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数日後。
どーん、どーんとお腹に響く音を聞きながら、少女は窓の外に目をやりました。
店の前を、青い浴衣姿の男の子が元気に駆けて行きます。
「白様、よかったのでしょうか? 灯火をあの子にあげて……」
燃え残った蝋燭と繋ぎ合わせた蝋燭を足しても五センチ。
もしかしたら、今度はあの子の両親がお客様として来るかもしれない――。
少女は男の子の後姿を見送りながら、そんなことを思います。
「よかったのか悪かったのか、それは私にもわかりません。ただ、おばあさんは満足そうでしたよ」
白猫が答えます。
「我が身よりも愛おしく大切な存在……人間って奥が深いですね」
「――貴女はその人間になりたくてここにいるのでしょう?」
白猫が愛おしげに……哀しげに、少女を見ます。
「そうですが……」
「なら、人間についてもっと学びなさい」
話はこれまで、と言うように白猫がファーと欠伸を一つ零しました。
「花火が終わったら、またお客様がいらっしゃいます。せいぜい精進して下さい」
白猫は複雑な思いを胸に押し込めるように、もう一度欠伸を零すと、ゆっくり目を閉じました。
「はい……そうですね。精進します」
最後の大輪を見終えた少女は姿勢を整えました。
チリリーン。
蝋燭が灯りました。
お客様がいらしたようです。
「いらっしゃいませ」
鈴の音の声が今日も静かに“命”を出迎えます。
~灯火屋さん(ともしびやさん)了~
どーん、どーんとお腹に響く音を聞きながら、少女は窓の外に目をやりました。
店の前を、青い浴衣姿の男の子が元気に駆けて行きます。
「白様、よかったのでしょうか? 灯火をあの子にあげて……」
燃え残った蝋燭と繋ぎ合わせた蝋燭を足しても五センチ。
もしかしたら、今度はあの子の両親がお客様として来るかもしれない――。
少女は男の子の後姿を見送りながら、そんなことを思います。
「よかったのか悪かったのか、それは私にもわかりません。ただ、おばあさんは満足そうでしたよ」
白猫が答えます。
「我が身よりも愛おしく大切な存在……人間って奥が深いですね」
「――貴女はその人間になりたくてここにいるのでしょう?」
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「そうですが……」
「なら、人間についてもっと学びなさい」
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「はい……そうですね。精進します」
最後の大輪を見終えた少女は姿勢を整えました。
チリリーン。
蝋燭が灯りました。
お客様がいらしたようです。
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鈴の音の声が今日も静かに“命”を出迎えます。
~灯火屋さん(ともしびやさん)了~
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