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本編

40 墜落1 【side アレクセイ】

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濃紺の美しい髪がベッドの上に無造作に散らばる。所有の証としてつけられたブレスレットが、小さくしゃらんと鳴った。

ねえ、私の髪と瞳を模したアクセサリーを付ける意味、わかっているのかな。

組み敷いたからだは想像以上に華奢で、言いようのない征服感に高揚する。同時に自分自身が昂り硬く張り詰めるのがわかった。

(やばい、この前より興奮する)

乱れた夜着が、余計に淫靡な雰囲気を醸す。完全に脱がしてしまうよりもずっといい。

柔らかな胸のふくらみを思う存分揉みしだき、舐めしゃぶり、堪能した。かつて眠る彼女に好き放題していたルーを変態だと思ったが、私もあまり変わらないかもしれない。

だって自分の行為が彼女を喘がせ欲情させていると思うと愉悦にゾクゾクする。泣きそうな彼女の表情も、柔らかな手触りも、何もかもが私の手の中だ。もっと責め立てて、傷つけて泣かせたい、そんな嗜虐的な想いが頭をかすめる。

「いやぁん、明かり消してえっ・・・。」

「だーめ。今は何も考えないで。私のことだけ考えて。」

相手が物足りなく感じるのをわかったうえで、わざと胸ばかりを弄った。

もちろん単に私がおっぱいが好きだというのもあるけど。こんな極上のものを目の前にして、手を出さない男がいたら見てみたい。

ふるふると目の前で揺れる乳房は手に吸い付くような肌触りで、眼福かつ至福としか言いようがなかった。

ときおりがぶりと噛みつくと、甘く高い声で啼き声をあげるのが堪らない。つい時間も忘れてこの淫らな楽器を奏でるのに没頭する。

ねちっこく胸ばかり弄っていたら、案の定、下も触ってほしいと涙目で懇願された。ああもう、これ以上人のことを興奮させてどうしようというのか。

「ご褒美あげる、なのかな。それともご褒美ちょうだい、なのかな。」

軽口とは裏腹に、慎重に、細心の注意をはらって秘所に自分自身を埋め込む。
処女はじめてだという彼女のナカは、想像以上にきつくて入れた途端に達してしまいそうになる。

できるだけゆっくり味わいたかったから、ことさらゆっくりと腰を動かした。本当は恋人みたいに彼女の名前を呼びたかったけれど、ルーが嫌がる顔が浮かび口にはしなかった。

「あっ、はああぁっ。気持ちっ、いいっ。」

彼女が甘い声で啼くたび、花のような濃厚な香りに酩酊する。どうやら快感に比例して強くなるようだ。媚薬のような香りが理性を蕩かせ、もっと彼女を貪り尽くしたい衝動に駆られる。

余裕があるそぶりをしながら、内心は限界だった。何度もキスしながら突くと、気持ちよさそうな喘ぎ声。彼女の中で果てた後は最高の気分だった。繋がったまま、どさりと相手の体ごとベッドに倒れ込み、どさくさで抱きしめる。

やわらかな感触が腕に心地よい。白い肌はシミひとつなく、美の女神に愛されたような肢体に目を細める。


ふと目をやると、なにか考えているのかうんうん唸っていた。なんだろう、中で出しちゃったから妊娠の心配でもしているのかも。かわいいのでもう少し眺めていよう。

それにしても気持ちよかったなあと反芻しているうちに、今までにないくらい身体がスッキリしていることに気付いた。

私は魔力量が並外れて多い分、時折許容量を超えると具合が悪くなる。それは片頭痛や倦怠感として現れるが、不思議なことに行為後は症状が綺麗さっぱり霧消していた。しかも彼女からは、なぜか私の魔力の気配がする。

彼女の中で吐精したためかと思ったが、それにしては量が多すぎる。そんなには出していない、、、はず。



いろいろ考え、導き出したのは、彼女がなんらかのかたちで私の魔力を吸収したのではないかという仮説。

そして、彼女の存在は私の救いになるという確信だった。




(・・・ちょっと、さかりすぎたかな)

行為のあと眠ってしまったらしい。目が覚めたのは空も白もうという明け方だった。

隣にあたたかな熱を感じる。女性と一晩共にしたのは初めてなので、我ながら新鮮だ。無防備に眠る少女にいたずら心でキスをすると、無意識なのかその先をねだるように口を開いた。応えるように舌を差し入れ、さんざん咥内をまさぐった。

今日は早朝から来客予定があるのでひとまず自室に戻らなくてはいけない。単なるわがままだけど、もう少し目覚めてほしくなくて眠りの魔法を彼女に施す。

見下ろした寝顔は、穏やかなものだった。

これが、ルーの執着。セイの最愛。

やわらかな髪を手で梳くと、さらさらと零れ落ちる。彼女の身を綺麗にして整えてから掛布をかけた。

(自分もアナスタシア嬢も好きじゃないから私がいい、って言っていたな)

セイがアナスタシア嬢を見つめる視線は、いつだって過去の姿を探していることに気づいていた。比べられるとつらいかもしれない。

私はもともとアナスタシア嬢とは面識もなく、美しい令嬢だとくらいしか認識していなかった。だから今の状態しか知らないし、彼女の代わりだと思ったことは一度もない。

でも、話をして触れ合って、彼女を好ましく思っているのも事実で。

――彼女がそばにいてくれたらいいのに。

手放さなくてはいけない花だと知っているものの、ほんのわずかの期待が混じる。

もう一度、唇に触れるだけのキスをした。
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