霧雨、眼前に、自転車に乗った君

幸甚

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作り上げてわめいてラ

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 入道雲は孤独だ。

 隣あって私たちに光を届けているようにも見えるが、この距離が、何故か遠いのだ。







 車内に馴染むようなアナウンスが響いて、ゆっくりと慣性を感じながら電車が金属音を引っ掻く。
 スピードがゴトンと、落ちていくと感じるごとに、吊革を握る手の力が強くなる。
 溢れる、放課後の静寂に似た、別れを生む空気。
 移り変わる景色は、止まり、扉が重そうに開いた。
 吊革を離し、二人は段差を隔てて、電車を降りる。
 私は、振り返る。世界は、私達を認めてくれたと。
 車掌室に、落ちる涙。寂しさを醸し出す、匂い。


 せめて、泣かずに最後を迎えようと心に決めていたのに、夕焼けに染みる柔い風が、全身を巡った。雫は風に運ばれ、音もなくパチンとはじけた。
 「孤独は、悪いように聞こえるかもしれないけど、かけがえのないものだよ」
 

 目一杯に活用した間の後、


「知ってるよ」

 いつの間にか、この声が、大好きになっていた。



 
 電車の影は、実物と同じスピードで、次の目的地を目指す。





 掠った空気に触れ、鳥肌が立った。



 感謝ではない、ただ、

 戻りたいーーーだけ、だ。








 二つの影が、破れた襖の隙間を透過し、畳の上に堕ちる。
 紫色の夜空を超える輝きを見せるのは、二人がただ、魅惑的だからだ。





 君のため息が、意味になり、夢になり、幻想に成り上がった。





 あの日は、花火大会で最後の一発が終わったような焦げた空気が流れていた。
 三人家族。時間は無慈悲に、当てもなく、悠々と過ぎていった。
 今残るのは、互いが意味もなく生きていく為に必要な未来への賭のみだ。
 

「マオ、行ってきます。お昼は適当に買って食べてね」
 苦い笑みを浮かべ、お母さんは私たちが住んでいるマンションの玄関を開けた。
 私はドアが閉じるまで笑顔で手を振り続ける。開いた隙間から太陽の光が洩れ、埃が舞っているのが分かった。温い光が足にかかる。共に、異種魂胆と混ざる蝉の鳴き声が重複して聞こえた。
 しかし、バタン、と、入り込んだ光が跡形もなく消え、小さくなった蝉時雨と闇が、現実を黒く照らす。
  ふと、考えてしまう。私はお母さんに生かされているだけなのではないかと。私がいることを望んでいる人など、いるのか。この先現れるのか。足掻いても分からない問に、少しばかりこの空気に嫉妬した。
 小さい弟がいる私にとって、頼れるのはシングルマザーの母だけ。そんな母も、私たちを養うためいくつものアルバイトとパートを掛け持ちしている。帰ってくるのはざらに深夜と言う単語が似合う頃だ。
 それでも、たまに甘い手料理をつくってくれるのは、私たちを愛しているからだと思う。
 部屋の隅には、蜘蛛の巣が蔓延り、久しく使っていない風呂場の壁には、一面にカビが染み渡っている。私たちはここ数ヶ月、二日か三日に一回のシャワーで清潔さを保たせている。それ故、私が働いて少しでも家計を少しでも手伝えるようになるまでの数年、母は、生きていくために必要なお金をずっと欲しているだろう。私達を養うため。
 幼いながらに私は、数回しか会ったことのないがお父さんならこの状況を助けてくれると考え、記憶の片隅にある父親の存在を問った。しかし、浅はかで率直すぎる質問に母は場を濁すばかりで、何一つ教えてくれなかった。
 母との会話の中で父を登場させるといつも悲しそうな顔をするので、もう、いない人の事などどうでも良くなっていった。
 レオが生まれてすぐ離婚した、二人。お父さんは、私の記憶の中でほとんど息をしていない。おおらかな背の丈と渋い声は、眉をしかめれば、多少思い出せるのだが、顔となると途端に難度が上がる。そもそも、お父さんと顔を合わるのは指で数えられる回数だけだ。
 父は仕事三昧で、一日中家に居たということはなかった。
 それを望んでいるかは知らないか、今になって会ってみたいと思うのは、私が正しくないのか。
 頭を横に振り、弟の眠る寝室へ向かった。




