アイドルになった僕は五感を失った彼女の光になる

春空 桃花

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第八章 公認カップル

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   太陽と付き合えて初めて学校に行く日、私は何だか緊張していた。
   朝の体操もランニングも空手の練習中もずっと心がざわついて集中出来なかった。

   朝ごはんを食べようと食パンにバターを乗せた。
   焼き目がついたパンにバターが黄金のように輝きながらキラキラと染み込んでいくのを私は静かにじっと見つめていた。

   頭がぼーっとしていていつもの私じゃなくなったように感じた。
   太陽と付き合えたことによって新しいことが始まったってワクワクしてた。

「おはよう……」
   天燈が背後から私に声をかけた。

「おはよう。天燈、今日は寝坊してないね」
「お姉ちゃんこそ、今日は学校行くの遅くない?」
「そうかな、普通だよ」
「それになんかぼーっとしてるし、疲れてるんじゃない?」

   天燈が私を心配してくれているのが嬉しかった。

   自分では何をしたか分からないけど嫌われているのかなって感じていたから。
   最近はお姉ちゃんとも呼んでくれなかったのにお姉ちゃんと言ってくれたことで心が温かくなった。

「大丈夫、心配してくれてありがとう。でも緊張してるだけだから……」
   私が頬を赤くしながら言うと天燈は笑顔で私の前のイスに座った。

「あぁ。なるほど、そっかー!太陽くんのことを思い出してるからぼーっとしてるんだー!」
「えっ!ちょっと何言ってんの!違うから!」
   天燈にからかわれながら私は必死に否定した。

   実は誰かと付き合うのは初めてでどうしていいか分からなかった。

「へー、じゃあ何でそんなに焦ってるの?」
「何でもない!私もう学校に行くからね!天燈、遅刻したらダメだよ」
   天燈が私の顔をニヤつきながら見つめるのでその場から逃げるように私は家を出た。

   天燈とちゃんと正面を見て話ができたのは久しぶりですごく嬉しかった。


「太陽!おはよう!」
   そして私はいつものように太陽の部屋に届くぐらいの大声で呼んだ。

   すると太陽がすぐに家から出てきた。
   いつもなら寝坊して少し待たないと出てこないのに今日はすごく早くて違和感があった。
「おはよう……」
「……」
   太陽が私に声をかけたが昨日私たちは付き合ったんだということを思い出し、緊張して何も言えなかった。

『俺と付き合ってください』

   ふとした時に太陽の告白が頭をよぎる。

「え?どうした?」
「べ、別になんでもないから!」
   私は顔を真っ赤にしながら必死に誤魔化した。

   そして学校に行く道中、私たちは気まずくて恥ずかしくていつもそばにいる人なのに何を言っていいか分からなくて一言も喋らなかった。

「陽葵おはよう!」
   校門前を歩いていると碧が後ろから駆け寄ってきた。
   碧が来てくれたおかげで気まずかった空気が一気に晴れた。

「おはよう!」
「あれー?お二人さんいつもと雰囲気が違うような」
「……」

「えっ!嘘!? 本当に付き合ったの?」

   私たちがなんとも言えずに黙っていると何かを察した碧が驚いた。

   ニヤニヤしながらからかっていたのにまさか付き合っているなんて思わないよなぁ、と心の中で思った。

   そして教室に入るとなぜかみんなが私たちの方を見て驚いている。
   私はみんなに報告した覚えはないけど、いつの間にか学校中に私たちのことが知れ渡っていた。

   そうして私たちは誰もが認める学校一のお似合いカップルとなった。
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