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一緒にダンジョン編
21 鑑定眼
しおりを挟むダンジョンに入って早二時間。
サポート役としてやってきた私だったけど、特にあの一件以外には特に戦うこともなく、ただレオン殿下率いる騎士団の人達の後ろに引っ付くような形で最終層まで来ていた。
最終層はもちろんボスモンスターがいる。
しかしその前に隠し扉を見つけたらしいのでまずはそちらから攻略しようというレオン殿下の指示のもと現在騎士団の人達は装備の点検をしている。その間私とアンくんは暇なので、取り敢えずそこら辺にいる下級モンスターを倒していた。
「お師匠って、本当に魔導師?」
「魔導師ですよ? 魔法だって一応使えるからね」
「じゃあ……あの時のパンチなに?」
あ、やっぱり気になりますよね。
気にならない方が不自然である。
普通の魔導師とは遠距離型攻撃を好むし、何より拳では戦わない。だけど私はモンスターを拳で倒してしまった。
それと……あの謎発言。
自分でも何を言ったのかはさっぱり分からない。
気づいたらポロリと出たあの言葉には意味があるんだとは思う。でも、その理由は全く分からないままである。
「えっと、詳しい事はまた今度話すよ」
私の答えにアンくんは心底つまらなそうに、ふーん、と素っ気なく答えると再びモンスター倒し始めてしまった。
そんなアンくんの後ろ姿を見つめていると、
「エデンさん」
名前を呼ばれ、振り向く。
するとそこにはレオン殿下の姿があった。
ふわりと揺れる桃色の髪が栄える白い肌は女の子みたい、
「先程、Bランクと仰いていましたがもしかして鑑定眼を持っておられるのですか?」
「鑑定……眼?」
聞きなれない言葉に私は首を傾げた。
そんな私を見てレオン殿下は一瞬目を見開くなり、小さく微笑んだ。
「貴方は面白い女性ですね」
「え?」
「魔導師なのにモンスターと拳で戦ったり、私の妹と歳が変わらなさそうなのにもう弟子がいて、尚且つ鑑定眼を持っていたり。私が今まで会ってきた女性とは違う点ばかりだ」
面白いかは分からないけど、珍しいとは自分でも分かっている。
魔導師なのに拳で戦い、まだ十代だというのに弟子がいる。しかも、竜人の弟子である。
でも、レオン殿下の言う鑑定眼というのは本当に分からない。
「あの、鑑定眼って何なんですか?」
「私を見て何か感じませんか?」
感じる? レオン殿下を見て……?
感じるものと言えば気品とかしか……
「Aランク」
「はい」
「あれ?」
私は口を塞ぐ。
わ、私、今なんて言った……?
慌てる私にレオン殿下が微笑む。
「今のが鑑定眼です。人間ならば冒険者ランクが。モンスターならばモンスターのランクが分かるのです。これはユニークステータス要素、観察力を持っている人のみ使えるものです。私はこれまで沢山の国で沢山の事を学んできました。その際には沢山の人と出会いました。しかし、鑑定眼を持つ方は初めてです 」
鑑定眼ってそういう事だったのか。
私はアンくんへと視線を投げる。
じーっとアンくんを見つめていると、頭の中にSランクという文字が浮かんだ。
…………これは中々使えそうな力ね。
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