 疑問が終点に辿り着いた私は、小学生の高学年の立ち位置が定着した頃、覚悟を決めて質問した。
「お母さん」
 緊張と期待と不安が混じった声は、味噌汁を作っている背中を振り返らせた。私が家庭科の授業中に作成したエプロンを着ている母。
  太陽はとっくに沈み、星が雲に恥ずかしさを消すように隠れた夜。
「ん、何かあった?」
 いつも通り、接してくれる。
 これからこの笑顔を壊してしまうかもしれない質問をするのかと思うと、胸がじんと痛くなった。が、完璧に練り上げた計画を私自信が崩すわけにはいかない。緊張と不安を切り捨て、期待だけを見つめ、言った。
「学校の宿題でさ、両親のお仕事について知ろうって宿題が出たんだけど、お母さんと…お父さんの仕事を詳しく教えてくれないかな?」
 自然に出てきたように振る舞う。所詮は深いことを考えられない子供なので、わざとらしくなってしまったかもしれない。
 でも、お母さんはしっかり一拍おいた後、しっとりとした声で、
「分かった。ご飯の時、話してあげるね」
 妙に地に着いていないような声だったのは、気のせいだろうか。
「ありがとう」と簡潔に返し、すぐさまお母さんの視界に入らないところまで移動して、息を吸って吐く。
 お父さんの事を聞けた私が、お母さんが快諾してくれた事が、嬉しかった。晩ご飯の七時まで、私の気分は限りなく高揚していただろう。
 高揚した気分を、消さないように優しく奏でられる、料理の音。
 結果がどうであれ、私はただ、お父さんの事を知りたかっただけなのだ。
 


「マオ、あなたのお父さんはね───誰かの距離を近くするのを手伝う仕事をしてるんだよ」
    食事の時間が始まってすぐ、お母さんは、私の心だけを突き通すように真剣な表情で目を合わせ、ゆっくりと口を開いた。
 私は、息が詰まり、時が止まったのかと錯覚してしまった。
    誰かの距離を、近くする仕事。お父さんが、誰かの為に待っていることを知って、感慨深くなった。私が知らないところで動いている世界、か。
「お」
「お母さん、この魚骨ある?」
 唐突に、幼くて呑気な言葉がでてきた。レオはこの状況を理解していないらしく、緊張感溢れる空気を一言で真っ白に掻き消した。
「あるよ。いつも言ってるでしょ。お骨がないお魚さんは、いないって」
「うん」
 お母さんは優しい語調で言っているのにもかかわらず、レオはしおれたように返事の勢いがなくなった。
 私の眉をしかめた視線に怖じ気づいてしまったのか。
 それでも、私は話を戻す。
「お母さん、誰かの距離を近くする仕事ってどうゆうこと?」
 細い箸を置いて、憂いに満ちた顔で、
「あなたのお父さんはね、」
 視界に収められたらお母さんは、当たり前だけど、私より関わった世界が広い。それが誇らしいのと同時に、やるせない感情が六畳半のテレビとテーブルしかない空間に、吹いた。

