不埒な魔術師がわたしに執着する件について~後ろ向きなわたしが異世界でみんなから溺愛されるお話

めるの

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本編

123 そして長い夜は明け【side アレクセイ】

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「私をもっと甘やかして?」なんて、いい歳をした大人が年甲斐もなく甘えて、我ながらどうかしている、と思う。

でも、人はいくつになっても甘えたい気持ちがあることを、そしてそれが許されることをシアから教えてもらったから。彼女にだけは平気で甘えられる。

ゆっくりと、赦しを乞うように彼女に口づけた。

理由とか、言い訳とかはどうでもよくて、ただただシアの肌に触れて口づけたい。それだけ。返事を待たずに、首筋に柔く噛みついた。わざと音を立てながら、我ながら器用に彼女の服をはだけさせて胸元にまで印を刻む。

拒絶されないことに味を占めた私は、「嫌なことを忘れるため、気持ちよくしてほしい」と子どものように駄々をこね、渋るシアに媚薬を飲ませることにまで同意させた。

とろりと甘い、薔薇色の液体。

口移しで飲ませた媚薬は即効性のもので、すぐにシアの白い肌は花のように、ほの赤く色づく。瓶に残った半量は自分で飲んだ。
体温上昇、動悸。うん、いい感じだ。

恥じらう彼女から衣服を全てはぎ取り、ベッドに押し倒した。明かりはつけたままなので、真っ白なシーツに美しい濃紺の髪が映える。キスを強請って、体中舐めまわして、肌のあちこちに鬱血跡をつける。シアは散々恥ずかしがったものの、全てを受け入れてくれた。

片手で胸を揉みながら、いやらしく深いキスをする。

こんなこと何度もされているだろうに、彼女はまだ慣れない。必死で舌を絡めてくるものの、どこかつたなさが残る。いたずら心を出して今度は少し強めに舌を吸いあげると華奢な身体がびくりと震えた。

(これだけで達してしまったかな?)
 
さんざん貪ってから唇を離すと、彼女の視線が私を捉える。

ゆらめく金の瞳には、強い期待。私は彼女が快楽に弱いことも、無理やりされるのが嫌じゃないことも知っている。無理やりするのも興奮するけど、気持ちよさそうにしてくれるのは、もっといい。弄っていないほうの乳房に口づけると、声を我慢しているのか、ひう、とか細い声が漏れた。

「ね、ココ、きもちいいね?」

さらに先端を舌で舐ると、期待通りに甘やかな嬌声があがる。

乳首をぐりぐりと捏ね、意地悪するように抓ると「ひゃうっ」と甲高く啼いた。言葉にしないものの、私の身体に豊かな胸を擦りつけながら、愛撫を強請る。

私は請われるがまま胸を弄り、彼女の理性を溶かそうと試みる。

「わかってるよね? 媚薬って、身体的に作用するけど、私を欲しがるのは純粋に君が快感に溺れているからだって。」

わざと意地悪く言うと、彼女の顔が真っ赤になった。

世の中には媚薬で人の心が操れると誤解されることもあるが、そもそも薬で人の気持ちをどうこうできるなんて都合がいい話があるわけない。少なくとも我が国で流通しているものは単純な発熱・発汗や中枢興奮作用をもたらすものがほとんどだ。それを偽薬効果で発情したと勘違いしたり、相手が言葉巧みに性的興奮作用だと誘導しているだけだ。

もちろんシアはそのことを理解している。その上で媚薬を飲ませたのは、性欲を抑えがちな彼女から理性を取り払いたかったからだ。

案の定、シアは本能のまま悦び、私が与える愛撫に素直に感じた。そして潤んだ瞳で私を見つめ、物欲しげに腰を揺らす。

満足がいく効果に自然と笑みが浮かぶ。

硬くなった陰茎をシアの割れ目に沿えてトントンとノックする。滲み出る愛液のぬめりを愛しく思いながら、ぬるぬると敏感な部分を擦り上げた。

「んああああああっ」

そのたびに漏れる甘い声に下肢が反応する。欲望のまま貫きたくなるのを必死で我慢する。

「もっと・・・もっとほしがって?」

「やああっあん、もうダメっ」

ゆらゆらと腰が艶めかしく揺れる。溢れ出る魅了の魔力と甘い香り。刺激して、刺激して、でも挿入はしないまま彼女を焦らし続けた。

もう何時間経っただろうか。一度気を失うようにして眠りについてから再び行為に及んだから、日付はゆうに変わっているはずだ。喘ぎすぎてシアの声は少し掠れてしまったし、私も挿入したくて限界に近い。でも彼女の艶めかしい痴態をもっと見たくて、挿れずに我慢する。

現実逃避だとわかっているけれども、頭が真っ白になるくらい、ふたりだけで濃密に愛し合いたかった。彼女から強く求められることで、ようやく自分が生きていると実感できる気がしたから。

両の掌を重ね、指を絡めてぎゅっと握りしめる。

(たとえシアが誰を選んでも、私は彼女の手を離せない)





『ヴィクトル様は、陛下に殺されることだけを生きがいに、命を長らえていたのです。』

先ほどの光景がリフレインする。

認めたくないが、父と私は、造作や性癖だけでなく考え方までよく似ていた。だからゼレノイ卿が真実を告げた時、すさまじい怒りを感じた一方で、父が感じたであろう心の葛藤や迷いが手に取るようにわかってしまった。

いま彼女を失ったら、きっと私は正気ではいられないだろう。・・・父のように。

即位当時は全てに必死でわからなかったが、改めて思い返すと不自然なほど何もかもが整っていた。政敵は既に失脚しており、王が政治を放棄していた割には財政も法体制も乱れていなかった。ゼレノイ卿の尽力かと思っていたが、父が全て準備していたからだったのかと納得がいった。

『後悔なんかしても何の役にも立たないし、過ぎた過去は戻らない。』

ゼレノイ卿に告げた言葉は、そのまま自分に向けた言葉だ。

ずっと厭い、憎んできた相手なだけに、真実を知ったからと言ってすぐに赦すことなどできない。父殺しの事実が消えるわけでもない。

それでも、ひとつの真実を知ったことで、見えていた世界ががらりと変わった。あの、重く、暗い日でさえ、必要な痛みだったのかとさえ思えてくる。

(もし・・・もし夢でもいいから。父に逢うことができたら)

妄想だが、考えずにはいられない。私にも愛する伴侶が出来たと、だから痛いほど貴方の気持ちがわかると、素直に言えるだろうか。考えてもよくわからない。

邪念を振り払うように頭を振り、シアを力いっぱい抱きしめる。温かく、生きている。

──ああ、ようやく長く、重苦しい夜が明ける。

ふるりと泣きそうな顔で私を見るシアに、ゆっくりと口づける。舌を捻じ込み、上顎から歯列を舐めあげ、下を吸い、乳房を弄びながら彼女の性感帯を刺激した。
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