ラブミーノイジー

せんりお

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生徒会長がとんでもないことをやらかしてくれやがったのを収集したのは風紀委員長だった。彼を見るのは食堂で会って以来だ。相変わらずの整った容姿。そしてDom。ああ、腹が立つ。

さっと事態を収めた風紀委員長は自分に着いてくるように合図して歩き出した。従うのは気が進まなかったが、ここに留まるほうが嫌だ。風紀委員長に諌められた生徒会長は何やら捨て台詞を残してこの場を去っていったが、まだまだ人は捌けない。俺を見ながらひそひそと話す声もあちこちから聞こえてくる。軽く舌打ちをして渋々風紀委員長の後をついて歩いた。

「おい、大丈夫か?」

隣を歩く木島に声をかけられてはっとする。俺を覗き込む表情は心配そうで、そして少し顔色が悪い。あのクソDomのグレアにあてられたせいだろう。

『うん、ありがとう』

俺の代わりに反論してくれた木島。面倒ごとに巻き込んでしまった。もしあいつがまだ諦めないのなら更に厄介ごとに巻き込んでしまう可能性もある。

『ごめん、巻き込んだな』

そう打ち込んだ画面を見せると木島が顔をしかめた。

「馬鹿、謝んな。会長が全面的に悪いだろ」

「その通りだ。悪かったな二人とも」

木島の声を聞いていたのだろう。前を歩いていた風紀委員長がちらっと俺たちに視線を投げかけた。

「同意なくSubにグレアを出して迫るなんてマナー違反どころじゃねえ。犯罪だ」

続いた言葉に俺は目を瞬かせた。委員長の表情も声も、怒りや苛立ちを隠しきれていない。平等が叫ばれるようになっても未だにSub差別は根強い。だからこんな事があった場合、悪いのはSubだと言われることもままある。だけどこの人はそうじゃないのか。前を歩く男の横顔を見つめる。相変わらず視線は鋭いままだった。


やたらでかい扉の前で立ち止まった委員長に部屋に入るよう促される。ここは各委員会の部屋があるフロアなんだそうで、隣は生徒会室だった。鉢合わせしたくないのでさっさと部屋に入らせてもらう。
部屋の中にはデスクがいくつかとソファセットが置いてあった。その一角に金髪の男が座っている。 

「おっ、早速回収してきたの?」

「当たり前だろ」

「お疲れー」

「お前そこどけ」

明るい声でおどけた調子で喋る男に面食らう。まさかこいつも風紀委員なのか?

「そこ座ってくれ」

委員長と金髪が座る向かい側に、俺と木島が腰かけると改めて、と話が始まる。

「俺は風紀委員長の藤堂真貴だ」

「俺は副委員長の佐伯仁だよーよろしくね」

「…1年木島翔太」

『木南灯李です』

やはり金髪は風紀委員だった。しかも副委員長様だ。風紀が金髪っていいのか?でも木島が許されてるくらいだ。そこらへんは緩いんだろう。

「生徒会長を止められず申し訳なかった。入学式の時もそうだが、未然に防げず申し訳ない」

「ごめんねー、あの馬鹿は今度殴っとくからね」

突然二人に謝罪されて驚く。委員長は言わずもがな、副委員長も口調は緩いながらもその表情はとても真剣だ。
 
『いや、お二人が悪いわけじゃないですし』

「まあそうなんだけど。風紀としてはね、申し訳ないなって」

困ったように微笑まれて少し慌てる。こんな風に言ってもらえるなんて思ってもみなかった。

「それで今後のことなんだが、あの馬鹿がこれからどうでるか…懲りないことは確かだろうが」

「お子ちゃまだからねー」

「そこで木南にはできるだけ風紀委員が付き添って、あいつを防ぐという方法を取った方がいいと思う」

「護衛だね」
 
「授業中はいいとして、休み時間と放課後だな。休み時間は同じフロアにいる1年がいいだろう。昼休みや放課後は誰でも対応できるな」

「シフト組まなきゃ」

『ちょっと待ってください』

どんどん進んでいく話に慌てて口を挟む。

『そんなことしなくても大丈夫です!大事になっても困ります』

「いや、お前護衛してもらえよ」

口を挟んだ木島にそう言われてすごい勢いでそちらを向く。木島は絶対俺の意見に賛成すると思っていたのになんでだ。

「だってもう既に大事じゃねーか」

言葉で言えない代わりに全力で、は?という表情を作る。そんな俺を見て木島は呆れた顔をした。

「その通り!いい?灯李君は生徒会長に目ェつけられてるの。それってこの学園ではすっごいヤバイことなんだよ」

「考えられる上で一番面倒なのは親衛隊の暴走だな」

『親衛隊?ってなんですか?』

「お前知らなかったのか?」

「んー何て言うかファンクラブみたいな感じかな。役職持ちとか容姿のいい生徒にはまああると思っていいよ」

「木南ならそのうち出来そうですけどね」

なんだそれ男子校でファンクラブって意味わからん…俺のうげぇという気持ちが顔に出ていたのか、3人が苦笑する。

「まあ、その親衛隊だがなにせやることがくだらないがめんどくさい」

「質の悪いイジメだね。まあイジメにいいも悪いもないけどさ」

「風紀でも取り締まりは厳しくしているが、それでも完全にとはいっていないのが現状だ」

「な?護衛してもらっとけって」

『…わかりました』

3人の脅しにとうとう俺が折れる形となった。まあ、どうせ既に明日からは好奇の目のみならず敵意に晒されるのはわかっている。風紀と一緒にいることで少しでも風避けになるならまだましか。

『すいません、面倒かけます。よろしくお願いします』

そう打ち込んだ画面を見せながら頭を下げると委員長からは頭をわしゃわしゃ撫でられ、副委員長からはノンプロブレーム!という明るい声が返ってきた。

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