アイドルになった僕は五感を失った彼女の光になる

春空 桃花

文字の大きさ
4 / 19

第二章 憧れ(陽葵side)

しおりを挟む
   私は大日野陽葵、私には幼なじみがいます。

   樹高太陽、私にとって太陽はずっと見つめていたい希望の光です。
   私は太陽のことをずっと憧れていた。

   太陽は小さい頃、ものすごく可愛い顔をしていた。小さい頃は私の方が背が高くて、泣き虫だった太陽は私の弟のような存在だった。でも、成長するにつれて可愛い顔から整ったかっこいい顔になってイケメンになった。背も私よりも高くなりいつの間にか好きになっていた。

   たくさんの女の子にキャーキャー騒がれている太陽を見ていると少し胸が痛くなった。
   私なんかよりもっと可愛い綺麗な子が太陽にはいいんじゃないか、私なんか釣り合わないんじゃないかそう思うようになった。


「陽葵ちゃんって太陽くんと付き合ってるの?」
   友達の女の子に太陽と付き合っているのかと聞かれた。
「えっ?付き合ってないよ!」
   私は焦りながら慌てて答えた。  

「へー、そうなんだ。陽葵ちゃん、めっちゃ美人だから陽葵ちゃんがライバルだったら勝ち目無いなと思ったけど良かったー」
「……え?」
   そっか、この子太陽のことが好きなんだ……そう思った。

「陽葵ちゃんが太陽くんのこと好きじゃないなら私本気で太陽のこと好きになってもいいよね?」
   その子はとっても嬉しそうにそう言った。
   私はなんとも言えなかった。

   すると、その子が私の顔を心配そうに覗き込んだ。
「陽葵ちゃん?大丈夫?」
   私ははっと我に返った。
「大丈夫だよ!」
「良かった。陽葵ちゃん、応援してくれるよね?」

   太陽の彼女になるにはこんな可愛い子がふさわしいんじゃないかと思った。だって、こんなにも太陽のことを思ってくれているんだから今の私の気持ちは邪魔だと強くそう思いながらも心が痛かった。

「うん!頑張って!応援する!なんでも相談してね」
   私はその時できる精一杯の笑顔でそう言った。
「陽葵ちゃん、ありがとう!」
   私はその子の笑顔を見ながらその子に譲ろうと思った。

   私が諦めればいいだけで元々太陽は私のことなんか幼なじみとしか思われてない。
   この子が彼女になった方がいい、これは太陽のためだから、だから……。

   私の気持ちは消さなければ。


   この日はずっと心が落ち着かなかった。
   私は空手部に入っていて、太陽はサッカー部に入っていた。
   部活の時も集中できなくて、この日は体調が悪いと言い訳して早退した。

   私は一人で公園のベンチに座り、じわじわと湧き上がってくる悲しい感情を抑えようと必死だった。
   涙が目の中に溜まって視界が歪み今にもこぼれ落ちそうだった。

泣くな!泣いたら終わりなの、泣いてしまったら私の気持ちを諦めきれなかったみたいじゃない。
友達のことも太陽のことも大切だから幸せになってほしいから私が諦めればすべてがうまくいくから。
……だからお願い。涙止まって!


「陽葵?どうした?大丈夫か?」

   声をかけられ顔をあげると太陽が心配しながら私を見ていた。
「……え、なんで……」
「えっ!陽葵泣いてるの?」

   驚いたようにそう言うが、私の方が驚いて目に溜まっていた涙が一気にこぼれ落ちた。

「ごめん!俺、余計なこと言ったか?」
   太陽が焦りながら謝ってくるので私は顔を横に振った。
「……部活してたらさ、陽葵が早い時間に暗い顔しながら帰ってるのが見えたから俺も早退したんだ」

「……そう、なんかごめんね」
   太陽は部活中に見かけた私が落ち込んでいたから心配して来てくれたらしい。
   私はなんだかすごく申し訳なかった。

「全然いいよ、俺がそばにいたかっただけ。何かあったんでしょ?」
「……」
   太陽は優しい声で聞いてくれたが私は何も言えなかった。
   だって、友達に太陽のことを取られたくないと思ってしまってる自分が最低すぎて自分が嫌いだと思っているなんて太陽には相談できないから。

「別にいいよ。無理に話さなくても。でも、もし誰かに嫌なことされたとかで泣いてるのだとしたら俺はそいつのこと許さないからな」

   真剣な顔でそう言う太陽を見ながら幼なじみとして心配してくれているのだとしてもすごく嬉しかった。
「別に誰にも何もされてないって、ありがとう」
   私は笑顔でそんなことを言ってくれる太陽にお礼を言った。

   そしてなんだか悩んでるのが馬鹿らしく感じた。

   改めて太陽のことが好きだなと強く思ったが私は諦めるんじゃなくて見つめているだけでいいと思った。


   それから友達は太陽に告白したが太陽はその子と付き合わなかった。
   本当はこんなこと思っちゃいけないんだろうけど、なんだかすごく安心したんだ。

   そして私は有名なひまわり畑に応募して見事入場券を当てることができた。
   このひまわり畑には絶対に太陽と行きたいと思っていた。
   私はドキドキしながら太陽を誘って一緒に行くことになった。心臓がドキドキしすぎて太陽にも聞こえるんじゃないかと思うくらいすごく緊張して胸が張り裂けそうだった。

   でも、太陽と行けることがとっても嬉しかった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

ちょっと大人な物語はこちらです

神崎 未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な短編物語集です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

俺をフッた女子に拉致されて、逃げ場のない同棲生活が始まりました

ちくわ食べます
恋愛
大学のサークル飲み会。 意を決して想いを告げた相手は、学内でも有名な人気女子・一ノ瀬さくら。 しかし返ってきたのは―― 「今はちょっと……」という、曖昧な言葉だった。 完全にフラれたと思い込んで落ち込む俺。 その3日後――なぜか自分のアパートに入れなくなっていた。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

【完結】退職を伝えたら、無愛想な上司に囲われました〜逃げられると思ったのが間違いでした〜

来栖れいな
恋愛
逃げたかったのは、 疲れきった日々と、叶うはずのない憧れ――のはずだった。 無愛想で冷静な上司・東條崇雅。 その背中に、ただ静かに憧れを抱きながら、 仕事の重圧と、自分の想いの行き場に限界を感じて、私は退職を申し出た。 けれど―― そこから、彼の態度は変わり始めた。 苦手な仕事から外され、 負担を減らされ、 静かに、けれど確実に囲い込まれていく私。 「辞めるのは認めない」 そんな言葉すらないのに、 無言の圧力と、不器用な優しさが、私を縛りつけていく。 これは愛? それともただの執着? じれじれと、甘く、不器用に。 二人の距離は、静かに、でも確かに近づいていく――。 無愛想な上司に、心ごと囲い込まれる、じれじれ溺愛・執着オフィスラブ。 ※この物語はフィクションです。 登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

ため息ひとつ――王宮に散る花びらのように

柴田はつみ
恋愛
「離縁を、お願いしたいのです」 笑顔で、震えずに、エレナはそう言った。 夫は言葉を失った。泣いてくれれば、怒ってくれれば、まだ受け止め方があった。しかしあの静けさは、エレナがもう十分に泣き終わった後の顔だと、ヴィクトルにはわかった。 幼なじみと結ばれた三年間。すれ違いは静かに始まり、深紅のドレスの令嬢によって加速した。ため息を飲み込み、完璧な微笑みを保ち続けた公爵夫人が、最後に選んだのは――。 王宮に散る花びらのような、夫婦の崩壊と再生の物語。

処理中です...