誰よりも早く異世界転移しました!

広野 うみ

文字の大きさ
22 / 44
SSSランクへ

VS闇ギルド

しおりを挟む
『ユニークスキル:白龍の息吹』

 闇ギルドの1人の頭上から、超巨大な魔法陣が展開する。そこから龍の頭が現れ、開いた口から高出力のブレスが放たれる。会場がそこまで広くないのもあり、ブレスはすぐさま俺達に到着するだろう。前回戦った、龍人化した奴のブレスとは全く規模が違い本来の龍の攻撃は『龍魔法』とは別物なのだろう。

「リク、どうにかしてよあれ」
「ふざけんな、俺のユニークでも絶対防げねーよ」

 ミレイとリクという男性のやり取りが聞こえる。『魔女の都』でも簡単には防げないみたいだ。
 ただ、俺にとっては一番の悪手だろう。

「防ぎはなしないが、俺にまかせろ『空間魔法:交替』」

 俺達と場所が変わった連中の背中に、『白龍の息吹』が直撃する。周りのすべてを飲み込み衝撃の余波が俺達の方までくる。それでも全滅はしてないだろうと俺はすぐさま振り返り、刃を伸ばした『邪神の鎌』を横に振るう。『スキル:飛斬』を発動させ、横一直線に斬撃がさらに連中を襲う。

 振り返ってその光景を見た『自由の都』の面々が『白龍の息吹』の威力に驚いている。攻撃力だけを考えるとユニークスキルでも最強の部類を誇るだろう。敵は砂埃が舞っていてまだ確認できない。

「これはやったか?」
「「フラグ立てるのやめてください!!」」

 茶番をしている後ろを向くと、頭を叩かれるスバルがいた。お前かよ!
 ただ、そんな茶番はすぐに終わる。

「おいおい、やってくれるじゃねぇか」
 ブレスが落ちた所から12人の姿が見える。防いだ方法は検討つかないが、全員無傷だった。

「殺る前にだが、俺達は闇ギルドから依頼を受けたクラン『死の宣告』だ。んで俺がパーティー『DETH(デス)』兼クランのリーダーの景虎だわ。てっとり早く魔王を倒したい。お前ら強そうだし、こっちに入るなら見逃してやるぜ?」
「魔王をてっとり早く倒すために転移者を殺していると言うわけか」
「話がわかるねぇ。ダンジョンやモンスターを倒すよりドロップがいいからな。まぁ今回は純粋に闇ギルドの依頼のために来ただけだ。で俺達とどうだ?終わったら日本に帰れるんだから殺人とか関係ねえよ?」
「クズが!!」
「そうかい、なら魔王討伐の糧にでもなってくれや」

 スバルと景虎の会話が終わると同時に、全員が武器を構える。

「『魔女の都』が『DETH』と戦う。ユリトは『フロマージュ』の方を手伝ってくれ、メンバーの1人がこの空間を作っているから戦えない」

 すぐさま返事を返し、前衛の玲奈の横に立ち、よろしくと声をかける。
 そしてパーティー同士が対峙する。相手は武器を構えた前衛2人に魔法使い2人とその他2人という感じだ。見た目では判断できないが、その他の1人は回復役だろう。

 連携なんて分からないため、好きになせてもらう。『スキル:瞬身』。
 一瞬で剣を持った前衛の前に移動し『邪神の鎌』を振り落す。自分で言うのもあれだが、完璧な初見殺しだ。普通に持っている鎌が、ありえない重さで振ってくるとは思わないだろう。案の定、剣で受けた前衛は鎌の重さに耐え切れず、一撃で沈み光の粒子となる。横にいた槍を構えた残った1人の前衛が仕掛けてきたが、『ユニークスキル:疾風』で追いついた玲奈に止められる。

