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「…君は、何か勘違いしているようだね。」
しかもそれは、ボクにとって物凄く気持ちの悪い勘違い。
「親衛隊とは本来、委員会と同等の機関であり、ファンクラブでもなんでもない。
因みに、ボクが親衛隊に入った理由はボクが1年の時の生徒会役員の皆様に憧れてであって、今の生徒会連中には何の想いもない。寧ろ嫌いだね。」
「何で…」
「何でだって?そんな分かり切ったことを今更?君はあんなにずっと生徒会と一緒にいたのに、何を見てきた、いや、何を見てこなかったんだ?」
「見て、こなかったものなんて、答えられるかよ!」
「それはそうだろうな。君は見たものしか信じない。では君は、何処で親衛隊の制裁を見た?ボク達の普段の活動を、何時見たんだ?」
餌を求める鯉のように口をぱくぱくさせる転入生。
いつもなら誰かがここで助けてくれるのだろう。
いや、こうなる前に助けられるんだろうな。
「見てるはずが無い。だってボクらは制裁なんかしちゃいない。正確に言えば、制裁なんかに割ける時間なんて無かった。なぜなら、君が生徒会の連中と楽しく遊んでいる間、ボク達が生徒会の代わりに仕事をしていたからだ。君は生徒会連中が仕事をしている姿を見たことがあるか?あるはず無いよな。だってやってないんだから。この、生徒の自主性を重んじて他校では教員がやるような仕事も生徒会に回ってくる学校で、君は生徒会が仕事をしている姿を見たことが無い。あんなに一緒にいたのに。常に離れず傍にいたのに。」
「そんなこと、知らなかった…」
「知らなかった?それもそうか。同情で傍にいてやっただけなんだもんな。可哀相だから見捨てなかっただけなんだもんな。深くなんて知る必要ないんだもんな。この学校は腐ってるからこの学校のことなんて知らなくてもいいんだもんな。」
「そういうことじゃ…」
「じゃあ知らなかったというのはどういうことなんだ?お友達からも説明されていたんだろ?ボクからの説明は受け付けなかったろ?それで、知らなかったで済むと思ってるのか?」
ついに言い訳もしなくなった転入生。
しないのではなく、出来ないといった方が正しいのだろう。
歯を食い縛り軽く俯き責められて辛いというのを全身を使って訴えてくる。
そんな姿に苛立ちが募る。
「君はこの学校を変えると言った。その為に君は何をした?生徒会連中と毎日毎日楽しく遊んでいただけだろう。授業にも出ないで君は学校に何をしに来ているんだ。先生方が君を心配しているのを知っているか?
君が来てからこの学校は変わったよ。確かに、生徒会を顔と金で選んだ者は多いかもしれない。でも君が来るまでは仕事もきちんとこなしていた。実績があった。だから皆彼らを尊敬していた。ボク等に対する態度がいいとは言えなかったが文句も言えなかった。だが今はどうだ?彼等から顔と金をとったら何が残る?自分の置かれた立場を忘れ同情を愛情と履き違えてその情に溺れた愚か者だ。誰が彼等をそんな風にしてしまった?誰が彼等を変えたんだ?」
ボクを掴んでいる手にはすでに力は入っていない。
それどころか小刻みに震えていてとても弱々しい。
しかし、いくら言っても言い足りない。
ボクは相当腹が立っているようだ。
でも、そろそろ終わりにしないといけないな。
「もう一度問う。君は、この学校で何を見た?」
「俺は、俺…」
「この学校を変える為に何をした?」
「何、を…俺は、何も…」
「君はボクにこの腐った学校を変えると言った。それはこんな変え方だったのか?」
「ち、がう…俺は、良く、したい…」
捕まれている手を握り、ボクから離させる。
「ならば、その為にチャンスをやろう。親衛隊の隊長というチャンスを。」
「チャン、ス?」
「外から見た普通を押しつけるんじゃなく、中から見て変えるんだ。此処を知ることから始めろ。」
「……わか、った。」
「先ずはその口の聞き方からだ。ボクは君の先輩だぞ。」
「ッ…わかり、ました。」
これでいい。
まだ言いたいことは山程あるが、それはボクの気を晴らすだけの行為になってしまう。
それでは意味が無い。
だってこれは……
ボクは掴まれてよれてしまった制服を整え、きちんと前を向き直る。
「親衛隊諸君!これにて、生徒会、及び転入生に対する制裁を終了とする!以後、勝手な行動は慎むように!」
「「「「「「はい!!!」」」」」」
久しぶりに見た皆の満面の笑みに、僕も自然と笑顔が零れた。
すると、どこからともなく拍手が起こり、気付けば殆どの生徒が拍手をしていた。
