烙印を理由に婚約破棄。その結果ステータスALL1000の魔導師になりまして

流雲青人

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錬金術師と魔導師編

46 精霊の森の番人

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 日記を持ち、私は部屋を飛び出す。
 もちろん行先はクロートの仕事部屋だ。

 仕事部屋へと繋がる扉を開ける。
 だけどそこにはクロート、リリアの姿は無かった。
 部屋の隅から隅まで探す。でも2人は何処にもいない。

 「何処に行っちゃったの?」

 キョロキョロと辺りを見渡す。
 すると視界にある紙が映りこんだ。
 ボロボロで黄ばんだ紙。
 そこには精霊の森にあるノエルのアトリエへと繋がる入口について書かれていた。

 ノエルのアトリエへと行く入口。
 それは私の部屋、元のノエルの部屋にあるらしい。
 多分クロートとリリアはその入口を通らずアトリエへと向かっていった筈。
 私は急いで部屋へと戻り、私はクローゼットを開けた。
 するとそこには小さな扉があった。

 「……何か書いてある」

 小さな扉には見知らぬ文字が刻まれていた。
 それをゆっくり撫で、凝視する。

 「我は精霊の森の番人なり……この扉を開けたまえ」

 鑑定眼のおかげなのかその文字をすんなりと読む事が出来た。
 すると次の瞬間、扉に刻まれていた文字が金色に光眩い光を放ち始めた。

 あまりの眩さに目を閉じる。
 でもこの眩さの中にまるで治癒魔法の時のような暖かさを感じた。

 【番人としてのお仕事をお忘れになったのかと思っていました】

 そんな声が頭に響いたと思った瞬間、私は吸い込まれるかのように扉の中へと引っ張られた。



 ***************



 ドスン!

 派手にお尻から落っこちた私は慌てて立ち上がり、視界に広がった光景に唖然とした。

 そこはまるで絵本に出てくるような空間だった。
 真っ直ぐと伸びる一筋の光。その光の周りはふわふわとシャボン玉のようなものが飛んでいる。
 特に本の量は異常と言っていいものだった。
 他にもポーション入れの小瓶や、地図や不思議な道具などが部屋のあちこちにあった。

 「2人はまだ来てないみたいね」

 私は部屋の隅々まで確認していく。
 にしてもあの扉、喋ってたよね?
 それに私の事ノエルさんと間違ってるみたいだった。

 「ま、今はそれより2人を止める方法を考えないと……」

 ポツリと呟いた時だった。

 【止めるだなんてエデンは意地悪ね】

 聞きなれた明るい声が聞こえ、弾かれたように振り向く。するとそこにはリリアとクロートの姿があった。2人が私へ向ける視線。それは敵意たっぷりだった。

 【……にしてもどうしてエデンが先回りしているのかしら?】

 「もしかしてエデン、番人しか通れない扉を通ってきたのか?」

 「うん。そうだよ」

 【な、何ですって!? 】

 やっぱり驚く事なんだ……。
 でも、私だって驚いていない訳じゃない。
 むしろ意味が分からなくて混乱しそうなくらいだ。
 むしろ精霊の声が聞こえるのなら文字だって読めるんじゃないかな? もしくは鑑定眼のおかげで字が読めて扉が開き番人と勘違いされた可能性もあると思う。

 「やっぱり……エデンが次の番人」

 【えぇ。やはり私達の読みは外れてなかったわ】

 一体何の話だろう?
 私が次の番人とか意味が分からない。

 【それよりもクロート! 早くノエルを生き返らせましょう!】

 「待って! 死者蘇生は禁忌なんだよね? それを犯したら2人は……」

 「そんなの分かってる!!」

 私の声はクロートの声によって遮られた。
 クロートのこんなに大きくて切羽詰まった声は初めて聞いた。

 「禁忌だろうが何だろうが俺は師匠を取り戻す為に今まで頑張ってきたんだ! リリアだって一緒だ! この高ランクのポーションを作る為に良い魔導師を必死になって探してくれたんだ!」

 ……クロートの言う良い魔導師って言うのは私の事。
 まさかそこからもう既に計画は始まってたなんて……

 じゃあどうしてリリアは私に加護なんか与えたのだろう?
 別に与えなくても良かったのでは?

 ふとそんな事を思ったけど、その真実を知るには2人を説得しなければ無理そう。

 「二人がノエルさんのこと、とても大切に思っているのは分かる。けどね……ノエルさんは望んでるかな?  生き返ること。もちろん、この世界での未練が無いとは言い難いけど……もしノエルさんは生き返ったら……この事に喜ぶと思う?」

 【貴方はノエルじゃない! だから分からないでしょ!】

 「リリアの言う通りだな。あんたはエデンだ。師匠の気持ちが分かるはずがないだろう!」

 「そうだね……だって私はエデンだから。魔導師であって錬金術師でもない。それにまだここに来て間もなくて、ノエルさんの事を知ったのもついさっき。けどね……ノエルさんはクロートに幸せになって欲しいって心の底から思ってると思う。だってノエルさんの日記を読んでそれが凄く伝わってきた!」

 「っ……!」

 「ねぇ、クロート。貴方は今、そんなノエルさんの願いを壊そうとしてるんだよ? 」

 私の言葉にクロートが一歩後ろへと下がったのがわかった。
 どうやらクロートもノエルさんの願いを壊す事を躊躇っているみたいだった。

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