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3・執行
3-1:傭兵と精霊魔法
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あのメールの後、藤沼氏からの音沙汰はなく裁判の日となった。
裁判の前に裁判所から、進行をスムーズにするための事前アンケートがあった。
「被告の主張は分かっていますか?」とあったので、先日の香ばしいメールの件を書いておいた。
裁判当日。電車で小一時間の場所にある簡易裁判所へやってきた。
少額訴訟を説明する本や体験記には円卓で行うと書いてあったが、違っていた。
部屋の中央にはコの字型の立ち机があった。後ろに椅子が並んだ客席があり、左右には検事と弁護士が座るような原告席と被告席が並び、正面の一、二段高いところに裁判官の机がある。
いわゆる「裁判をする部屋」だ!
部屋が空いていたのと、感染症対策のソーシャルディスタンスの為だろう。
とはいえゲームやドラマでしか見たことない場所に、正直テンションが上がる。
出来ることなら「異議あり!」と叫んで写真でも撮りたいところだが、そんな雰囲気ではない。
そして初めての裁判はアッサリ終わった。
当然僕の勝訴だ。
藤沼氏は出頭どころか答弁書も出していなかった。
簡単な事実確認が終わり、被告不在で判決が言い渡された。
裁判後に書記官さんに特別送達の書類を見せていただき、藤沼氏の住所を確認し持ってきた上申書を提出した。
ちなみに受け取りはお母様がされたようだ。女性の名前が書かれていた。藤沼氏に嫁や彼女の気配はない。
観覧席には心配して来てくれた、仕事先の担当さんがいた。
独立した当初にイラストレーターとして拾って頂いたので長い付き合いなのだが、メールと電話のみでやりとりだったので会うのは初めてだった。出来ればもっと普通の機会に会いたかったものだ。
帰りに相手から逆恨みの辻切りに会わないか心配して来てくださったらしい。心配が心に染みる。仕事がんばります。
担当さんとは今回の裁判の事の経緯と仕事の打ち合わせをしてから別れた。こんなご時世なので、マスク会食ならぬマスク打ち合わせだった。
事の経緯はなかなか人に話すことがないので、しゃべるだけでスッキリした。
裁判の勝訴が出ても被告に裁判結果が届いてから一週間待たねば事は起こせない。裁判所からの命令を被告が実行する猶予だ。
民事訴訟はあくまで法律で喧嘩の仲裁をするためのルール。
藤沼氏は「裁判所は取立をしてくれない」と言っていたが、勘違いしている。
法律という日本で暮らすルールで裁判という判定を行い、どうするべきかはっきりさせる。その上で個人の判断で民法というルールに従うのが民事訴訟だ。今回はドラマで題材になるような刑事裁判とはちがう。
そして民法は善意や道徳心を守ることである。取立などされずともルールに従い自分で払うのが当たり前なのだ。
とはいえ本人が債務者になるのが分かった上で払わないと断言している。法律に詳しいというのなら、解っているはずだ。遅くなればなるだけ損をする。トレーダーをやっていたなら損切りもわかるだろう。しかし30を過ぎて小学生のような理屈を説いてくるくらいだ。言い出したことが自制で収められず、自分で支払うことがもうできないのかもしれない。
強制執行に向けて準備を進めることにした。
まずは「送達証明申請書」と「訴訟費用額確定処分申立書」だ。この2通を裁判所に送る準備をする。
強制執行には、少額訴訟勝訴についてくる「仮執行宣言付支払督促」に加えて、被告に裁判結果を告知した証明書として少額訴訟の「送達証明」が必要となる。
それに完全に少額訴訟が終わった後に費用を確定させて改めて請求することができる「告訴費用確定処分申立」をする。これにももちろん強制執行に必要な「仮執行宣言付支払督促」と「送達証明」をつけてもらう。
通常の訴訟では標準装備で手数料を請求できるが、訴訟費用額確定処分申立では更に書類の制作費(1,500円)や出頭日当(3,950円)や使用した送料、交通費(300円)も請求できる。
300円以上かかった交通費を請求するには、実際の経路を証明して交通費の領収書などの証明書類を提出した上に、相手に郵送でお伺いをたてないといけないそうだ。
交通費としてSuicaの履歴は一応出してある。だが往復1,600円かかったものの、帰りに打ち合わせもしたし、その後ちょっと遊んで帰ったし、日当も出たし、と交通費の追加請求はせずに経費を計上した。
それでも14,000円位が正当な権利として元金に追加で請求できる。まあ内9,000円位は僕が立て替えた費用な訳だけど。