   ふと味噌汁に視線をやると、味噌とワカメが下にたまり、上は透き通っていた。
 揺れる世界に、透明な私。



「マオ、今日がいちばん、星がきれいだなぁ」
 低い声が聞こえる。頭のどこかで理解はしているんだけど、言葉では言い表せられないような、純粋な気持ちを感じる。
 久しぶりにお父さんが帰ってきた晩、毎回そう言っていた気がする。
 そしてここは、私たちが住んでいるマンションの前の公園か。
 私は部屋で熟睡しているのに、起こされて、大きな背中に乗せられ、マンションの前の公園に連れて行かされる。
 私は寒くて、震えているのに、伝わる温もりが最高に気持ちよくて、うろ覚えに、夜空の下、夏の公園の中で、
「ずっとこのままがいい」
 無意識に、こう呟いてしまっていたらしい。出てきた言葉に父は、私が深い眠りにはいるまでずっと、そうしてくれていた。曇っていて空には何も見えない。移り変わる月に纏う黒い綿飴みたいな雲。背中に架かる軽い体重。
 お父さんには、私は必要で無くてはならない存在。いなくなったら、そう考えてしまうと、心臓が潰され、涙が押し出されるような感触が残る。きっとそうなのだ。
 月光が二人を照らし、騒がしい町は、時のモノになる。街灯には虫が群れをなしていて、錆びきった鉄棒の向こうの草原から虫の声が重なる。
 前歯の乳歯が抜けたばかりの私は、父の背中の中で収まる私は、温もりを感じられるのが『普通』だった私は、単に幼かった。
 なのに朝起きると父はいない。ちゃんと顔を見て話をしたいのに、家族全員で笑いあって話をしたいのに。私はこんなに成長知ったて、知ってほしいのに。お父さんに笑ってほしいのに。
 歯が抜けた笑顔は、背中で収まる私は、温もりを感じれるようになった私は、成長したのだ。
 父は、生きる意味と「今」の幸せを知った。






 狭いキッチンの前のテーブルには、銀色の硬貨が四枚。全て合わせても、四百円だ。四百円あれば、良い方。私はそっと肯定してお母さんを送り出した後の時間を至福の時にするべく二度寝に使うことにした。
 もう温もりは残っていない。薄い掛け布団だから当然だろう。
「疲れたー」
 小さく、吐き出した息と混ぜる。
 網戸から伝わってくる朝の風が吹き渡り、同化する。
 横目にレオを見ると、額に汗が流れていた。私は、不満を出さずに心に留めておいてたまにたくさん発散するタイプなので夏がどんなに暑くても大丈夫だが、弟はそうはいかず極端に暑がりなので、私が隣でうちわで扇いであげることもある。そう言うことをしている時だけ、私はこの子の姉なんだなと実感する。
 我が家にも唯一、夏に対応した壊れかけの扇風機があるが、音が年紀を重ねているだけあってうるさい。なので、夏や梅雨の時季は寝る前に大体稼働している。
 お母さんを見送り、うちわを片手に網戸の先の外を眺めていると今日が始まったことを実感する。目が冴えてもう一眠りは期待できなさそうだったのでうちわを持ったまま天井の木目を見て、全身で大の字になるように欠伸をする。           そして頬を流れるはずの涙を目に溜めて、横に寝返りを打つ。すると、左頬に涙が伝った。同時に、昇る朝日が見える。
 目を濡らした涙のせいで、視界がグニャグニャになる。
 次第に明るくなっているのも関わらず、レオはまだぐっすり熟睡中だ。そんな寝顔を隣で眺める。                                                                               
 そして、風で揺れる前髪を見て、囁く。
「髪、長くなったね。また今度、切んないとね」
 七つ離れている私たち。安心しきって眠っている弟を感じると、少しばかり癒された。
 ウトウトしかけ、うちわをおいて横になる。
 時計を何気なく視界の標準にあわせると、針が一直線に伸び、六時ぴったりとなっていた。
 今日は月曜日。そうは言っても、夏休み中なのであまり関係はないが。
 弟はもう少し寝かせておいてあげるかと、起き上がり、布団を三つ折りにしてお母さんの布団に重ね、隅に寄せる。
 毎朝朝食には、お母さんがセールの時に買いだめしてある安い食パンを食べる。それを牛乳で流し込む。
 そして、唯一と言っても良い時間を消費するのにもってこいの厚いテレビに電源を入れる。消音ボタンを押して番組表を確認しても、朝と言うだけあって面白そうな番組がやっていない。
 申し訳程度に、電源を落とし、私は宿題を進めることにした。
 あと二日で七月が終わる。私に残っている宿題は美術の宿題だけだ。残りの夏休みの期間を考えると、余裕がありすぎる。
 終わっていないと安心できない私の性格に、母は、
「もっとゆっくりやっても良いんじゃない?」
と笑う。
 まぁ、何がともあれ、早急に終わらせて悪いことなど無いと私は思っている。
 早速、ポスターを終わらせるべく白い紙に下書きの鉛筆を走らせていく。絵に入れる標語は、『元気な挨拶を交わそう』だ。
 すぐ下書きの筆が、止まる。頭の中である程度のビジョンは浮かんでいるのだが表すのは難しい。
 絵の下手さは、お母さんに似たと思う。お母さんの書いた絵には奥行きが無い。字は綺麗だが、愉快な物語の一部にありそうな紙に織り込まれた母の感じる世界は、不思議で幻想的だった。