『雷魔法:雷槍』×10

 麻里が相手の魔法使い目がけ、魔法を放つ。麻里のユニークスキルは同時発動とかだろう。2個目の魔法取得時に試したが、同時に複数の魔法は発動できなかった。

『土魔法:土人形』
『ユニークスキル:雷神の槌』
『ユニークスキル:五重結界』

 雷槍を防ぐための土人形が現れる。そして後ろにいる4人の頭上から白龍の息吹の一回り小さい魔法陣が現れ、雷を纏った槌が落下してくる。すぐさま『フロマージュ』の盾役の男が、ユニークスキルを発動したが、すべてを防ぎきることができず4人に雷が襲った。土人形はすぐさま『堕天使の鎌』で消滅させ、相手にも雷槍が降り注いだが魔法使い達を殺すまでの威力はなかった。後ろでは盾役が倒れているが、他の3人はなんとか意識があるので後は翔子が回復を行うだろう。

『スキル:拡張音』
「すみませーん、そろそろ時間でーす」

 耳を防ぎたくなる声が、この空間を作った女から発声される。
 戻る前に魔法使いを始末するべきと考えた俺はすぐさま倒れている2人めがけて鎌を振り落としたが、横から伸びてきた手に寄って雷神の槌を放った男を回収されてしまった。
(ゴ○人間までいるのかよ)

 直後、一瞬にして元の場所に戻った時には、『死の宣告』が消えていた。最初現れた時と同じ手口を使ったのだろう。魔眼で居場所を探れなかった。
 会場に他にいたのは俺を待っていたメフィスとラファだけだった。状況を聞くために話かけようとする・・・・・・

「逃げられましたね」
「なんでミレイが!!!」
「落ち着けリク」

『魔女の都』は5人しかいない。ミレイがやられたのだろう。
『自由の都』内に哀愁が漂う――
 ミレイとは友人関係と呼べるものはなかったが、俺に話しかけてくる数少ない転移者の一人だった。決して死んでいい人ではない。異世界に来て死に対する意識が薄れているが、知り合いが殺されて冷静にはなれなかった。『死の宣告』は絶対潰す。

(俺らと一緒くらいに戻ってきて消えた奴等を見たか?)
(『闇魔法:影移動』で逃げたやつなら、ユリト様の敵だと思い『闇魔法:闇人形』を影に入れて追跡しております)
(さすがだラファ。2人ともミレイの弔い戦にいくからついてこい)
((了解です))

「スバル、国王とギルド長の報告はまかせた!俺は用事ができたから少し出てくるよ」
「ああ、それはかまわないけど。どこにいくんだい?」
「どこかは言えないけど戻ってきたら顔をだすよ」

 俺は会場を後にする。
 待っていろ『死の宣告』――

しおりを挟む
感想 4

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

ネグレクトされていた四歳の末娘は、前世の経理知識で実家の横領を見抜き追放されました。これからはもふもふ聖獣と美食巡りの旅に出ます。

☆ほしい
ファンタジー
アークライト子爵家の四歳の末娘リリアは、家族から存在しないものとして扱われていた。食事は厨房の残飯、衣服は兄姉のお下がりを更に継ぎ接ぎしたもの。冷たい床で眠る日々の中、彼女は高熱を出したことをきっかけに前世の記憶を取り戻す。 前世の彼女は、ブラック企業で過労死した経理担当のOLだった。 ある日、父の書斎に忍び込んだリリアは、ずさんな管理の家計簿を発見する。前世の知識でそれを読み解くと、父による悪質な横領と、家の財産がすでに破綻寸前であることが判明した。 「この家は、もうすぐ潰れます」 家族会議の場で、リリアはたった四歳とは思えぬ明瞭な口調で破産の事実を突きつける。激昂した父に「疫病神め!」と罵られ家を追い出されたリリアだったが、それは彼女の望むところだった。 手切れ金代わりの銅貨数枚を握りしめ、自由を手に入れたリリア。これからは誰にも縛られず、前世で夢見た美味しいものをたくさん食べる生活を目指す。

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

転生したら名家の次男になりましたが、俺は汚点らしいです

NEXTブレイブ
ファンタジー
ただの人間、野上良は名家であるグリモワール家の次男に転生したが、その次男には名家の人間でありながら、汚点であるが、兄、姉、母からは愛されていたが、父親からは嫌われていた