費用の内訳を裁判事件の担当となった書記官さんに聞き、細かい訂正は捨印を押しておくことで裁判所の方に任せると言うことになった。
後日確認の電話があり、訂正箇所を煩わせた事に礼を言った。
さて、これからは強制執行の手続きとなる。
まず担当裁判所が変わって、藤沼氏が住む住所の管轄の簡易裁判所になる。そこで強制執行や第三者からの情報開示の手続きを行う。
その前にやってみたいことがあった。
弁護士は雇えるのだろうか?おまかせ出来るなら、出来るに越したことはない。
まず弁護士ドットコムで弁護士の募集ページに経緯を書いて募集をかけた。
結果1件。離婚や慰謝料などが得意な弁護士さんが憐れみなのか小金稼ぎか「多分無駄だと思いますが、三井住友UFJ銀行に口座がないか45,000円で調査しますよ」と声をかけてきたくらいだ。
ちなみに裁判所に依頼すれば1件1万円かからない。
他にも『回収額の30~40%を成功報酬で債権回収はおまかせ!勝訴して仮執行宣言付きの支払督促があれば代わりに取り立てますし、失敗の場合は料金は要りません!』
…なんて謳っている弁護士事務所のホームページに、相手の仕事先や元金等の必要事項を入力して送ってみたが、返信すらなかった。元金が少な過ぎたのか、冷やかしかと思われたのか。
また普通に弁護士を雇った場合も調べてみたところ
着手金と日当と書類手数料と交通費と成功報酬を合わせて100万円くらいはかかりそうなことがわかった。そして依頼するにもまず最低20~30万円以上は必要であるようだ。
こうして色々やってみて一つわかった事がある。
弁護士は口座を調べることができるが、債務者がどの銀行に口座を持っているかはわからない。結局債権者が弁護士に相談して口座を指定することになる。もし全部任せて依頼を受けた弁護士なら調査してわかるだろうが、その調査に上記の高額な金額がかかる。その上で弁護士は債権がわかる「かも」しれないと言うことだ。
現実問題として請求元金10万位の額では弁護士にはほぼ仕事をしてもらえない。
基本弁護士代は相手に請求できないため、お互いが損する確率が高いからだ。
いくら債務者がアレな人間でも弁護士さんにはありふれた話で、ドラマのように助けてくれる要素も何もない。
弁護士さんもお仕事なのだ。他人事の不祥事を相手にするならそれ相応の代金がかかる。
それに日本では自分でどうにかできないわけではないのだ。法律がある。もちろんタダではないし直接何かしてくれるわけではない。それに法律は人間が作ったものだし時代も変化していくから、完璧ではない。
しかし進歩はしている。今回裁判所経由で財産調査できるようになったのも、つい最近行われた法改正のおかげだ。弁護士に比べればかなり格安で力を貸してくれる。
ファンタジーの世界に例えると、弁護士は傭兵で裁判所は精霊魔法みたいだなと思った。
お金を積むことで、その経験と実力で力を貸してくれる弁護士。
自力で正しい儀式と対価を献上することで、強力な力を貸してくれる裁判所。
日本はその裁判所や法律がかなり使いやすい環境である。少なくとも個人間の争いなら頑張ればなんとかなるかもしれないレベルには。
時代や国によっては初めからどうにもならないことがあるのだから恵まれている方だ。
日本の教育では「みんな仲良く」と習う。愚直な幼少時代の僕はその言葉を鵜呑みにして信じていた。
「みんな仲良く」はみんなが守れば平和になるはずの理想論だ。しかしみんなが色々な意見を持っているから、ルールを決めよう、意見が違うなら話し合おうというのが民法であり、どうにもならない時の審判が民事訴訟なのだと、今回色々調べてようやく知った。「みんな仲良く」は笑顔で手をつなごうではなく「争いや虐げが無く平和に暮らそう」という意味だった。
逃げたり守ってもらうだけではなく、自分で向き合うこと、知識を得ること、ルールを守らず話が聞けない人が居ると知ることも「みんな仲良く」には必要だったのだ。
話がそれてしまったが当初は、すぐにでも藤沼氏の務める会社に給与の強制執行を仕掛けたいところだったのだが、状況が変わっていた。
裁判の前に裁判所から、進行をスムーズにするための事前アンケートがあった。
「被告の主張は分かっていますか?」とあったので、先日の香ばしいメールの件を書いておいた。
裁判当日。電車で小一時間の場所にある簡易裁判所へやってきた。
少額訴訟を説明する本や体験記には円卓で行うと書いてあったが、違っていた。
部屋の中央にはコの字型の立ち机があった。後ろに椅子が並んだ客席があり、左右には検事と弁護士が座るような原告席と被告席が並び、正面の一、二段高いところに裁判官の机がある。
いわゆる「裁判をする部屋」だ!
