11 / 53
10
しおりを挟む
ニコラに撃沈させられた、そんなオフの日を経て、俺は2日と空けずLumeに通うようになった。といってもまだ数えるくらいだけど。
セルジオを見るとまだ苦しい。でもLumeにいる間は自然とそれを忘れることが出来るのだ。それにニコラが作った料理は匂いから食欲をそそって、味も文句なしに、というか舌がとろけるほど美味しい。いまだに食欲の戻らない俺の栄養は、今やニコラの料理だけで補われているに近い。
レコーディング終わりにふと思い立ってLumeへ行ってみることにした。明日はオフでもなんでもないけど、お腹が減ってニコラの料理を欲していた。最近は心の方がいっぱいでお腹はめったに減っていると感じない。そんなお腹が珍しく空腹を訴えている。
最近の自分の現状を省みて、セルジオに依存していたことを突きつけられて自分を責めるしかなくなった。失恋、たったそれだけでここまで追い込まれている自分を内心で自嘲的に笑う。俺の中でのセルジオの面積が大きすぎて何日たっても空いたところが埋まらない。
細い路地に入っていくといつもの明かりが見えないことに気がついた。訝しく思いながら店の前に立つと、closeの看板がかかっていた。もしかして定休日なのかも、と思いあたる。
「嘘だろ…」
思わずお腹に目をやる。俺の胃袋はニコラの料理を期待して、準備万端だったのにどうやら今日はありつけないようだ。
「…スープでも飲もう」
お腹が空いている今ならなんとかそれくらいは自分で作っても食べれるかもしれない。仕方ないだろ、とお腹を撫でながら踵を返して元来た道を戻ろうとした、その時カラカラと窓が開く音がした。振り返ると2階の窓が開いていて、そこからニコラの顔が覗いていた。
「え、チハル?」
目を丸くしてこちらを見下ろしている。
「また明日出直すよ!」
とても驚いている様子のニコラにそう声をかけてまた歩き出す。あーびっくりした。2階の電気を確かめるのを忘れていた。そりゃあここに住んでいるから、2階にいるのは当たり前なんだけど、タイミングが良すぎてびっくりした。勝手にいないと思っていたから心臓飛び出るかと思った…
「え、あ、あ、チハルストップ!待って!」
ニコラの慌てた声が追いかけてきて、振り向くと、見えていた姿が消えた。
あーやっぱりびっくりさせたかな。俺も驚いたけど向こうも相当驚いただろう。
姿が消えて間もなく店の扉が開いた。そこからニコラが出てくる。普段の爽やかさはなく、焦った様子が少しおかしくて俺は笑いを溢してしまった。
「ちょ、何笑ってんの。っていうか急に帰んないでよ、びっくりした」
「あはは、ごめん」
目の前に来たニコラは普段見ないTシャツとジーンズというカジュアルな服装で、新鮮に思えた。
「来てみたんだけど定休日だろ?また明日来るよ」
そう端的に説明する。せっかくの休みなんだからちゃんと休んでもらいたい。早く帰ろうと思ってじりじりと後退する。と、ニコラに腕をがしっと掴まれた。
「帰んないで食べてって。せっかく、来てくれたのに帰らないで」
掴まれた手の力の強さと、真剣な目に戸惑う。
「ニコラ?」
問いかけるように名前を呼ぶと、ニコラは我に帰ったようにぱっと手を離した。髪の毛をくしゃくしゃっとしながら目をそらす。
「あー、いや、定休日伝えてなかった俺も悪いしね。来てくれたのにもったいないし。それに試作品も試して欲しいし、ね?食べていってくれない?」
畳み掛けるように言葉を重ねて引き止められて、思わず頷く。
「ほんとにいいの?」
申し訳なさからそう聞くと、ニコラは笑みを浮かべてもちろん、と答えてくれた。
店に招き入れられて、中に入る。いつもと違って暗い店内はしんとしていて少し寂しく感じた。
「ここは寒いから上に行ってて」
ニコラに言われて階段を上がる。初めて来た日以来のニコラの部屋は明るくて暖かくてほっとした。
ニコラも間を空けず階段を上がってきた。
「お腹空いてる?」
言われて頷くと
「そこらへんに座っていいよ。ちょっと待っててね」
そう言ってまた階下に下りていった。言われた通りに俺はソファに腰を下ろした。ニコラを待ちながら考える。……なんでニコラはあんなに真剣だったんだ?俺、そんなにヤバそうに見えたかな。確かにお腹は減っていたけども、それは見た目からわかるものなのか?
