烙印を理由に婚約破棄。その結果ステータスALL1000の魔導師になりまして

流雲青人

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錬金術師と魔導師編

50 帰ってきました!

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 レットドラゴンの姿となったルカに乗り、私達はグランジュエの舘へと戻ってきた。そこにはゼアさん、アヤメさん、グランジュエ。そしてフェリーヌが居た。
 フェリーヌは私に飛びつき泣きじゃくった。
 そんな妹の背中を私は摩った。
 ほんと、心配かけちゃったな……。

 そしてフェリーヌが泣き止んだ頃、私は命の危険を感じていた。
 私の目の前に仁王立ちするミレイ。
 目の錯覚かな? ミレイから黒いオーラが見てる気がした。

 「それでエデン。何か言うことがあるわよね?」

 「はい……」

 やばい。これは相当お怒りの様子だ!

 額から伝う汗。
 汗はポタリと床へと落ちた。

 「その……この度は大変ご迷惑をおかけしました」

 と、取り敢えず土下座しなきゃ……
 私が床に手をつけようとすれば……

 「馬鹿!」


 突然ギュッとミレイに抱きしめられた。
 私は驚きのあまりに固まってしまった。


 「本当に心配したのよ? もう……貴方って人は……」


 涙声のミレイ。
 私はミレイの背中に手を回し、抱き締め返す。
 フェリーヌもミレイも泣いてしまうほど私を心配していたんだ。

 ……私、愛されてるなぁ。

 そう実感させられた。


 「エデン。あっちであった事、話してくれたら嬉しいわ」

 「うん。勿論だよ」

 「王女様ばかりずるいです! 私も聞きたいですっ!」

 「俺も!」

 「はいはい。話すから話すから落ち着いて。ね?」

 そう私が言えば2人が顔を見合わせ嬉しそうに笑った。
 ほんと、可愛いな……。
 ついつい頬が緩んだ。




 ************




 翌日。私はシグナリス王国の宮殿に来ていた。
 来た理由は至って簡単。父と母についてである。
 私もさっき知ったばかりなんだけど母は現在病にかかり寝たきりの状態にいるらしい。
 なので罰を与えようにも与えられない状況だとか。
 父に関してはまだ決まっておらず今現在牢の中に居るらしい。

 「エデン。貴方はどうしたい?」

 「私は……出来れば命は奪わないで欲しいかなって思ってる」

 「そう。分かったわ」

 ミレイはそう言うと何処かへ行ってしまった。
 1人取り残された部屋で私は小さく息を吐く。

 それから数分後。ミレイが戻ってきて案内されたのは王室だった。
 そこにはレオン殿下とゼアさんの姿もあり、私は会釈する。
 一体今から何があるんだろう?
 私が首を傾げていると

 「エデン!!」

 聞き慣れた声に名前を呼ばれ弾かれたかのように振り向けばそこには父の姿があった。
 父の傍にはシグナリス王国の騎士2人。
 そして手首と足首には枷がついていた。
 けどそこでは無い。
 私が最初に疑問に……いや違和感を感じたものは。

 「何か……足りない」

 そう。何かが足りなかったのだ。
 私は父を凝視する。そして、やっとその違和感の正体に気がついた。

 「ちょび髭がないっ!」

 「会ってそうそうそれを言うのね……」

 「だって! ちょび髭が異様な存在感があってそんなちょび髭がトレードマークだったのにちょび髭が無いんだもん! 」

 ミレイが乾いた笑みを零す。
 でもこの違和感は本当に凄い。
 ちょび髭が無くなっただけでここまで印象が無くなるとはある意味尊敬するレベルだった。

 ミレイが父の前に立ち

 「罪人トマ・ディグラード。貴方に国外追放を刑を命じます」
 
 と、父の刑を言い渡した。
 追放。うん、それが私もいいと思った。
 こんな人だけど私の父親なのだ。
 命だけはそう簡単に無くしてほしくないし、何より平民として改めて心を入れ替えて欲しいと思った。

 騎士団の人達と去っていく父の後ろ姿を見送った後、身体中から力が抜けていくのがわかった。
 今思えばなんやかんや……いろいろあったなぁ。
 目を閉じれば次々にいらいろな思い出が蘇ってきた。

 「って……なんか終わりみたいな雰囲気になってきた」

 「エデン。メタ発言よ、それ」

 そうミレイに指摘され私は思わず吹き出した。

 まだまだ私の物語は終わらないよ!

 
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