烙印を理由に婚約破棄。その結果ステータスALL1000の魔導師になりまして

流雲青人

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プロローグ

04 取り敢えず逃げます

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 「エデンお嬢様、昼食の準備が整いましたので食堂へ参りましょう」

 午前十二時になったのと同時に使用人が私の部屋にやって来た。
 ちょうど家を発つ準備をしていた私は慌ててその荷物を隠す。

 そんな私を見て首を傾げる使用人。

 私は取り敢えず「何でもない」、と返し最後に「食欲が無い」と嘘をつき使用人を追い返した。私は使用人が出て行った後、大きなため息を吐いた。

 今まで昼食は一人で食べていた。
 大体がその日の余り物だった。けど貰えるだけマシなのでその余り物を食べていた。余り物とは言っても本当に酷い時は食べ物の中に激辛ソースが加えられていたり、食べられない硬い何かが入っていたこともあった。
 こんな嫌がらせをしてきたと言うのに、彼らは今頃になって私を昼食の場に誘うのだ。

 謝って欲しいわけじゃない。

 ただ単に意味がわからない。

 簡単に手のひらを返し、あれだけ毛嫌いしていた私に急に優しく接したず彼ら自身が。
 
 ベッドの上に転がる手鏡を手に持ち、覗き込む。
 烙印を隠す為に伸ばした眺めの前髪を掻き分け、その下にある烙印をゆっくりと撫でる。

 決して消える事が無いのなら一生共に過ごす事になるんだからもう気にしなければいい。

 そう考えたらふと体が少しだけ軽くなったような気がした。


 私はほんの少しのお金の入ったお財布と数枚のタオル、肌着や本、それと地図などを入れたリュックを背負う。
 そして窓を開け、窓の外を下を見下ろす。

 私の部屋は二階。
 窓から飛び降りるにしても中々の高さである。

 それに外なんて生まれて初めて踏み出す世界。

 私はゴクリと唾をのみこんだ。

 怖いとは思わない。
 その代わりドキドキが止まらない。
 外ではどんな事が起こっているのか。
 そしてどんな事が起こるのか。

 心臓の鼓動がだんだん早くなるのが分かった。

 「エデン。食欲が無いと聞いたが大丈夫か?」

 「お、お父様!?」

 突如開いた扉に私は驚く。
 お父様と目がばっちり合い、私は慌てて窓から外へ飛び出した。

 体が軽い

 それが最初に思った事だった。


 「エデン!? 何処に行く気だ!? 誰か! エデンを捕まえろ!!」

 お父様の声が聞こえた。
 こんなに声を荒らげているのは初めて聞いたかもしれない。
 だけどそんな声を無視し、私は門を目指して走った。

 体が軽いせいか、あれだけ遠くに思えていた家の門がもう目の前になってきた。
 けど

 「お嬢様が居たぞ!」

 「捕まえろー!」
 
 予想以上に早い使用人達の登場だった。
 ここで捕まってしまったら終わりだ。

 私は走るスピードを上げた。

 全身で浴びる風はとても気持ちよかった。
 走るのがこんなに楽しかったなんて……。

 使用人達の声が聞こえてきてくる中、私は門から出るのを諦め屋敷を囲む高いレンガの塀を登って外に出ることにした。だけど近くから見てみれば塀はかなり高かく、登ることなんて不可能に思えた。

 でも、ここで捕まったら私はきっと後悔すると思う。

 私は拳をギュッと握りしめた後、一か八かの賭けをした。

 「いっけぇぇぇ……!」

 勢いよく助走をつけ、私は思いっきり踏み込んだ。
 私が一か八かに賭けたのはジャンプだった。

 「あれ?」

 荷物があるにしても体が軽い。
 私は軽々と塀を乗り越えるほどの大ジャンプをした。
 塀を乗り越え、私は地面へと着地する。
 自分でも驚きを隠せなかった。

 ……私、本当にステータスが爆発的に伸びたんだ

 と改めて自覚もした。

 そして見事外に出る事が出来た私は今の自分の身体能力に驚きつつ私は再び走り出した。

 地面には沢山の石が転がっているのに全く痛くも痒くもない。
 そう言えば防御力も高かったんだ。
 体力もあれだけ高ければまず疲れることはないと思う。
 なら取り敢えずまずはこの街を出よう。
 街に居たらきっとお父様で一晩も掛からずに捕まってしまうだろう。
 それだけお父様には力があるのだ。

 私はリュックから地図を取り出す。
 目的地はこの街からかなり離れた小さな町にしよう。
 地図を広げ、まず現在地を確認。それから目的地を決める。

 「ここにしようかな」

 私が目を付けたのはこの街、アゼリア街から三百キロメートル以上も離れた場所にあるルゲル村という小さな村だった。

 移動手段はもちろん足。
 こんな最強のステータスを手に入れたんだからいろいろ試したい事もある。
 特に魔法。
 今までの私には絶対に使うことの出来なかった魔法。
 それが今では使うことが出来る。
 
 自分が魔法を使う姿を想像するだけで胸が踊った。
 
 それに、せっかく家を出る事が出来たんだ。
 これから自由にのんびりと過ごす為には魔法が必要不可欠になるかもしれない。何より自分の身は自分で守らなければいけないのだから。

 私は地図をリュックに戻し、早速目的地へと足を急がせた。
 目的地はまだまだまだまだ先の先。


 
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