ぐるぐると思考を回していると階下から美味しそうな匂いが漂ってきた。試作品だと言っていたけれど何を作っているのだろうか。すんっと匂いを吸い込んでみる。ん?なんか嗅いだことあるなこれ…この匂い知ってる…
少したってニコラがお皿を持って部屋に入ってきた。
「お待たせ」
そう言いながら俺の前に皿を置く。深めの皿に入ったその料理は
「やっぱりそうか!肉じゃがだ」
香ばしい匂いを漂わせるそれは日本定番の料理だった。
「わかってたの?すごいね」
ニコラが言いながら箸を差し出してくれる。
「え、箸?」
「うん。和食を食べるならお箸でしょ。さ、冷めないうちにどうぞ」
促されて手を合わせた。
「いただきます」
「イタダキマス」
いつもの挨拶をすると自分の声にニコラの声もかぶさって驚いた。片言のいただきます。見るとニコラがにこにこと笑っていて俺も自然と笑顔になった。誰かといただきますを一緒に言ったのは久しぶりで、なんだか嬉しかった。
しっかり色がついたじゃがいもを箸で割る。ほくほくのそれはとても柔らかくて軽く箸が通った。口に運ぶと、独特の甘辛いような味の染み込んだじゃがいもはほろりと溶ける。
「うまっ」
思わず呟いて、すぐに次を頬張る。玉ねぎも人参も程よく柔らかくて、優しい味が美味しい。あーお米が欲しい。箸が止まらない。
「どこが試作品?完璧じゃん。すっげぇ美味しい」
俺が美味しい、美味しいと言いながら食べるのをニコラは微笑みながら見ていた。
「ほんと?嬉しいな。今度から店に出してみようかな」
そう言って自分も箸をとって食べ始めた。
「和食って難しいから心配だったんだよ。久しぶりに作るしね」
「久しぶり?」
久しぶりって…なんで突然作ろうと思ったんだろう。疑問符をつけて返す。
「うん。和食はあんまり作ってなかったんだけど、チハルに食べてほしくて」
何の気なしに言った問いに、さらっとそんな言葉を返されて固まった。久しぶり、なのは俺のため、か…
「…ニコラが恥ずかしい」
思わず手で顔を覆って俯く俺にニコラが笑った。
「なんでさ。チハルが美味しいって俺の料理食べてくれるから嬉しくて。もっとその美味しいって喜ぶ顔が見たくなった」
さらにそんな言葉を重ねるニコラに顔を上げられない。俺は顔どころか耳まで真っ赤じゃなかろうか。
「……人たらしがいる」
かろうじてそう言った俺に、本心なんだけどなとニコラが呟いている。なんだこれ、耳が溶ける…
やっと回復して顔をあげた頃にはニコラは半分以上食べ終わっていた。
「あ、やっと戻ってきた」
「ニコラのせいだよ」
言い返して再び食べ始める。少し冷めてしまったけどそれでも美味しいニコラの肉じゃが。あっという間に完食して、ごちそうさまと手を合わせた。
セルジオを見るとまだ苦しい。でもLumeにいる間は自然とそれを忘れることが出来るのだ。それにニコラが作った料理は匂いから食欲をそそって、味も文句なしに、というか舌がとろけるほど美味しい。いまだに食欲の戻らない俺の栄養は、今やニコラの料理だけで補われているに近い。
レコーディング終わりにふと思い立ってLumeへ行ってみることにした。明日はオフでもなんでもないけど、お腹が減ってニコラの料理を欲していた。最近は心の方がいっぱいでお腹はめったに減っていると感じない。そんなお腹が珍しく空腹を訴えている。
