紫音の少女

柊 潤一

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ハウラの策謀

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 紫音たちが広間までやって来るとハウラが

「では、私はこれで失礼致します」

 そう言って足早に立ち去って行った。

 紫音はその後ろ姿をじっと見詰めていたが

「どうかされましたか?」 

 というゼルダ王子の言葉に

「いえ、では行きましょう」 

 と言って歩きだした。

 城からエリカの家へ帰る道すがら紫音とゼルダ王は、シュリ婆の存在を忘れた様に楽しそうに話していた。

 紫音が笑うとゼルダ王子は微笑み、ゼルダ王子が笑い声をあげると、紫音はその顔をにこやかに見詰めていた。

 シュリ婆はそんな二人を終始暖かい目で見ていたが、ふと不吉な影を見たように眉を曇らせ、そしてそれを振り払うかのようにかぶりを振った。 

 やがてエリカの家に着き、エリカの出迎えを受けながら

「お腹が空いたぞえ」

 とシュリ婆が言うと

「はいはい、ちゃんと用意してますよ」

 と言いながらゼルダ王子を見て

「あら、お客様?もう一人分用意しないといけないわね」

 と言いながら奥に入りかけたが、エリカはふと立ち止まり、そっと振り返ると、不思議そうにゼルダ王子をまじまじと見詰めてから、あっと声をあげ

「ま、まさかゼルダ王子様?」

「そのまさかのゼルダです」

「えええ・・」

「いや、驚かせてすまぬ。実は城に病人がいてな、紫音殿に治してもらっているのだ。そして昼から又見て頂けるというのでこうして付いて来た。迷惑はかけないので、紫音殿の身体が空くまで待たせて頂きたい」

「そ、それは構いませぬが、王子様はお昼はまだでごさいましょう?」

「いや、お腹は空いておらぬ故、気にしないで頂きたい。城に帰れば・・・」

 そう言った言葉のすぐ後でゼルダ王子のお腹が、はっきりと聞こえる程になった

 一瞬の沈黙の後、ゼルダ王子を除いた三人の笑い声が部屋に響いた。

「いや、これは、何とも・・」

 エリカは笑いを堪えながら

「お口の合いますかどうかはわかりませんが。」

 そう言うと、堪え切れずにクククと笑い

「食べていってくださいな」 

 と尚も笑いながら奥へ入って行った。
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