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本編

16 隠れドSな王様からの、理不尽な提案2

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ぐちゅぐちゅと、卑猥な音が部屋いっぱいに響く。執拗にまさぐる手を阻むことができず、わたしは自分の気持ちとは無関係に与えられる快楽にあえぐばかりだった。

陛下は、執拗にキスをしながら、左手で絶え間なく秘所を弄る。それだけでイキそう。

ちゅぱ、とわざと音を立てるように舌を吸い、ゆっくりと、左手の動きと連動するようにわたしの咥内を舐めまわす。

わたしは操られているかのように、相手の舌が蠢くのに合わせて、舌を絡めて応える。

「あんっ・・・、はっ。」

ぬめぬめした舌の感触を味わううちに、下半身が濡れてくるのが自分でもわかった。気づくと、わたしのあそこは既に愛液でびしゃびしゃになっていた。

「ねえ、そろそろ入れてもいいかな?」

ようやくディープなキスから解放されたと思ったら、壮絶な色気を垂れ流しながら、陛下が囁いた。からだが疼いて疼いてしかたがなくて、毒だとわかっている誘いに乗りそうになる。

でも、わずかな理性が『このままじゃいけない』と必死に欲に抗う。だってこのからだはわたしのものじゃない。シーツをぎゅっと握りしめる。

「くっ・・・、だめ・・・です。」

「意外と強情だねえ、他人の純潔なんて価値がないからいいでしょ?」

ぐちゅり、と男性特有のごつごつとした指がわたしの秘所に差し込まれた。複数入れられた指が、ばらばらに動いてわたしのナカを刺激する。

「ひゃあああんっ。いやあっーー。」

「うん、、、これは、かなりクるものがあるね。私も早くキモチよくなりたいんだけどなー。」

腕を伸ばして相手のからだを押し返そうとするものの、まったく力がはいらない。

「こんなことされて、セイだって悲しむっってば。・・・いやあっ」

セイの名前を出すと、少しだけ動揺したようにわたしを弄る手が緩んだ。
不本意そうな顔をして、陛下は、ぼそりと言った。

「セイがアナスタシア嬢のことを好きだったのは誤算だったし、ルーがきみのこと気に入ったのも想定外だった。」

「ならなんれっ、するんですかっ!?」

呂律が回らないまま、はあはあと息をしながら反撃すると、陛下は昼間みたときみたいに、困ったように笑った。

「たぶんセイは私に気を遣って君には手を出せない。だから先に既成事実を作ってヤってしまえば、問題なくセイは君を愛せると思うんだよね。」

(は、、何言って・・・?)

「君を正妃にすることはできないけど、側妃にはできる。それで君はセイやルーに愛されれば丸く収まると思うんだけど。協力してもらえないかな?」

「え、、、と。陛下に囲われた上でルーとセイの性奴隷・・・もとい愛玩物になれって、言ってます?」

あまりのことに呆然となり呟いた。この人は、アナスタシアが自分の妃になりたいがために危険な召喚魔術をおこなったことを知っているはずだ。なのに、こんな残酷なことを言うのか。

あんまりじゃないか、人の気持ちをどう思ってるんだと思ったけれど、彼の瞳はまっすぐにわたしを捕らえていて、冗談ではなく本気でそう思っていることが見て取れた。

「合理的に考えると、いちばんの最適解だと思うんだ。」

「こ・・・このっ」

ぱくぱくと口を開けるけど、ちゃんと声がでない。陛下の手が私の服を脱がそうと動いたので必死になって手を振りほどいて怒鳴りつけた。

「このばかーーーっっ!!自分の正義を人に押し付けんな!!」

おそらく女性に怒鳴りつけられたことなどないのだろう、ぽかんとした顔で私を見る顔がちょっとまぬけだった。そのまま渾身の力でベッドからはいずり出て、転がるように部屋を出た。

ばたんっと勢いよくドアを閉めて廊下に出る。ああどうしよう道がわからないと思いつつ、乱れた衣服のままとぼとぼと歩き出した。

(うーーー、ムカつくーーーー!!)

あまりに人の気持ちを無視した陛下の考え方に、やり場のない怒りを覚える。わたしは充分大人で、わたし自身としては経験済みで、つまり、処女に価値は感じていない。でも、からだの持ち主であるアナスタシアは違うだろう。蝶よ花よと育てられ、大事にされた少女があんな理不尽な理由で犯されたと知ったら、後からなんて思うだろうか。

いろいろ考えていたら、無性にルーに抱きしめてもらいたくなった。

まるで安心毛布だといったら怒られるかもしれない。でも、わたしにとってルーは安心そのものだった。

それに、この数日で彼の体温と唇の感触が刷り込まれてしまったのかもしれない。あのきれいな銀色の魔術師は魔力に執着しているだけで、わたし自身のことなんて見ていないのに。それでも。

足を止めて、下を向く。心が弱って泣きそうになるのを、なんとか堪える。

「ルー・・・むかえにきてよ。」

半ば無意識につぶやくと、一瞬まわりがまぶしいくらいに光った。すぐに光が消えたと思ったら、目の前には望んでいた人がいた。

「なん・・・で?」

わたしの願望が見せた幻かと思ったが、そうではなさそうだ。

「シア、だいじょうぶ? ごめん、遅くなって。」

紅い瞳が、心配そうにわたしの顔を覗き込んだ。
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