最近の自分の現状を省みて、セルジオに依存していたことを突きつけられて自分を責めるしかなくなった。失恋、たったそれだけでここまで追い込まれている自分を内心で自嘲的に笑う。俺の中でのセルジオの面積が大きすぎて何日たっても空いたところが埋まらない。
細い路地に入っていくといつもの明かりが見えないことに気がついた。訝しく思いながら店の前に立つと、closeの看板がかかっていた。もしかして定休日なのかも、と思いあたる。
「嘘だろ…」
思わずお腹に目をやる。俺の胃袋はニコラの料理を期待して、準備万端だったのにどうやら今日はありつけないようだ。
「…スープでも飲もう」
お腹が空いている今ならなんとかそれくらいは自分で作っても食べれるかもしれない。仕方ないだろ、とお腹を撫でながら踵を返して元来た道を戻ろうとした、その時カラカラと窓が開く音がした。振り返ると2階の窓が開いていて、そこからニコラの顔が覗いていた。
「え、チハル?」
目を丸くしてこちらを見下ろしている。
「また明日出直すよ!」
とても驚いている様子のニコラにそう声をかけてまた歩き出す。あーびっくりした。2階の電気を確かめるのを忘れていた。そりゃあここに住んでいるから、2階にいるのは当たり前なんだけど、タイミングが良すぎてびっくりした。勝手にいないと思っていたから心臓飛び出るかと思った…
「え、あ、あ、チハルストップ!待って!」
ニコラの慌てた声が追いかけてきて、振り向くと、見えていた姿が消えた。
あーやっぱりびっくりさせたかな。俺も驚いたけど向こうも相当驚いただろう。
姿が消えて間もなく店の扉が開いた。そこからニコラが出てくる。普段の爽やかさはなく、焦った様子が少しおかしくて俺は笑いを溢してしまった。
「ちょ、何笑ってんの。っていうか急に帰んないでよ、びっくりした」
「あはは、ごめん」
目の前に来たニコラは普段見ないTシャツとジーンズというカジュアルな服装で、新鮮に思えた。
「来てみたんだけど定休日だろ?また明日来るよ」
そう端的に説明する。せっかくの休みなんだからちゃんと休んでもらいたい。早く帰ろうと思ってじりじりと後退する。と、ニコラに腕をがしっと掴まれた。
「帰んないで食べてって。せっかく、来てくれたのに帰らないで」
掴まれた手の力の強さと、真剣な目に戸惑う。
「ニコラ?」
問いかけるように名前を呼ぶと、ニコラは我に帰ったようにぱっと手を離した。髪の毛をくしゃくしゃっとしながら目をそらす。
「あー、いや、定休日伝えてなかった俺も悪いしね。来てくれたのにもったいないし。それに試作品も試して欲しいし、ね?食べていってくれない?」
畳み掛けるように言葉を重ねて引き止められて、思わず頷く。
「ほんとにいいの?」
申し訳なさからそう聞くと、ニコラは笑みを浮かべてもちろん、と答えてくれた。
店に招き入れられて、中に入る。いつもと違って暗い店内はしんとしていて少し寂しく感じた。
「ここは寒いから上に行ってて」
ニコラに言われて階段を上がる。初めて来た日以来のニコラの部屋は明るくて暖かくてほっとした。
ニコラも間を空けず階段を上がってきた。
「お腹空いてる?」
言われて頷くと
「そこらへんに座っていいよ。ちょっと待っててね」
そう言ってまた階下に下りていった。言われた通りに俺はソファに腰を下ろした。ニコラを待ちながら考える。……なんでニコラはあんなに真剣だったんだ?俺、そんなにヤバそうに見えたかな。確かにお腹は減っていたけども、それは見た目からわかるものなのか?
