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SSSランクへ
手紙図書館②
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それがユリトだとすぐに気付いた。
49階層に辿り着ける冒険者は同じSSランクしかいない。その中で仮面を被っているのは1人しか知らない。
突然の出会いに呆けていた私に瓶が渡される。
「状態異常回復と体力回復薬だ。転送者のキリコだろ?早く仲間を連れて逃げな」
彼は目の前から消える。
次に視界が捉えたのは八岐大蛇と鬼神相手に鎌を構えて対峙している姿だった。
(フェニックスとファフニールは!?)
視線を上に向けるとメイド姿の翼を宿した女性が戦闘をしていた。
何個もの魔法陣が展開され、2体のモンスターと打ち合いをしている。
(って見入っている場合じゃない。は、早く仲間を助けなきゃ)
貰った回復薬を使い、『空間魔法:同時転送』を発動する。
私を含め生き残っている5人を通路に移動させる。そして全員に回復薬を渡す。
私達の中でまだ戦えるのは3人・・・・・・
『精霊武装』の大地に『究極進化』の双葉と『全身武器』の俊介だ。最初に『流星』を放ったライは私と同じで身体強化系がないためリタイアだ。ランカンスロープや鬼神のような速度がある相手と戦える手段は身体強化が必須だ。
「あれが最強の転移者ユリトか」
「スキルや魔法も強そうだけど、装備が私達より格が違いそうね」
「上で戦闘している天使と悪魔の嬢ちゃん達2人もユニークスキルの召喚系と同等かそれ以上だぞ」
3人の声を聞き広間に顔を向ける。八岐大蛇の魔法を回避しつつ、鬼神と相対しているユリトが映る。
致命傷はなさそうだが、所々血がにじんでいる。
(あれ、怪我が見当たらない!?自動回復まで持っているの?)
「自動回復か」
「このままだと全部敵を持っていかれそうね」
「鬼神は俺達がやるぞ」
戦える3人が戦場に駆けていく。
少しでも役に立とうと私も立ち上がるが、ライが私の肩を掴む。
「キリコが行っても足手纏いになるだけだ。悔しいが俺達には見守ることしかできない」
「そ、そうだね」
力なく私は座り込む。全員の無事を祈ることしかできない――
その後、3人が鬼神の相手をし、ユリトが八岐大蛇と1対1となる。
徐々に首を失っていく光景が見えた。ライも私と同じようにその光景を見入っている。
そして数分間の激闘の末、8つの首が落ちた八岐大蛇が光の粒子と変わる。
八岐大蛇が消え残り3体になってからは早かった。
悪魔のメイドに片翼を潰され落下したファフニールは、ユリトを加えた2人によって光の粒子に変えられる。同じ頃にフェニックスと鬼神もファフニールと同じ結末を辿った。
終わった戦場には死んでいった仲間達の『転移者の本』が散乱していた。
空間魔法で回収した私は、座り込んでいる3人の元に転移する。
回復薬を渡していく。鬼神はクラン上位3人がかりでも無傷では倒せない相手だった。
休んでいる私達にユリトが近づいてくる。リーダーの大地が先に声をかけた。
「最強の転移者ユリトだな?今回は助かった」
「最強かどうかは知らないけど礼はいらないよ。報酬を貰っているから」
「どういうこと?」
双葉が訪ねて、ユリトが来た経緯を知る。
私達がダンジョンに挑戦してから3週間が過ぎていて、帰ってこない私達を心配したクランメンバーがユリトに指名依頼を出したらしい。私の転移でクリア階層には行き来できるため、今まで10日以上クランを空けることはなかったからだ。
「なんで依頼を受けたんだ?」
「悪い奴じゃなかったら救える命は救うさ。違うのか?」
「そうだな。意地悪い質問をした悪い」
大地が申し訳なさそうな顔をしている。
異世界で冒険者をして半年。行動も損得で考えるようになったからの発言だ。
「それでユリトはこれから50階層に行くの?」
「そのつもりだよ。帰ることはできるだろ?」
私を見るユリトに頷く。
後で知ったが依頼したクランメンバーが全員の特徴やスキルを全部伝えていたらしい。
最初に声をかけられた時、名前を言われたのは既に聞いていたからだ。
ユリトは背中を向け、歩いていく。
その背中にお礼を言って、転移魔法で帰還した。
そして次にユリトに会ったのは、15分後の冒険者ギルドだった――
49階層に辿り着ける冒険者は同じSSランクしかいない。その中で仮面を被っているのは1人しか知らない。
突然の出会いに呆けていた私に瓶が渡される。
「状態異常回復と体力回復薬だ。転送者のキリコだろ?早く仲間を連れて逃げな」
彼は目の前から消える。
次に視界が捉えたのは八岐大蛇と鬼神相手に鎌を構えて対峙している姿だった。
(フェニックスとファフニールは!?)