 集中して下書きに手施しを加えていると、何時の間にか一時間が経っていて七時をまわる頃になっていた。
 えっ、と時間の進む速さに驚きながら弟を起こすことを完全に忘れていて焦る。
 立ち上がり、もう遜色ないほどに明るくなった部屋に入る。弟は、布団を引っ剥がしてお腹を丸出しにして、まだ深い眠りについている。
 私は思わず吹き出して笑いそうになった。昨日レオは夜の六時には布団に入って眠ったはずなのに。
 昨日の夜、宿題を進めるために十時に寝た私よりも寝ている。
 襖を開け、窓も開ける。
「レオ、朝だよ。いつまで寝てるんだよー。起きて。ほら昨日約束したところ行くんでしょ」
 お腹を隠して、布団を優しく剥がす。
「あと、五分」
 布団を勢いよく引き戻し、そっぽを向く。優しさの塊を超え、優しさという概念になったと呼ばれている私でも、朝っぱらからこんな態度をとられては、いい気ではない。
「レオ、今起きないと、昨日約束したところ連れてってあげないよ」
 弟が行きたがっていたことをダシに布団から出させる。数秒後、
「ずる。分かった起きるよ」
 レオはゆっくり起き上がる。さっさと支度を済ませてほしいので、
「レオ、布団畳んどくから朝ご飯食べちゃいな」
「あーい」
 私は、布団を隅に置き、外を見る。
 そこには、縦に伸びる入道雲。隠れずに出てきた、太陽の灯り。




 
 



 音楽室から、合唱が聞こえる。
 校舎が違うのに、胸に秘めたすべての感情を感じる。いや、感じないといけない、そんな声だ。声質は自在に変化しここまでの空気を圧倒とさせる。
 別に引き込まれたわけではない。私たちがあの年であの声を出せるかと言われると、違うだけだ。
 この教室には、私一人。私は欠伸をして、真横の窓を開ける。
 窓に見える景色からは、いつも見えている景色が見えない。濃い霧に遮られた視界に、果てしなさを想像し、微笑む。
 さっきまでの行動を消すよう、さっと立ち上がり、私は家に帰ることにした。そもそも今日は学校に来る必要はない。家にいるのが嫌いなだけだ。
 階段を下りて、靴を脱いで、駐輪場を目指し、自転車に乗る。
 霧が立ちこめているせいか、微細な雨のミストが顔面に降り注ぐ。
 下り坂で、ミストが霧雨に変化する。薄いスカートが濡れ、円い模様が段々分からなくなる。目を凝らして、眼に入る雨粒に耐え、前を見続ける。
 変わらない道に、変わったのか自覚のない自分。私は変化を求めていない。変わるのが怖いのだ。たまらなく。変わったところを見せたくないし、見たくないのだ。でも、世界は、確実に動いている。どんなところとか、関係なく。  光が当たってようが当たってなかろうが。それが大嫌いだ。
 
 私はこのまま進み見続けていても、家に着くだけなので、寄り道をする事にした。いつもの道を逆に曲がってみたり。
 次第に熱を帯びていく体には、霧雨はちょうど良かったのかもしれない。
 気付くと、


 誰もーーーーいない世界。
 

 驟雨は止み、日が差し、ここは、駅?

