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それからどうやって家に帰ったのか記憶がおぼろ気だ。
ちゃんと意識が戻ってきたのは、次の日の朝、目が覚めた時だった。ぼーっとしている寝起きの頭が覚醒するのと同時にじわじわ昨日のことが思い出される。
待て待て待てニコラが、俺を、好き…?え、なんで?
昨晩もぐるぐる考えたことがまた戻ってきた。昨日はあのまま返事も出来ずにふらふらと帰ってきてしまった。そしてその混乱した頭でそのままベッドに飛び込み、ぐるぐるしたまま眠りについてしまったのだ。
一晩たっても混乱する頭を一旦落ち着かせるために俺は冷たい水で顔を洗った。その冷たさに少し頭がすっきりする。冷たい水で顔を洗うと、気持ちまで引き締められるような気がするから不思議だ。
そんな冷水効果を受けて、俺はとりあえず
「…とりあえず朝ご飯」
昨日の夜はほぼ何も食べていない。お腹が空いて胃の辺りにひゅるひゅるした違和感を覚える。
辛うじて1つだけ残っていた卵と、冷蔵庫の隅っこで干からびかけていた野菜とでオムレツと炒め物の簡単な朝食を作った。
以前なら朝ごはんは抜くことが多かった。そんな俺でも最近はちゃんと3食食べている。1日1食や食べないといったこともざらにあった俺からみると実に健康的な生活だ。
そういや、とふと思った。
俺がこんなにちゃんと食べるようになったのはニコラに言われたからだ。「食べることは生きること」…それから、だな。ちゃんと食べてるのは。
ぼんやりしながら食べ終えて、俺はトランクに物を詰めることにした。
準備をしなければならないし、体を動かすことで一旦思考から逃げようとする考えもある。
出発まで1週間をきった世界ツアーは、まずヨーロッパから始まる。約1ヶ月行きっぱなしだ。そこからイタリアに戻ってきて、2週間後にアメリカへ。そこでまた3週間ほど。で、イタリアにまた戻ってきて次はアジア方面へ。そして最後がイタリア、という行程だ。全部で4ヶ月ほどをかける長い行程だ。ここからずっと忙しい日々が待っているだろう。
でも、これはlampflickerの夢だ。世界へ、を目標にやってきた俺たちにとってこのツアーは楽しみでしかない。
俺はトランクに服やら必要なものやらを放り込みながら気持ちが高揚してくるのを感じていた。
Tシャツ、ジーンズ、スウェット、パーカー、フォーマル系のやつも欲しいか…
「あー、もう寒くなるよな…なんか防寒着」
季節はもう秋の終わり。3週間もすればまともに冬に入る。ここからは体調を崩すわけにはいかない。
寒さなんかで風邪をひくなんてもっての他だ。
「確かマフラーがどっかに…」
クローゼットを漁ると、自分にしては綺麗に畳まれたマフラーが出てきた。
「あーこれだこれだ」
深いモスグリーンのそのマフラーは上質なカシミヤで出来ていて手触りが最高だ。
なぜこのマフラーが綺麗に畳まれていたのか。それはこのマフラーはニコラにもらったものだからだ。
ちゃんと意識が戻ってきたのは、次の日の朝、目が覚めた時だった。ぼーっとしている寝起きの頭が覚醒するのと同時にじわじわ昨日のことが思い出される。
待て待て待てニコラが、俺を、好き…?え、なんで?
昨晩もぐるぐる考えたことがまた戻ってきた。昨日はあのまま返事も出来ずにふらふらと帰ってきてしまった。そしてその混乱した頭でそのままベッドに飛び込み、ぐるぐるしたまま眠りについてしまったのだ。
一晩たっても混乱する頭を一旦落ち着かせるために俺は冷たい水で顔を洗った。その冷たさに少し頭がすっきりする。冷たい水で顔を洗うと、気持ちまで引き締められるような気がするから不思議だ。
そんな冷水効果を受けて、俺はとりあえず
「…とりあえず朝ご飯」
昨日の夜はほぼ何も食べていない。お腹が空いて胃の辺りにひゅるひゅるした違和感を覚える。
辛うじて1つだけ残っていた卵と、冷蔵庫の隅っこで干からびかけていた野菜とでオムレツと炒め物の簡単な朝食を作った。
以前なら朝ごはんは抜くことが多かった。そんな俺でも最近はちゃんと3食食べている。1日1食や食べないといったこともざらにあった俺からみると実に健康的な生活だ。
そういや、とふと思った。
俺がこんなにちゃんと食べるようになったのはニコラに言われたからだ。「食べることは生きること」…それから、だな。ちゃんと食べてるのは。
ぼんやりしながら食べ終えて、俺はトランクに物を詰めることにした。
準備をしなければならないし、体を動かすことで一旦思考から逃げようとする考えもある。
出発まで1週間をきった世界ツアーは、まずヨーロッパから始まる。約1ヶ月行きっぱなしだ。そこからイタリアに戻ってきて、2週間後にアメリカへ。そこでまた3週間ほど。で、イタリアにまた戻ってきて次はアジア方面へ。そして最後がイタリア、という行程だ。全部で4ヶ月ほどをかける長い行程だ。ここからずっと忙しい日々が待っているだろう。
でも、これはlampflickerの夢だ。世界へ、を目標にやってきた俺たちにとってこのツアーは楽しみでしかない。
俺はトランクに服やら必要なものやらを放り込みながら気持ちが高揚してくるのを感じていた。
Tシャツ、ジーンズ、スウェット、パーカー、フォーマル系のやつも欲しいか…
「あー、もう寒くなるよな…なんか防寒着」
季節はもう秋の終わり。3週間もすればまともに冬に入る。ここからは体調を崩すわけにはいかない。
寒さなんかで風邪をひくなんてもっての他だ。
「確かマフラーがどっかに…」
クローゼットを漁ると、自分にしては綺麗に畳まれたマフラーが出てきた。
「あーこれだこれだ」
深いモスグリーンのそのマフラーは上質なカシミヤで出来ていて手触りが最高だ。
なぜこのマフラーが綺麗に畳まれていたのか。それはこのマフラーはニコラにもらったものだからだ。
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