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第十三章 現在

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   それから数年がたった。

   俺たちは若手のアイドルでも国民的アイドルグループにまで成長した。
   テレビや雑誌に引っ張りだこでドラマの出演も今まで以上に増えてきている。

だけど、いつからか陽葵たちが俺のライブに来てくれることは無くなった。

   チケットを送っても来てくれない。

   陽葵も忙しいのだと思うようになった。

   でも、俺はひとつ引っかかることがあった。
それは陽葵にメールをしても電話をしても返事がないことだ。

   俺は全く休みがないが休みがとれた日に何回か実家に帰ったことがあった。
でも、陽葵に会いに行っても陽葵はいなくて会うことが出来なかった。

   もう陽葵には何年も会っていない。

   だけどある日、実家に帰ると陽葵の家族は引っ越してしまったと親に言われた。

   俺はなぜだか分からなかった。

   陽葵が俺に何の連絡もなしにいなくなることがあるのか?

   俺たちは自然消滅のように別れてしまったが俺の中では陽葵は彼女で陽葵のことを忘れる日はなかった。

ずっと陽葵に会いたいと思っていた。

会いたい……。

どうしていなくなってしまったのか理由を知りたい。

陽葵、今どこにいるんだ……?

元気なのか?笑顔なのか?幸せなのか?

今の陽葵にとっての希望の光は誰なのか?


   そんなある日、ドラマの撮影終わりに陽葵と碧らしき二人の女性とすれ違った。

「陽葵!」

   陽葵を見失ってしまった俺はその場から動けなかった。

   陽葵が東京に……?

   でも、あれは確かに陽葵と碧だった。

   碧は絶対に俺に気づいていた。
   どういうことだ……?
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