部屋が空いていたのと、感染症対策のソーシャルディスタンスの為だろう。
とはいえゲームやドラマでしか見たことない場所に、正直テンションが上がる。
出来ることなら「異議あり!」と叫んで写真でも撮りたいところだが、そんな雰囲気ではない。
そして初めての裁判はアッサリ終わった。
当然僕の勝訴だ。
藤沼氏は出頭どころか答弁書も出していなかった。
簡単な事実確認が終わり、被告不在で判決が言い渡された。
裁判後に書記官さんに特別送達の書類を見せていただき、藤沼氏の住所を確認し持ってきた上申書を提出した。
ちなみに受け取りはお母様がされたようだ。女性の名前が書かれていた。藤沼氏に嫁や彼女の気配はない。
観覧席には心配して来てくれた、仕事先の担当さんがいた。
独立した当初にイラストレーターとして拾って頂いたので長い付き合いなのだが、メールと電話のみでやりとりだったので会うのは初めてだった。出来ればもっと普通の機会に会いたかったものだ。
帰りに相手から逆恨みの辻切りに会わないか心配して来てくださったらしい。心配が心に染みる。仕事がんばります。
担当さんとは今回の裁判の事の経緯と仕事の打ち合わせをしてから別れた。こんなご時世なので、マスク会食ならぬマスク打ち合わせだった。
事の経緯はなかなか人に話すことがないので、しゃべるだけでスッキリした。
裁判の勝訴が出ても被告に裁判結果が届いてから一週間待たねば事は起こせない。裁判所からの命令を被告が実行する猶予だ。
民事訴訟はあくまで法律で喧嘩の仲裁をするためのルール。
藤沼氏は「裁判所は取立をしてくれない」と言っていたが、勘違いしている。
法律という日本で暮らすルールで裁判という判定を行い、どうするべきかはっきりさせる。その上で個人の判断で民法というルールに従うのが民事訴訟だ。今回はドラマで題材になるような刑事裁判とはちがう。
そして民法は善意や道徳心を守ることである。取立などされずともルールに従い自分で払うのが当たり前なのだ。
とはいえ本人が債務者になるのが分かった上で払わないと断言している。法律に詳しいというのなら、解っているはずだ。遅くなればなるだけ損をする。トレーダーをやっていたなら損切りもわかるだろう。しかし30を過ぎて小学生のような理屈を説いてくるくらいだ。言い出したことが自制で収められず、自分で支払うことがもうできないのかもしれない。
強制執行に向けて準備を進めることにした。
まずは「送達証明申請書」と「訴訟費用額確定処分申立書」だ。この2通を裁判所に送る準備をする。
強制執行には、少額訴訟勝訴についてくる「仮執行宣言付支払督促」に加えて、被告に裁判結果を告知した証明書として少額訴訟の「送達証明」が必要となる。
それに完全に少額訴訟が終わった後に費用を確定させて改めて請求することができる「告訴費用確定処分申立」をする。これにももちろん強制執行に必要な「仮執行宣言付支払督促」と「送達証明」をつけてもらう。
通常の訴訟では標準装備で手数料を請求できるが、訴訟費用額確定処分申立では更に書類の制作費(1,500円)や出頭日当(3,950円)や使用した送料、交通費(300円)も請求できる。
300円以上かかった交通費を請求するには、実際の経路を証明して交通費の領収書などの証明書類を提出した上に、相手に郵送でお伺いをたてないといけないそうだ。
交通費としてSuicaの履歴は一応出してある。だが往復1,600円かかったものの、帰りに打ち合わせもしたし、その後ちょっと遊んで帰ったし、日当も出たし、と交通費の追加請求はせずに経費を計上した。
それでも14,000円位が正当な権利として元金に追加で請求できる。まあ内9,000円位は僕が立て替えた費用な訳だけど。
費用の内訳を裁判事件の担当となった書記官さんに聞き、細かい訂正は捨印を押しておくことで裁判所の方に任せると言うことになった。
