バースデーソング

せんりお

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ヨーロッパから始まる世界ツアー。それはとても楽しいものだった。
最初に行ったのは隣接するフランス。初めて行ったその国は言葉こそわからないものの、街並みは美しいし、まさに芸術の国だった。本当に他国に俺たちのファンなんかいるのかとどこか疑っていた俺の不安は見事に取り払われ、熱狂的なファンがたくさん待っていてくれた。 





初日のライブを終えた夜。セルジオと俺は二人で祝杯をあげた。

「「かんぱーい!」」

同時にぐいっと酒を煽る。

「いやー今俺ほんとに感動してる」

セルジオが言う。俺もその言葉に深く頷いた。

「世界ツアーが出来るんだって今やっと実感した」

ほんとにな、とセルジオも頷く。
そこから俺たちの会話は自然と今日の反省会になった。世界に進出したはいいけれど、まだまだ直せなければならないところはたくさんある。

「2曲目の入りちょっと音外れたの悔しい。修正するわ」

「頼む。後、あの曲のサビ前はライブだしもうちょっとタメ作ってもいいかもな」

「あーいいかも。どうせならその曲のチハルのボーカル部分アカペラにするか?」

「俺のとこより、ハモりのとこは?」

こんな会話が延々続いた。気づけば一時間なんかとっくに過ぎていた。俺もセルジオもこうやって音楽について話してるのが楽しいのだから全く問題ないのだけれど。
ふと会話が途切れてグラスに口をつけた。散々話して渇いた喉を潤す。
隣で同じようにしていたセルジオがそういや、と切り出した。

「お前、ツアー前1週間くらいまた悩んでたろ」

確信を持った言い方。グラスを傾けていた形そのままでぴたっと固まる。

「…なんで!?」

なぜわかったのかと純粋に驚いた。確かに悩んでいたのはそうだが、今回はわかりやすく落ち込む案件ではなかったのに。

「長い付き合いだろー。お前のことはだいたい分かる」

セルジオがくいっとグラスを傾けて飲み干した。カランと高い音で氷が鳴る。そうしてこちらを向いたセルジオはにやっと笑った。

「他の人にはたぶんバレてないと思うぜ」

「…だったらなんでお前がわかるんだよ!他の人の俺への評価聞いたことあるか?ミステリアスだぞ!」

「俺にとってはお前はわかりやすいだだ漏れ野郎だな」

ますます得意気ににやつくセルジオ。なんか腹が立って軽く肘鉄を食らわせた。
大袈裟にぐおっと痛がって見せながらもなおセルジオはにやにやして言う。

「どーれ、お兄さんに話してごらん?坊やは何で悩んでいるの?」

じとっとした目で俺は今度は割りと本気で手刀を叩き込んだ。





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