが勝ちよ。
「それではお気をつけて。」
招待がバレた今、もう二度と彼が来ることはないでしょう。
そう思って店に戻ろうとすると、
「ま、待ってくれ!」
なんと《殿下》が私の手を掴んで引き留めた。
「正体がバレた今、君に話したいことがあるんだ。」
「そう言われましても……」
「クローディア・ウィンター。」
「なぜ私の名前をっ」
「初めて会った時は気付かなかった。だが、隣国から貴女がこの国に来ているから保護してほしいと要請を受けた時に似顔絵を見てまさかと思ったんだ。」
保護要請ですって!?
まさか王室が私を連れ戻そうとしているのかしら
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