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第十四章 再会

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   俺はその日から陽葵のことが気になってしかたなかった。

   そしてある日、番組で偶然、今人気のモデルとして天燈と共演することになった。

   俺は奇跡だと思い、番組収録の終わりに天燈に陽葵のことをたずねた。

「天燈ちゃん、久しぶり」

「久しぶりです。太陽くんすごく有名ですもんね」

「ところで最近、陽葵元気にしてる?」

   俺がそう聞くと天燈の顔が一気に曇った。

「……えっ?太陽くんってもしかして何も知らない感じですか?」

   天燈は俺を疑うように信じられないような表情をしながら恐る恐る聞いた。

「何が?」


「はぁ……。こんな事、言いたくないですけど彼氏としては最低ですね」

   天燈は俺のことを軽蔑するような目で見ていた。

「陽葵に何かあったのか?」

「今の太陽くんには関係ないことですので。それでは失礼します」
   そう言って天燈は去っていった。


   俺は陽葵のことが気になったまま次の仕事に向かった。

   次の仕事は新曲のレコーディングで絶対に遅れるわけにはいかなかった。
でも、今日はマネージャーが休みで自分で収録場所まで行かなくてはならなかった。

   俺は腕時計に目をやった。
でも時間が早かったので昼食をとって向かおうと思った。


   そして止まってた信号が青に変わった。

   キラッ!
   
   すると信号の反対側で何かが光を反射していて眩しかった。

   俺が目を向けた時、そこにいたのは陽葵だった。

   陽葵の胸元でゴールドのネックレスが輝いていた。

   陽葵は碧と二人で歩いており、俺に気づいていないようだった。

   俺は何も言わずに必死に追いかけた。

   陽葵に会える……!

   もう少し……。あと少し……!


「陽葵!」


   陽葵の手をギュッと掴んだ。



「きゃーーーぁ!!!」

   俺が陽葵の手を握った途端、陽葵が叫んだ。

「きゃーぁ!碧、助けて……!お願い助けて……!」

   陽葵はすごく恐怖で震えていた。
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