バースデーソング

せんりお

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俺の後に続いて入ってきたニコラをじっと睨むとニコラは居心地悪そうに曖昧に笑った。

「欲しいもの言ったら許す!」

そう宣言するとニコラが目を瞬かせる。

「欲しいもの?」

「そう。なんでもいいから」

人に欲しいものを言うのは、なかなか悩ましいものだ。誕生日を隠してた罰だ!存分に悩め!

「んー、じゃあ決めた」

「え?」

予想とは違ってニコラはあっさりと答えを出した。もっと悩んでくれるかと思ったのに残念だ。でもニコラに何かあげられるのは嬉しいから答えを促してみる。

「ニコラの欲しいものは何?」

にやにやしながら聞くと、ニコラはにっこりと笑って、そして言い放った。

「チハルが欲しい」

「……は?」

思考が完全に停止した俺にニコラが再び言う。

「だから、チハルの全部が欲しいな」

「そ、それはどういう意味で」

「んー?こういう意味だけど」

ニコラに腕をとられて密着した体勢になる。そして、首筋にちゅっとキスを落とされた。

「ひっ!?」

首を押さえてあわあわと後すざる俺。

「なんでもって言ったけど、くれない?」

あざとく首を傾げて言うニコラに俺は撃沈した。

「…俺でいいならどうぞ」

蚊の鳴くような声で返事をするとニコラに

「チハルじゃなきゃ嫌だよ」

と返されて更に沈められる。
だめだ。あまりにも甘過ぎる。

「…ニコラが気障だ…げろ甘い…」

呟いてそっと顔を上げてニコラを伺うとその表情は

「なんで言った本人が顔赤いんだよ!」

真っ赤とまではいかないが確実にニコラの顔は赤い。いや、この恥ずかしいこと言ったニコラだろ!?

「チハルの反応見てたらこっちまで恥ずかしくなってきた」

両手で顔を覆ってしまうニコラ。なんだよそれ、可愛いな!

「じゃあ言うなよ…普通に言って?」

「それはやだ…だってチハルを甘やかしたいし、今の台詞は男のロマンじゃん」

「え、ロマンなの?」

無意識に笑いが溢れる。見るとニコラも笑っていて、しばらく二人して笑いが止まらなかった。

落ち着いた頃にもう一度ニコラに引き寄せられる。

「片付けしてる間にシャワー浴びてて?すぐ行くから」

耳元で囁かれる。今度こそ本当に甘い雰囲気に声を出せずに小さく頷いた。
そんな俺の反応にニコラがふふっと笑って離してくれた。

「タオルは洗面所の棚にあるから」

「ん。わかった」

短く返事をして階段を上がった。段数を数えるごとに緊張も増していく。
ニコラとこういうことをするのは初めてだ。緊張するけれど、嬉しい気持ちの方が大きくて、俺の足取りは軽い。

どうやら今夜はまだまだ終わらない。



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