 草に囲まれ、荒んだ憧憬が過る。訪れたことなどないのに。
 何だろう、強いて言えば、修学旅行当日の朝のようだ。くっきりと、麗しく、鮮明としている。そうなのに、胸がいたい。でも、ここは私がまだ来たこともない駅。
 人々は電車に乗り、自分の終点を目指す。それもまた、作り上げられた上限で終わる。
 私は行かなくてはならないと、何故か衝動に駆られてしまい、自転車を道脇に捨て、階段を駆け、無人のホームに上がる。
 左右に広がる茶色の線路。真ん中に、真っ白な入道雲。前に、実を付ける前の棚田に万緑の情景。ノスタルジックを更に際立てているのは、剥がれる最中の鉄紺の二人掛けのベンチだ。
 私は、感傷に見つかってしまったらしい。
 どこから吹いているのか分からない風が、連なる電柱の影が、誰もいないという事実が、あったからかもしれない。
 私は、来るかも分からない電車を待つことにした。もう今日の分の電車は走らないかもしれない。でも時刻表など確認せず、待ち続ける。待ちたかった。後何分で電車が来るなど、どうでも良い。何かを待ちだい。そんな気分だ。
 私は、迷い込んだ未知の世界で、人を運ぶ電車を待った。
 例え誰かが取り繕ってこの景色をつくっているとしても、眺めている分には全く退屈しない。風に順々と倒れる稲穂。濡れたスカートと制服は乾いた。
 気が付くと、二時間が経っていた。
 何も考えずにいたせいか、時間が過ぎた実感がない。もう少し、このままでいるかと、目を閉じた瞬間、
 バックが着信音と共に振動する。画面が表示したのは「お母さん」の四字だ。今一番話したくない人が、最悪のタイミングで電話をかけてきた。
 はーっとため息を出し、出なくても面倒になるだけなので十秒待った後着信を入れた。
「実花?!今どこにいんの?」
 電話越しでも機嫌が悪いのが伝わってくる。
「今学校」
「ッチ、さっさと帰って来いよ。バカ娘が」
 乱雑に一方的に切られた。
 これだから嫌いだ。私を否定する声が、聞き慣れているはずなのに、震えている私の身体が憎い。
 思えば、私はこの人に幸せになってほしくないと願っている気がする。私を声だけで不幸に陥れる様な人に、生きている価値があるのか。考えてしまう。
 ヒステリックに叫ぶ母は、父が早く死んでからおかしくなってしまった。
 お母さんが全て悪いわけではないのに、今の母を見て、嘆く。
「たすけて」
 無人駅で綴る。入道雲は動かない。目まぐるしいほどに、世界の広さに手を差しのべられてしまった。
 すると、透き通るようなそよ風が、吹き荒れる。棚田の稲穂は一方向に靡き、目を開けていられないような強烈な旋風が私を包む。
 味のない風が、影の出来ない電線を揺らす。


 私は、目を閉じた。鞄で顔を覆う。






 「入道雲に、乗ってみたい」
 何時かの世界で、少女は拙い字でに短冊で祈りを書いた。純粋な心に、真っ白な希望。
 
 普通の大人なら、こんな願いは叶うはずがないと、笑うだろう。心の底から子供の馬鹿みたいな夢物語だと。

 ───小さい頃、雲にのってみたいと思ったことは一回ぐらいはありますよね?───
 

 運命は、選びましたよ。少女の世界を。






「行くよ。レオ。忘れものない?」
 朝の八時。マンションの玄関を開け、二人で手を繋いで出る。






 

 




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