烙印を理由に婚約破棄。その結果ステータスALL1000の魔導師になりまして

流雲青人

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パン屋がやってきた編

51 新しい住人

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 あの出来事が起きてから一ヶ月が経った。
 この一ヶ月は毎日がのびのびと暮らせ、時には冒険者としてお金稼ぎをしたりととても有意義な生活が送れていた。

 今日は天気もいいため庭でお昼を食べた。
 ルカはお腹がいっばいになったのか眠ってしまった。
 一方アンくんは瞳をキラキラと輝かせながら言った。

 「ねぇ、お師匠! 稽古つけてよ!」

 「うん。いいよー」

 断る理由なんてないのでもちろん承諾した。
 なにせ私はアンくんの師匠なのだから。

 木刀を持ち、構えるアンくん。
 前よりも明らかに成長したと思う。
 なんて言えばいいのか上手くは分からないけど佇まいや、アンくんから感じるオーラ。その2つで成長が強く感じられた。

 「私は魔法? それとも剣? あ、拳?」

 「どれでもいいけど……やっぱり魔法がいい」

 「了解。じゃあ、始めよっか」

 私の合図と共にアンくんがこちらへと勢いよく走り出す。
 
 うん。前よりも隙は無くなったけど……

 私はアンくんの足元を狙ってウォーターボールを放つ。
 アンくんの体勢が一瞬で崩れた。

 「ちゃんと足元にも気をつけて! アンくんの相手に集中するその意識はとても良いけど、意識しすぎて体が追いついてないよ!」

 私の声が聞こえたのかいないのか、アンくんは体勢を整えるなり再び走り出す。
 その瞳はギラギラしててまるで獲物を追いかける狼のようだった。

 でも、こうやって諦めずに何度も粘り続けるのはアンくんの良いところだと思う。

 再び私もウォーターボールを放った時だった。

 「エデンさん、アンドレ君。居ますかー? って……ぎゃあ!? 何この超速い塊っ!?」

 「メルさん!?」

 受付嬢のメルさんが現れたのは。
 メルさんは顔を真っ青にして私達を見ている。
 私は慌ててメルさんの元へと駆け寄る。

 「こんにちは。今アンくんの特訓をしてたところなんです」

 「特訓……今のがですか!? エデンさん鬼にも程がありますよ!」

 何故か涙目のメルさん。
 しかも鬼よわばりされてるし……

 「それにしても特訓って……アンドレ君は充分今も強いと思いすけどねぇ?」

 「それじゃダメなんだよ。俺の目標はお師匠だから」

 何だか目標にされるって嬉しいなー
 けど、私だって負けてはいられない。
 師匠として弟子の前では立派な人でいたい。

 「けど、あんな攻撃普通誰もよけれませんよ。正直全く見えなかったですし……」

 成程。だから塊って行ってたんですね。

 「あの、メルさん。それでどうかしたんですか?」

 私は尋ねる。
 わざわざここまで足を運んで来たって事は何かあったのだろう。
 私の質問にメルさんが微笑む。

 「新たな住人が引っ越してこられましてそのお知らせに。しかも! パン屋さんなんですよ!」

 「パン!?」

 眠っていたはずのルカが飛び起きた。
 さっきご飯食べたばかりなのにルカの胃袋は一体どうなっているんだろう。

 「ふふふ。取り敢えず、それでお知らせに来たんです」

 「嬉しいですね。こうしても村がどんどん賑やかになっていくのは」

 「はい! 受付嬢としてもっと頑張らないとってて思えます!」

 メルさんはこの仕事が大好きなんだろう。
 それがよく伝わってきたし、そんなメルさんを見て心がポカポカしてきた。

 「それで本題なのですが……新しい住人さんからの依頼でエデンさんに食材収集を手伝って欲しいそうです」

 「分かりました。今すぐですか?」

 「はい。お時間大丈夫ですか?」

 私はチラリとアンくんへと視線を投げる。
 ちょっと悔しそうにアンくんは頷いた。
 稽古が中途半端になった分、この依頼が終わった後はたっぷり付き合ってあげよう。





 ***********





 ギルドへ行けば依頼人かつこの村の新たな住人が待っていた。

 「初めまして。私はエデンといいます」

 「初めまして。俺はユウって言います。今日はよろしくお願いします」

 第一印象。爽やか好青年。

 私よりもはるかに高い身長に、茶髪の髪。
 貴族にも劣らない美形の人だった。

 「いきなり依頼してすいません。人手が欲しくて。あ、もちろん報酬は支払いますので!」

 「いえ、報酬はいりません。お手伝いという事ではダメでしょうか?」

 「エデンさんがそれで良いなら俺は構いませんが……」

 「ではそれでお願いします」

 これから一緒にこの村で暮らすもの同士だし仲良く出来たらいいな。
 そんな思いを抱きながら私ら食材収集へと出掛けた。
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