視線を上に向けるとメイド姿の翼を宿した女性が戦闘をしていた。
何個もの魔法陣が展開され、2体のモンスターと打ち合いをしている。
(って見入っている場合じゃない。は、早く仲間を助けなきゃ)
貰った回復薬を使い、『空間魔法:同時転送』を発動する。
私を含め生き残っている5人を通路に移動させる。そして全員に回復薬を渡す。
私達の中でまだ戦えるのは3人・・・・・・
『精霊武装』の大地に『究極進化』の双葉と『全身武器』の俊介だ。最初に『流星』を放ったライは私と同じで身体強化系がないためリタイアだ。ランカンスロープや鬼神のような速度がある相手と戦える手段は身体強化が必須だ。
「あれが最強の転移者ユリトか」
「スキルや魔法も強そうだけど、装備が私達より格が違いそうね」
「上で戦闘している天使と悪魔の嬢ちゃん達2人もユニークスキルの召喚系と同等かそれ以上だぞ」
3人の声を聞き広間に顔を向ける。八岐大蛇の魔法を回避しつつ、鬼神と相対しているユリトが映る。
致命傷はなさそうだが、所々血がにじんでいる。
(あれ、怪我が見当たらない!?自動回復まで持っているの?)
「自動回復か」
「このままだと全部敵を持っていかれそうね」
「鬼神は俺達がやるぞ」
戦える3人が戦場に駆けていく。
少しでも役に立とうと私も立ち上がるが、ライが私の肩を掴む。
「キリコが行っても足手纏いになるだけだ。悔しいが俺達には見守ることしかできない」
「そ、そうだね」
力なく私は座り込む。全員の無事を祈ることしかできない――
その後、3人が鬼神の相手をし、ユリトが八岐大蛇と1対1となる。
徐々に首を失っていく光景が見えた。ライも私と同じようにその光景を見入っている。
そして数分間の激闘の末、8つの首が落ちた八岐大蛇が光の粒子と変わる。
八岐大蛇が消え残り3体になってからは早かった。
悪魔のメイドに片翼を潰され落下したファフニールは、ユリトを加えた2人によって光の粒子に変えられる。同じ頃にフェニックスと鬼神もファフニールと同じ結末を辿った。
終わった戦場には死んでいった仲間達の『転移者の本』が散乱していた。
空間魔法で回収した私は、座り込んでいる3人の元に転移する。
回復薬を渡していく。鬼神はクラン上位3人がかりでも無傷では倒せない相手だった。
休んでいる私達にユリトが近づいてくる。リーダーの大地が先に声をかけた。
「最強の転移者ユリトだな?今回は助かった」
「最強かどうかは知らないけど礼はいらないよ。報酬を貰っているから」
「どういうこと?」
双葉が訪ねて、ユリトが来た経緯を知る。
私達がダンジョンに挑戦してから3週間が過ぎていて、帰ってこない私達を心配したクランメンバーがユリトに指名依頼を出したらしい。私の転移でクリア階層には行き来できるため、今まで10日以上クランを空けることはなかったからだ。
「なんで依頼を受けたんだ?」
「悪い奴じゃなかったら救える命は救うさ。違うのか?」
「そうだな。意地悪い質問をした悪い」
大地が申し訳なさそうな顔をしている。
異世界で冒険者をして半年。行動も損得で考えるようになったからの発言だ。
「それでユリトはこれから50階層に行くの?」
「そのつもりだよ。帰ることはできるだろ?」
私を見るユリトに頷く。
後で知ったが依頼したクランメンバーが全員の特徴やスキルを全部伝えていたらしい。
最初に声をかけられた時、名前を言われたのは既に聞いていたからだ。
ユリトは背中を向け、歩いていく。
その背中にお礼を言って、転移魔法で帰還した。
そして次にユリトに会ったのは、15分後の冒険者ギルドだった――
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