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ボスを目指して
センタとあつしの思い
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センタの所にあつしと凪沙がやってきた。
「センタ、やったな。君の動きは最高だったよ」
「センタくん、すごいね」
センタはサエちゃんのことを考えていた。
仇討ちでいっぱいだった頭の中が、今はサエちゃんとの思い出が次々と浮かんできていた。
「センタ、大丈夫かい?」
浮かない顔をしているセンタにあつしがたずねた。
「うん、なんか虚しいな・・・」
「え?なぜだい?」
「だってさ、一番喜んでほしいサエちゃんはいないんやで」
「センタくん、それは違うよ」
泣きそうな顔をしているセンタに凪沙が言った。
「自分を見失っちゃダメだよ」
センタは凪沙を見て次の言葉を待った。
「センタが悲しいのは分かるよ。でも、サエちゃんが君に残していったものを無駄にしちゃダメだよ。サエちゃんは君に楽しい思い出をいっぱい残していってくれたじゃん」
「でも、そのせいでこんなに悲しいんやで」
「悲しいのは君だけじゃないでしょ?村長さんだって、同じ様に誰かを亡くした村の人だって」
「センタは、魔物を倒す力を持ってるんだから、村の人達のためにもその力を使わなきゃ。キミに村の平和を託していったサエちゃんが可哀想じゃない」
「あれっ?なんか落ちてるぞ」
その時に、魔物が消えていった地面を見たあつしがそう言い、それを拾った。
それは手のひらに乗るくらいの大きさの四角い箱で、表面には幾何学模様が施されていて、真ん中には何かをはめ込むような窪みがあった。
「それ、なに?」
凪沙が聞いた。
「僕にも分からない。でもきっと必要な物なんだろう」
あつしはそれをポケットに入れた。
「さて、もうお昼も近いけど、どうする?」
「そうねえ、私は家に帰るわ。昼から用事もあるし」
「じゃ、今日はこれまでにしようか。また明日の10時でいいかな?集まる場所は宿屋でいい?」
「いいけどさ、移動が面倒やん?ここから宿屋へ飛べるか試してめぇへん?もし、出来るんやったら、明日も宿屋からここへすぐ来れるやろうし」
「それいいね。一回やってみようか」
みんなは宿屋の部屋を思い浮かべた。
そして、三人とも宿屋の部屋に来ていた。
「お、上手くいったやん」
「これで、移動の時間が省けるな。それじゃ、また明日」
あつしはそう言って消えていった。
「凪沙さん、ありがとね」
「うん?なにが?」
「さっきさ、俺を元気づけてくれたやん?おれ、頑張るよ」
「そう?よかった。君は強いんだからさ、きっと魔王を倒せるよ。さっきもカッコよかったよ」
「そ、そう?」
「うん。それじゃわたし、帰るね」
凪沙はにっこり微笑んで、消えていった。
センタはしばらく部屋に残り、そして、消えた。
「うーん、やっぱりもっと力をつけないといけないな」
部屋に戻ったあつしは、弓を構えて引きながら呟いた。
小さい時から、一流企業の研究室にいる父親が説明してくれる化学の話を、ワクワクしながら聞いていたあつしは、当然物理学を目指すようになり、今は一流大学の理工学部入学に向けて勉強していた。
弓道を始めたのは、高校入学の時の部活勧誘で弓の実演を見てカッコよかったからだが、今までは気分転換程度にしか思っていなかった。
しかし、今は強くなりたかった。
難しい幾何学の問題を、脳みそが溶ける位に考え抜いてわかった時の快感もいいものだが、弓で正確に的を射抜いた時の気分もたまらない。
勉強で頭を鍛えるという事は、目の前にある困難を乗り越えて、自分が大きくなったという喜びを得るためのものだ、と言う父親の言葉はその通りだと思っていたが、体を使う弓でもそれが得られるなら、するべきだと思った。
まずは、今の十六キロの弓を百回引けるようになることだな。それから二十キロに変えて同じく百回だ。下半身が弱いから、スクワットもしなくちゃいけない。