ぐるぐると思考を回していると階下から美味しそうな匂いが漂ってきた。試作品だと言っていたけれど何を作っているのだろうか。すんっと匂いを吸い込んでみる。ん?なんか嗅いだことあるなこれ…この匂い知ってる…
少したってニコラがお皿を持って部屋に入ってきた。
「お待たせ」
そう言いながら俺の前に皿を置く。深めの皿に入ったその料理は
「やっぱりそうか!肉じゃがだ」
香ばしい匂いを漂わせるそれは日本定番の料理だった。
「わかってたの?すごいね」
ニコラが言いながら箸を差し出してくれる。
「え、箸?」
「うん。和食を食べるならお箸でしょ。さ、冷めないうちにどうぞ」
促されて手を合わせた。
「いただきます」
「イタダキマス」
いつもの挨拶をすると自分の声にニコラの声もかぶさって驚いた。片言のいただきます。見るとニコラがにこにこと笑っていて俺も自然と笑顔になった。誰かといただきますを一緒に言ったのは久しぶりで、なんだか嬉しかった。
しっかり色がついたじゃがいもを箸で割る。ほくほくのそれはとても柔らかくて軽く箸が通った。口に運ぶと、独特の甘辛いような味の染み込んだじゃがいもはほろりと溶ける。
「うまっ」
思わず呟いて、すぐに次を頬張る。玉ねぎも人参も程よく柔らかくて、優しい味が美味しい。あーお米が欲しい。箸が止まらない。
「どこが試作品?完璧じゃん。すっげぇ美味しい」
俺が美味しい、美味しいと言いながら食べるのをニコラは微笑みながら見ていた。
「ほんと?嬉しいな。今度から店に出してみようかな」
そう言って自分も箸をとって食べ始めた。
「和食って難しいから心配だったんだよ。久しぶりに作るしね」
「久しぶり?」
久しぶりって…なんで突然作ろうと思ったんだろう。疑問符をつけて返す。
「うん。和食はあんまり作ってなかったんだけど、チハルに食べてほしくて」
何の気なしに言った問いに、さらっとそんな言葉を返されて固まった。久しぶり、なのは俺のため、か…
「…ニコラが恥ずかしい」
思わず手で顔を覆って俯く俺にニコラが笑った。
「なんでさ。チハルが美味しいって俺の料理食べてくれるから嬉しくて。もっとその美味しいって喜ぶ顔が見たくなった」
さらにそんな言葉を重ねるニコラに顔を上げられない。俺は顔どころか耳まで真っ赤じゃなかろうか。
「……人たらしがいる」
かろうじてそう言った俺に、本心なんだけどなとニコラが呟いている。なんだこれ、耳が溶ける…
やっと回復して顔をあげた頃にはニコラは半分以上食べ終わっていた。
「あ、やっと戻ってきた」
「ニコラのせいだよ」
言い返して再び食べ始める。少し冷めてしまったけどそれでも美味しいニコラの肉じゃが。あっという間に完食して、ごちそうさまと手を合わせた。
1
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
【完結】愛されたかった僕の人生
Kanade
BL
✯オメガバース
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
お見合いから一年半の交際を経て、結婚(番婚)をして3年。
今日も《夫》は帰らない。
《夫》には僕以外の『番』がいる。
ねぇ、どうしてなの?
一目惚れだって言ったじゃない。
愛してるって言ってくれたじゃないか。
ねぇ、僕はもう要らないの…?
独りで過ごす『発情期』は辛いよ…。
上司、快楽に沈むまで
赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。
冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。
だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。
入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。
真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。
ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、
篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」
疲労で僅かに緩んだ榊の表情。
その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。
「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」
指先が榊のネクタイを掴む。
引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。
拒むことも、許すこともできないまま、
彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。
言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。
だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。
そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。
「俺、前から思ってたんです。
あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」
支配する側だったはずの男が、
支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。
上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。
秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。
快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。
――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。
鎖に繋がれた騎士は、敵国で皇帝の愛に囚われる
結衣可
BL
戦場で捕らえられた若き騎士エリアスは、牢に繋がれながらも誇りを折らず、帝国の皇帝オルフェンの瞳を惹きつける。
冷酷と畏怖で人を遠ざけてきた皇帝は、彼を望み、夜ごと逢瀬を重ねていく。
憎しみと抗いのはずが、いつしか芽生える心の揺らぎ。
誇り高き騎士が囚われたのは、冷徹な皇帝の愛。
鎖に繋がれた誇りと、独占欲に満ちた溺愛の行方は――。
【完結済】あの日、王子の隣を去った俺は、いまもあなたを想っている
キノア9g
BL
かつて、誰よりも大切だった人と別れた――それが、すべての始まりだった。
今はただ、冒険者として任務をこなす日々。けれどある日、思いがけず「彼」と再び顔を合わせることになる。
魔法と剣が支配するリオセルト大陸。
平和を取り戻しつつあるこの世界で、心に火種を抱えたふたりが、交差する。
過去を捨てたはずの男と、捨てきれなかった男。
すれ違った時間の中に、まだ消えていない想いがある。
――これは、「終わったはずの恋」に、もう一度立ち向かう物語。
切なくも温かい、“再会”から始まるファンタジーBL。
全8話
お題『復縁/元恋人と3年後に再会/主人公は冒険者/身を引いた形』設定担当AI /c
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる