貴方のために

土田

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よし、いよいよ本当の最後の時だ。


「皆さん、今日は本当にありがとうございました。今から話す事は、まったくの私情です。なので、聞かなくてもいいです。」


心に決めていたこととは言え、緊張する。
それを悟られないよう、僕は静かに深呼吸をした。


「ボクが今の生徒会になってからも親衛隊の活動に真面目に参加していたのには、訳があります。」


探さなくても自然と目に入るあの人をまっすぐ見つめる。


「それは勿論、生徒会の為なんかじゃなくて、そこに行けば……貴方がいたからです。
貴方を見るたびに嬉しくて、貴方を知ることが楽しくて、貴方の傍にいると思うだけで幸せでした。
だから、不謹慎かも知れないけれど、今日わざわざ会いに来てくれたことが、内容は、謝りにだったけれど、本当に嬉しかったです。」


あぁ、心臓が壊れてしまいそう。

でも、これが最後だから。

伝えると決めたんだ。


「ボクはずっと、ずっと…

貴方のことが、好きでした!」


言った。
自分でも驚くほどに穏やかな気分だ。
さっきまでひどく煩かった心臓も、今は落ち着いている。


「幸せな時間を、本当にありがとうございました!!」


ゆっくり頭を下げ、あの人を視界から外す。

これで、ボクがこの学校でやることはもう無い。
すべて終わった。

こうしてボクは、何も思い残すことなく学校を去った。


















…はずだった。


「何でボクまだこの学校にいるの?」

「まぁまぁ、いいじゃないですか、隊長。」

「ボクもう隊長じゃないよ。」

「あ、そうでしたね、

会長!」


あの、ボクの一世一代の告白のあと、パチパチと手を叩き「素晴らしい!青春だね!」と茶化しながら理事長が舞台の上にやってきた。
そしてボクの横までやってくるとしっかりマイクに声が入るようにこう吐かしやがったんだ。


「いやぁ実にいい、正にトップに立つ人間に相応しい演説だったよ。最近教師陣からも生徒会の立ち振舞いについては問題視する声が上がっていてね。これを期に総取り替えでもしようかと思っていたんだ。そこで、君を会長に任命しようと思う。君なら誰も文句は言わないだろう。何、大丈夫!他のメンバーも君の知り合いで固めさせてもらうよ。安心したまえ!」


どうやら、生徒会の罪はボク達が思っていたよりも重かったようだ。
しかし、役員達は誰一人として文句を言わず素直に退いていった。

そうしてあれよあれよと言う間にボクは生徒会長になっていた。
なんてふざけた学校だろう。

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