あつしは、今までの勉強主体の一日のスケジュールに、弓の訓練を加えて作り直した。
「センタ、やったな。君の動きは最高だったよ」
「センタくん、すごいね」
センタはサエちゃんのことを考えていた。
仇討ちでいっぱいだった頭の中が、今はサエちゃんとの思い出が次々と浮かんできていた。
「センタ、大丈夫かい?」
浮かない顔をしているセンタにあつしがたずねた。
「うん、なんか虚しいな・・・」
「え?なぜだい?」
「だってさ、一番喜んでほしいサエちゃんはいないんやで」
「センタくん、それは違うよ」
泣きそうな顔をしているセンタに凪沙が言った。
「自分を見失っちゃダメだよ」
センタは凪沙を見て次の言葉を待った。
「センタが悲しいのは分かるよ。でも、サエちゃんが君に残していったものを無駄にしちゃダメだよ。サエちゃんは君に楽しい思い出をいっぱい残していってくれたじゃん」
「でも、そのせいでこんなに悲しいんやで」
「悲しいのは君だけじゃないでしょ?村長さんだって、同じ様に誰かを亡くした村の人だって」
「センタは、魔物を倒す力を持ってるんだから、村の人達のためにもその力を使わなきゃ。キミに村の平和を託していったサエちゃんが可哀想じゃない」
「あれっ?なんか落ちてるぞ」
その時に、魔物が消えていった地面を見たあつしがそう言い、それを拾った。
それは手のひらに乗るくらいの大きさの四角い箱で、表面には幾何学模様が施されていて、真ん中には何かをはめ込むような窪みがあった。
「それ、なに?」
凪沙が聞いた。
「僕にも分からない。でもきっと必要な物なんだろう」
あつしはそれをポケットに入れた。
「さて、もうお昼も近いけど、どうする?」
「そうねえ、私は家に帰るわ。昼から用事もあるし」
「じゃ、今日はこれまでにしようか。また明日の10時でいいかな?集まる場所は宿屋でいい?」
「いいけどさ、移動が面倒やん?ここから宿屋へ飛べるか試してめぇへん?もし、出来るんやったら、明日も宿屋からここへすぐ来れるやろうし」
「それいいね。一回やってみようか」
みんなは宿屋の部屋を思い浮かべた。
そして、三人とも宿屋の部屋に来ていた。
「お、上手くいったやん」
「これで、移動の時間が省けるな。それじゃ、また明日」
あつしはそう言って消えていった。
「凪沙さん、ありがとね」
「うん?なにが?」
「さっきさ、俺を元気づけてくれたやん?おれ、頑張るよ」
「そう?よかった。君は強いんだからさ、きっと魔王を倒せるよ。さっきもカッコよかったよ」
「そ、そう?」
「うん。それじゃわたし、帰るね」
凪沙はにっこり微笑んで、消えていった。
センタはしばらく部屋に残り、そして、消えた。
「うーん、やっぱりもっと力をつけないといけないな」
部屋に戻ったあつしは、弓を構えて引きながら呟いた。
小さい時から、一流企業の研究室にいる父親が説明してくれる化学の話を、ワクワクしながら聞いていたあつしは、当然物理学を目指すようになり、今は一流大学の理工学部入学に向けて勉強していた。
弓道を始めたのは、高校入学の時の部活勧誘で弓の実演を見てカッコよかったからだが、今までは気分転換程度にしか思っていなかった。
しかし、今は強くなりたかった。
難しい幾何学の問題を、脳みそが溶ける位に考え抜いてわかった時の快感もいいものだが、弓で正確に的を射抜いた時の気分もたまらない。
勉強で頭を鍛えるという事は、目の前にある困難を乗り越えて、自分が大きくなったという喜びを得るためのものだ、と言う父親の言葉はその通りだと思っていたが、体を使う弓でもそれが得られるなら、するべきだと思った。
まずは、今の十六キロの弓を百回引けるようになることだな。それから二十キロに変えて同じく百回だ。下半身が弱いから、スクワットもしなくちゃいけない。
あつしは、今までの勉強主体の一日のスケジュールに、弓の訓練を加えて作り直した。
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