なんだか照れる。
しかもそれは、ボクにとって物凄く気持ちの悪い勘違い。
「親衛隊とは本来、委員会と同等の機関であり、ファンクラブでもなんでもない。
因みに、ボクが親衛隊に入った理由はボクが1年の時の生徒会役員の皆様に憧れてであって、今の生徒会連中には何の想いもない。寧ろ嫌いだね。」
「何で…」
「何でだって?そんな分かり切ったことを今更?君はあんなにずっと生徒会と一緒にいたのに、何を見てきた、いや、何を見てこなかったんだ?」
「見て、こなかったものなんて、答えられるかよ!」
「それはそうだろうな。君は見たものしか信じない。では君は、何処で親衛隊の制裁を見た?ボク達の普段の活動を、何時見たんだ?」
餌を求める鯉のように口をぱくぱくさせる転入生。
いつもなら誰かがここで助けてくれるのだろう。
いや、こうなる前に助けられるんだろうな。
「見てるはずが無い。だってボクらは制裁なんかしちゃいない。正確に言えば、制裁なんかに割ける時間なんて無かった。なぜなら、君が生徒会の連中と楽しく遊んでいる間、ボク達が生徒会の代わりに仕事をしていたからだ。君は生徒会連中が仕事をしている姿を見たことがあるか?あるはず無いよな。だってやってないんだから。この、生徒の自主性を重んじて他校では教員がやるような仕事も生徒会に回ってくる学校で、君は生徒会が仕事をしている姿を見たことが無い。あんなに一緒にいたのに。常に離れず傍にいたのに。」
「そんなこと、知らなかった…」
「知らなかった?それもそうか。同情で傍にいてやっただけなんだもんな。可哀相だから見捨てなかっただけなんだもんな。深くなんて知る必要ないんだもんな。この学校は腐ってるからこの学校のことなんて知らなくてもいいんだもんな。」
「そういうことじゃ…」
「じゃあ知らなかったというのはどういうことなんだ?お友達からも説明されていたんだろ?ボクからの説明は受け付けなかったろ?それで、知らなかったで済むと思ってるのか?」
ついに言い訳もしなくなった転入生。
しないのではなく、出来ないといった方が正しいのだろう。
歯を食い縛り軽く俯き責められて辛いというのを全身を使って訴えてくる。
そんな姿に苛立ちが募る。
「君はこの学校を変えると言った。その為に君は何をした?生徒会連中と毎日毎日楽しく遊んでいただけだろう。授業にも出ないで君は学校に何をしに来ているんだ。先生方が君を心配しているのを知っているか?
君が来てからこの学校は変わったよ。確かに、生徒会を顔と金で選んだ者は多いかもしれない。でも君が来るまでは仕事もきちんとこなしていた。実績があった。だから皆彼らを尊敬していた。ボク等に対する態度がいいとは言えなかったが文句も言えなかった。だが今はどうだ?彼等から顔と金をとったら何が残る?自分の置かれた立場を忘れ同情を愛情と履き違えてその情に溺れた愚か者だ。誰が彼等をそんな風にしてしまった?誰が彼等を変えたんだ?」
ボクを掴んでいる手にはすでに力は入っていない。
それどころか小刻みに震えていてとても弱々しい。
しかし、いくら言っても言い足りない。
ボクは相当腹が立っているようだ。
でも、そろそろ終わりにしないといけないな。
「もう一度問う。君は、この学校で何を見た?」
「俺は、俺…」
「この学校を変える為に何をした?」
「何、を…俺は、何も…」
「君はボクにこの腐った学校を変えると言った。それはこんな変え方だったのか?」
「ち、がう…俺は、良く、したい…」
捕まれている手を握り、ボクから離させる。
「ならば、その為にチャンスをやろう。親衛隊の隊長というチャンスを。」
「チャン、ス?」
「外から見た普通を押しつけるんじゃなく、中から見て変えるんだ。此処を知ることから始めろ。」
「……わか、った。」
「先ずはその口の聞き方からだ。ボクは君の先輩だぞ。」
「ッ…わかり、ました。」
これでいい。
まだ言いたいことは山程あるが、それはボクの気を晴らすだけの行為になってしまう。
それでは意味が無い。
だってこれは……
ボクは掴まれてよれてしまった制服を整え、きちんと前を向き直る。
「親衛隊諸君!これにて、生徒会、及び転入生に対する制裁を終了とする!以後、勝手な行動は慎むように!」
「「「「「「はい!!!」」」」」」
久しぶりに見た皆の満面の笑みに、僕も自然と笑顔が零れた。
すると、どこからともなく拍手が起こり、気付けば殆どの生徒が拍手をしていた。
なんだか照れる。
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