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。

45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる

よっしぃ
ファンタジー
2巻決定しました! 【書籍版 大ヒット御礼!オリコン18位&続刊決定!】 皆様の熱狂的な応援のおかげで、書籍版『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』が、オリコン週間ライトノベルランキング18位、そしてアルファポリス様の書店売上ランキングでトップ10入りを記録しました! 本当に、本当にありがとうございます! 皆様の応援が、最高の形で「続刊(2巻)」へと繋がりました。 市丸きすけ先生による、素晴らしい書影も必見です! 【作品紹介】 欲望に取りつかれた権力者が企んだ「スキル強奪」のための勇者召喚。 だが、その儀式に巻き込まれたのは、どこにでもいる普通のサラリーマン――白河小次郎、45歳。 彼に与えられたのは、派手な攻撃魔法ではない。 【鑑定】【いんたーねっと?】【異世界売買】【テイマー】…etc. その一つ一つが、世界の理すら書き換えかねない、規格外の「便利スキル」だった。 欲望者から逃げ切るか、それとも、サラリーマンとして培った「知識」と、チート級のスキルを武器に、反撃の狼煙を上げるか。 気のいいおっさんの、優しくて、ずる賢い、まったり異世界サバイバルが、今、始まる! 【書誌情報】 タイトル: 『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』 著者: よっしぃ イラスト: 市丸きすけ 先生 出版社: アルファポリス ご購入はこちらから: Amazon: https://www.amazon.co.jp/dp/4434364235/ 楽天ブックス: https://books.rakuten.co.jp/rb/18361791/ 【作者より、感謝を込めて】 この日を迎えられたのは、長年にわたり、Webで私の拙い物語を応援し続けてくださった、読者の皆様のおかげです。 そして、この物語を見つけ出し、最高の形で世に送り出してくださる、担当編集者様、イラストレーターの市丸きすけ先生、全ての関係者の皆様に、心からの感謝を。 本当に、ありがとうございます。 【これまでの主な実績】 アルファポリス ファンタジー部門 1位獲得 小説家になろう 異世界転移/転移ジャンル(日間) 5位獲得 アルファポリス 第16回ファンタジー小説大賞 奨励賞受賞 第6回カクヨムWeb小説コンテスト 中間選考通過 復活の大カクヨムチャレンジカップ 9位入賞 ファミ通文庫大賞 一次選考通過

クラス最底辺の俺、ステータス成長で資産も身長も筋力も伸びて逆転無双

四郎
ファンタジー
クラスで最底辺――。 「笑いもの」として過ごしてきた佐久間陽斗の人生は、ただの屈辱の連続だった。 教室では見下され、存在するだけで嘲笑の対象。 友達もなく、未来への希望もない。 そんな彼が、ある日を境にすべてを変えていく。 突如として芽生えた“成長システム”。 努力を積み重ねるたびに、陽斗のステータスは確実に伸びていく。 筋力、耐久、知力、魅力――そして、普通ならあり得ない「資産」までも。 昨日まで最底辺だったはずの少年が、今日には同級生を超え、やがて街でさえ無視できない存在へと変貌していく。 「なんであいつが……?」 「昨日まで笑いものだったはずだろ!」 周囲の態度は一変し、軽蔑から驚愕へ、やがて羨望と畏怖へ。 陽斗は努力と成長で、己の居場所を切り拓き、誰も予想できなかった逆転劇を現実にしていく。 だが、これはただのサクセスストーリーではない。 嫉妬、裏切り、友情、そして恋愛――。 陽斗の成長は、同級生や教師たちの思惑をも巻き込み、やがて学校という小さな舞台を飛び越え、社会そのものに波紋を広げていく。 「笑われ続けた俺が、全てを変える番だ。」 かつて底辺だった少年が掴むのは、力か、富か、それとも――。 最底辺から始まる、資産も未来も手にする逆転無双ストーリー。 物語は、まだ始まったばかりだ。

ナイナイづくしで始まった、傷物令嬢の異世界生活

天三津空らげ
ファンタジー
日本の田舎で平凡な会社員だった松田理奈は、不慮の事故で亡くなり10歳のマグダリーナに異世界転生した。転生先の子爵家は、どん底の貧乏。父は転生前の自分と同じ歳なのに仕事しない。二十五歳の青年におまるのお世話をされる最悪の日々。転生チートもないマグダリーナが、美しい魔法使いの少女に出会った時、失われた女神と幻の種族にふりまわされつつQOLが爆上がりすることになる――

処理中です...