烙印を理由に婚約破棄。その結果ステータスALL1000の魔導師になりまして

流雲青人

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錬金術師と魔導師編

40 精霊の加護

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 「じゃあ……おやすみなさい」

 「ん。おやすみ」

 どうやらあの後寝落ちしてしまった私。
 起きた時はもう夜の八時を過ぎていて、クロートが用意してくれた夕食を済ませた後、お風呂に入り就寝の時間となった。とは言ってもまだ十時半を回ったぐらい。それによく眠ったせいか全く眠くないのだ。とは言ってもリビングに残っていてもクロート二人きりというのは気まずいだけ。私は急ぎ足で部屋へと向かった。

 「エデン」

 「は、はい?」

 突然後ろから声を掛けられ私は振り返る。
 そう言えば名前、初めて呼ばれたかも。

 「実は俺、シグナリス王国の王太子のレオンと知り合いなんだけど、ちゃんと話しといたから」

 レオン
 その名前に私は思わず笑みをこぼす。

 何でだろう?
 知っている人の名前が出てきただけなのに心の底から安心した。

 「無事で良かった……って安心してた」

 「あははは……心配かちゃったなぁ」

 「……出来るだけ早く解放してあげたいんだけど、それはエデンの頑張り次第だから」

 「私の……頑張り次第?」

 私がそう聞き返せば、クロートは小さく頷いた。

 「今日、魔力を注いでもらった小瓶覚えてる? あれがまだまだ必要なんだ。必要な数まで貯まったら絶対に解放するから」

 「うん。分かった」

 「それと……もし眠れなかったら地下……言わば倉庫なんだけどそこひ本がある。それ、勝手に取って読んでいいから」

 本……か。
 読書は大好きだし、何よりクロートの読む本なんて想像がつかないので何となくだけど興味が湧いた。
 私は大きく頷くと、地下へと繋がる階段まで案内してもらい早速地下へと向かった。

 地下は想像以上に明るくて、地下という感じが全くしなかった。
 沢山の物が置かれているもののきちんと整理させれている。
 私は山積みになった本たちを見つけ、いろいろな本を手に取ってみる。
 
 「歴史の本から物語……特に図鑑は沢山あるな」

 特に多くあった植物に関しての図鑑を2冊手に取り、もう一度リビングへと顔を出す。だけどもうリビングにはクロートの姿は無かった。
 私はしぶしぶ部屋へと向かい、まだまだ冴えている頭で図鑑を読み始める。
 図鑑を読むのは好きだった。
 だからそれなりに植物の名前は知っているんだけど……

 「ここに載ってる植物は知らない物ばかりだ」

 珍しい色の花から、奇妙な形をしたものまであって思わず私は瞬きを繰り返す。それから私は図鑑の全てのページの植物を目に通した。
 今日はもしかしたら眠れないかもしれない。




 **********




 【ほらね! クロートの女が居るわ!】

 【まさかとは思ってたけど本当だったなんて……あの子、吹っ切れたのかしら?】

 【分からないけど、とにかくこれは一大事よ!】


 うぅ……うるさい

 突然頭に響き出した誰かの声。
 耳を塞いでみるものの、その声はやまない。

 「ぁぁぁぁ! もう! うるさぁぁい!」

 流石の私も我慢の限界だった。
 声を上げ、体を起こす。
 なんて酷い目覚ましなんだろう。
 ロキさん家の鶏の目覚ましの方がよっぽど良いよ!

 私は頭を抑えながら唸る。

 【この子、私達の声が聞こえてるみたいよ!】

 【えぇ!まさか精霊の加護を受けているのかしら?】

 「……何言ってるの……?」

 私はまだ完全に開け切っていなかった目を開ける。
 すると視界に入ったのは小さな羽の生えた緑色の何か。そしてもう1匹は小さな羽の生えた赤い体の何か。

 これは幻? それとも夢かな?

 その生き物のクリクリとした黒い瞳が私を凝視している。

 【貴方、私達が見えるの?】

 「は、はい。見えてますけど……」

 そう私が答えれば、その生き物達は顔を見合わせ花が咲いたかのように笑うと、くるくると回り出した。

 愉快な生き物だなー……とその生き物達を眺める私。

 【そう言えば、貴方はクロートの新しい女?】

 「え!?」

 【あら、じゃあもしかして花嫁とか?】

 「違います! 断じて違います! 私は……助手? 的な感じですかね」

 私の答えに心底詰まらなさそうな2匹の生き物。
 ごめん、なんか期待を裏切ったみたいだね……。

【そう言えば名乗っていなかったわね。私は風の精霊よ】

【私は炎の精霊。貴方は?】

 「エデン。エデンっていいます」

 【そう、エデンと言うのね。それにしても貴方、精霊の加護でも受けてるの?】

 精霊の加護……?
 また難しい話が出てきた。

 内心まだ寝ていたいという気持ちが強い私。
 でも失礼な態度は決してとっては行けない。

 私は何とか脳をおこし、精霊達の話に耳を傾ける。

 「精霊の加護とは?」

 そう私が尋ねれば

 【だって貴方、私達と会話が出来ているじゃない。それと貴方、魔法や薬に耐性があるみたいだし……これは精霊の加護。しかも光の精霊の加護じゃないかしら?】

 と返ってきた。

 うん、取り敢えず私の身にまた何か起こってしまったのはよく分かる。

 でも魔法や薬の耐性がある事は知らなかった。
 薬に関してはオークション会場で眠り薬を盛られた際効いていたし耐性なんて無いように感じるんだけど……。


 いや、でも待って。

 これまでにこんな事沢山あった気がする。

 例えば急に鑑定眼が使えるようになったり、ドラゴンの言葉が分かる巫女だったりと、様々な事があった。だから今回のもそんな感じで急に目覚めたものなのかな?

 まだよく分からないけど、今は取り敢えず


 ぐぅぅ……


 「お腹空いた……」
 
 
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