後日確認の電話があり、訂正箇所を煩わせた事に礼を言った。
さて、これからは強制執行の手続きとなる。
まず担当裁判所が変わって、藤沼氏が住む住所の管轄の簡易裁判所になる。そこで強制執行や第三者からの情報開示の手続きを行う。
その前にやってみたいことがあった。
弁護士は雇えるのだろうか?おまかせ出来るなら、出来るに越したことはない。
まず弁護士ドットコムで弁護士の募集ページに経緯を書いて募集をかけた。
結果1件。離婚や慰謝料などが得意な弁護士さんが憐れみなのか小金稼ぎか「多分無駄だと思いますが、三井住友UFJ銀行に口座がないか45,000円で調査しますよ」と声をかけてきたくらいだ。
ちなみに裁判所に依頼すれば1件1万円かからない。
他にも『回収額の30~40%を成功報酬で債権回収はおまかせ!勝訴して仮執行宣言付きの支払督促があれば代わりに取り立てますし、失敗の場合は料金は要りません!』
…なんて謳っている弁護士事務所のホームページに、相手の仕事先や元金等の必要事項を入力して送ってみたが、返信すらなかった。元金が少な過ぎたのか、冷やかしかと思われたのか。
また普通に弁護士を雇った場合も調べてみたところ
着手金と日当と書類手数料と交通費と成功報酬を合わせて100万円くらいはかかりそうなことがわかった。そして依頼するにもまず最低20~30万円以上は必要であるようだ。
こうして色々やってみて一つわかった事がある。
弁護士は口座を調べることができるが、債務者がどの銀行に口座を持っているかはわからない。結局債権者が弁護士に相談して口座を指定することになる。もし全部任せて依頼を受けた弁護士なら調査してわかるだろうが、その調査に上記の高額な金額がかかる。その上で弁護士は債権がわかる「かも」しれないと言うことだ。
現実問題として請求元金10万位の額では弁護士にはほぼ仕事をしてもらえない。
基本弁護士代は相手に請求できないため、お互いが損する確率が高いからだ。
いくら債務者がアレな人間でも弁護士さんにはありふれた話で、ドラマのように助けてくれる要素も何もない。
弁護士さんもお仕事なのだ。他人事の不祥事を相手にするならそれ相応の代金がかかる。
それに日本では自分でどうにかできないわけではないのだ。法律がある。もちろんタダではないし直接何かしてくれるわけではない。それに法律は人間が作ったものだし時代も変化していくから、完璧ではない。
しかし進歩はしている。今回裁判所経由で財産調査できるようになったのも、つい最近行われた法改正のおかげだ。弁護士に比べればかなり格安で力を貸してくれる。
ファンタジーの世界に例えると、弁護士は傭兵で裁判所は精霊魔法みたいだなと思った。
お金を積むことで、その経験と実力で力を貸してくれる弁護士。
自力で正しい儀式と対価を献上することで、強力な力を貸してくれる裁判所。
日本はその裁判所や法律がかなり使いやすい環境である。少なくとも個人間の争いなら頑張ればなんとかなるかもしれないレベルには。
時代や国によっては初めからどうにもならないことがあるのだから恵まれている方だ。
日本の教育では「みんな仲良く」と習う。愚直な幼少時代の僕はその言葉を鵜呑みにして信じていた。
「みんな仲良く」はみんなが守れば平和になるはずの理想論だ。しかしみんなが色々な意見を持っているから、ルールを決めよう、意見が違うなら話し合おうというのが民法であり、どうにもならない時の審判が民事訴訟なのだと、今回色々調べてようやく知った。「みんな仲良く」は笑顔で手をつなごうではなく「争いや虐げが無く平和に暮らそう」という意味だった。
逃げたり守ってもらうだけではなく、自分で向き合うこと、知識を得ること、ルールを守らず話が聞けない人が居ると知ることも「みんな仲良く」には必要だったのだ。
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