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第九章 それぞれの夢
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俺が陽葵と付き合って一年、いや半年くらいたった。
正直、幼なじみだから何年も付き合っているような気分になる。
今は高三の春でもうすぐ進路を考えないといけない時期だ。
でも、俺はもう決まっていた。
陽葵にはまだ言えていない。
陽葵を悲しませるかもしれない。
応援してもらえないかも。
どうしよう……。
色んな思いが頭を巡ってしまう。
「……太陽?」
「ん?」
「ちゃんと話聞いてる?」
「……なんの話だっけ?」
「もう!ちゃんと聞いててよ!進路どうするって話でしょ!」
「ごめんって……」
俺は学校帰りに考え込んでしまって陽葵の話を聞いていなかった。
「私はまだちゃんと決めてるわけじゃないけど……。将来ファッション雑誌の編集者になりたいから文系の大学に行きたいと思ってるんだ!」
「編集者?陽葵、花屋さんになりたいんじゃなかったの?」
「そうだったんだけどね……。最近、天燈が載ってる雑誌を見せてもらうことが多くてそれを見てたら楽しかったんだ!私もこんな人をワクワクさせるような雑誌を作りたいって思ったの!」
陽葵はまるで夢を見ているように目をキラキラさせていた。
「そっか、それが陽葵の夢なら応援するよ」
「ありがとう!太陽は何かしたいこと考えてないの?」
笑顔でそう聞く陽葵に何と言おうか迷った。
でも、この機会を逃すと俺は言えなくなると心のどこかで分かっていた。
「俺は……」
声が詰まった。
怖くて怖くて仕方がなかった。
「……太陽。ゆっくりでいいよ。ちゃんと聞いてるから」
陽葵の優しい声が喉の奥に詰まった言えない思いをゆっくり溶かしてくれた。
さっきまでは痛くて重かった言葉が今は言える気がした。
「……俺はアイドルになりたい」
「……」
「ごめん。陽葵には言えなかったんだけど、前にオーディションを受けて大手の事務所に合格出来たんだ。……それで3学期には東京に来るように言われてる」
俺は自分で言いながらすごく辛かった。
陽葵と一緒にいれる期間がもうあと少しなことが、自分で決めたことなのに。
「……」
「陽葵。本当にごめん。……陽葵?」
「……そっか。おめでとう!太陽すごいじゃん!アイドルかーいい夢だね!」
「えっ、」
「もちろん寂しいけどさ、太陽の将来を私のために潰して欲しくないから。太陽自身のために夢をみてくれていることがすごく嬉しいの!」
「陽葵は俺が陽葵のために将来を決めたら嫌がると思ったから……」
「うん!だから私は全力で太陽を応援するね!」
「ありがとう」
「あっ、そうだ!私忘れ物したから戻るね」
陽葵は笑顔で明るくそう言って走って行った。
でも俺はなんだか陽葵が嘘をついてるように見えた。
だけど、これ以上俺は何も突っ込まなかった。
『陽葵、ありがとう。俺、頑張るから。』
心の中で強く誓った。
正直、幼なじみだから何年も付き合っているような気分になる。
今は高三の春でもうすぐ進路を考えないといけない時期だ。
でも、俺はもう決まっていた。
陽葵にはまだ言えていない。
陽葵を悲しませるかもしれない。
応援してもらえないかも。
どうしよう……。
色んな思いが頭を巡ってしまう。
「……太陽?」
「ん?」
「ちゃんと話聞いてる?」
「……なんの話だっけ?」
「もう!ちゃんと聞いててよ!進路どうするって話でしょ!」
「ごめんって……」
俺は学校帰りに考え込んでしまって陽葵の話を聞いていなかった。
「私はまだちゃんと決めてるわけじゃないけど……。将来ファッション雑誌の編集者になりたいから文系の大学に行きたいと思ってるんだ!」
「編集者?陽葵、花屋さんになりたいんじゃなかったの?」
「そうだったんだけどね……。最近、天燈が載ってる雑誌を見せてもらうことが多くてそれを見てたら楽しかったんだ!私もこんな人をワクワクさせるような雑誌を作りたいって思ったの!」
陽葵はまるで夢を見ているように目をキラキラさせていた。
「そっか、それが陽葵の夢なら応援するよ」
「ありがとう!太陽は何かしたいこと考えてないの?」
笑顔でそう聞く陽葵に何と言おうか迷った。
でも、この機会を逃すと俺は言えなくなると心のどこかで分かっていた。
「俺は……」
声が詰まった。
怖くて怖くて仕方がなかった。
「……太陽。ゆっくりでいいよ。ちゃんと聞いてるから」
陽葵の優しい声が喉の奥に詰まった言えない思いをゆっくり溶かしてくれた。
さっきまでは痛くて重かった言葉が今は言える気がした。
「……俺はアイドルになりたい」
「……」
「ごめん。陽葵には言えなかったんだけど、前にオーディションを受けて大手の事務所に合格出来たんだ。……それで3学期には東京に来るように言われてる」
俺は自分で言いながらすごく辛かった。
陽葵と一緒にいれる期間がもうあと少しなことが、自分で決めたことなのに。
「……」
「陽葵。本当にごめん。……陽葵?」
「……そっか。おめでとう!太陽すごいじゃん!アイドルかーいい夢だね!」
「えっ、」
「もちろん寂しいけどさ、太陽の将来を私のために潰して欲しくないから。太陽自身のために夢をみてくれていることがすごく嬉しいの!」
「陽葵は俺が陽葵のために将来を決めたら嫌がると思ったから……」
「うん!だから私は全力で太陽を応援するね!」
「ありがとう」
「あっ、そうだ!私忘れ物したから戻るね」
陽葵は笑顔で明るくそう言って走って行った。
でも俺はなんだか陽葵が嘘をついてるように見えた。
だけど、これ以上俺は何も突っ込まなかった。
『陽葵、ありがとう。俺、頑張るから。』
心の中で強く誓った。
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