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しおりを挟む家に帰宅した際、妹達から晴恵について深く聞かれた。
妹達曰く時雨があんなに綺麗な女性と仲良しなのが意外だったらしいのだ。それは確かに時雨も納得しかけたが、本当にこの子達は失礼だなと直ぐに冷静になった。
お風呂から上がり、部屋にこもる。
もふもふのお気に入りのパーカーに身を包んだ時雨はベッドに寝転がり、スマホの画面と睨めっこしていた。なぜこんなことをしているのかと言うと伊織へと送るメールについて頭を悩ませていたからだ。
「話したいことがあります、放課後お時間ありますか? は少しあからさますぎるかな?」
何度も何度も打っては消すの作業を繰り返す。
うーんと頭を悩ませた結果、結局『明日の放課後、お時間ありますか』という文に決まった。
時雨は勇気を振り絞り、伊織へとメールを送った。
今思えばこうしてメールを自ら送るのは初めてな気がした。
「明日は……頑張ろう」
そう強く決心し、時雨はスマホを放り投げ部屋を飛び出した。
〇◇〇◇〇◇〇◇
翌日。緊張のあまりあまりよく眠りにつけなかった時雨は寝不足気味で学校へ登校していた。
早朝にメールを確認したところ伊織からの返事はまだきていなかった。
まぁ、あまり携帯を触るタイプではなさそうなので仕方ない。
時雨はそうずっと心に言い聞かせていた。
「ねぇ、岸田。なにソワソワしてんの?」
そんな時雨を不振がってが理恵がそう尋ねてきた。
「してないよ。至って平常心」
「それ、本気で言ってるの?」
真顔な理恵に時雨は乾いた笑みを浮かべる。
そしてどこまで自分は分かりやすいのだろうと再び頭を悩ませた。
「そう言えば岸田。さっき村井先生が探してたよ」
「え、何だろう?」
「さぁ? けど、取り敢えず職員室行ってみたら?」
理恵にそう言われ、時雨は急ぎ足で職員室へと向かう。因みに村井先生とは一の一の担任である。
職員室へと向かう途中、ふと足を止める。
時雨の視線の先には複数の男女に囲まれる伊織の姿がそこにはあった。
無邪気な笑みを浮かべる伊織に、思わず時雨の頬が緩まる。
──槙野先輩も変わったなぁ
第一印象はチャラい人。
それから知っていくうちにその印象は無くなった。
作り笑いばかりで、辛そうだと思った。
それと同時に自分と伊織を重ね合わせた。
「やっぱり、好き……だなぁ」
思わずそう呟いた時だった。
「え、君俺が好きなの?」
突如横から聞こえてきた声に驚き、思わずよろめく時雨。
そのまま体が斜めになり、視界がぐらつく。
しかし、腕を引っ張られたことにより時雨は転倒は免れた。
「あ、ありがとうございます」
「御礼はいいよ。それよりも君、見かけによらず大胆だね」
「え?」
「え、じゃないよ。俺に告白してきたじゃん」
男子生徒の言葉に思わず時雨は言葉を失った。
正直、こいつは何を言っているんだ、と思ったがあまりの驚きに声が出なかった。
「名前何? 付き合ってもいいよー」
「え、いや、私は!」
「照れてるの? さっきはあんなに大胆だったのに」
徐々に近づいてくる顔。
時雨は咄嗟にその男子生徒を突き飛ばした。
男子生徒は派手にその場に転倒し、次の瞬間顔を真っ赤にさせて怒鳴った。
「おま、何すんだよ! このクソ女!」
そう怒鳴り散らすなり男子生徒は時雨へと拳を振り上げた時だった。
「そこら辺でやめたら? 何があったのかはよく分からないけど、女のコに手を上げるなんて有り得ないし、何より恥ずかしくないわけ?」
冷たい声でそう言い放ったのは伊織だった。
男子生徒は伊織を見るなり顔を色を青く変え、慌てた様子でどこかへ行ってしまった。
「時雨ちゃん、大丈夫!? 怪我とかしてない!? それよりも何があったの!?」
珍しく慌てた様子の伊織に時雨は小さく笑い、何故こんなことになってしまったのかを説明した。
「けど、災難だったね。ほんと怪我がなくて良かったよ」
「私、咄嗟にあの人を突き飛ばしてしまいました。大丈夫でしょうか……」
「平気でしょ。時雨ちゃんが心配することなんて何一つないと思うよ」
優しい笑顔で微笑まれ、時雨は小さく頷いた。
さっきまでは怖くて不安で仕方なかった。けど、伊織が助けに入ってきてくれた時それがまるでそれが嘘かのように思えた。
やっぱり、伊織が好きだ。
そう改めて実感した。
「えっとさ、その……誰に向けて言ったの?」
「何がですか?」
「その告白したって勘違いされたんだよね? もしかして文化祭の時言ってた好きな人に向けて言ったの?」
伊織の問いに時雨の顔はみるみるうちに赤く染った。
ここで言ってしまっていいのだろうか?
いや、それはさすがに無理だ。まず人が多いし、公開告白なんて豆腐メンタルの時雨には到底無理だ。
スカートの裾をギュッと握りしめ、時雨は声を振り絞り伝えた。
「放課後、下駄箱で待ってます」
「うん。待ってるね」
それだけ伝えるなり時雨は頭を下げ、急いで職員室へと向かって行った。
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