146 / 309
迷走編
24話【off duty】新條 浩平:「先生は綺麗なまんまだ」(新條編)①
しおりを挟む
楓さんには、知らないふりしといてっていわれたけど。そんなの、できるわけない。藍原先生が心配でたまらない。ものすごく悩んだけど、結局俺は、大橋たちが帰ったあと、藍原先生の部屋を訪ねてみた。
ピンポーン。
……反応がない。……俺になんか、会いたくないかな。1回で出なかったら、帰ろう。
10秒くらい待ったけど音沙汰ないから、引き返そうとしたとき。ぎい、と扉が開いた。藍原先生が立ってた。すっぴんで部屋着、肩にタオルをかけてる。
「……新條くん。朝からどうしたの?」
目をくりくりさせて、俺を見てる。シャワー、浴びてたみたいだ。ぱっと見は、いつもと全然変わらないけど。
「……先生」
先生が何もなかったように振舞うなら、俺もそれに合わせてさっさと帰ろうと思ってた。でも。本当に何もなかったようにしてる先生を見ると、急に、胸が苦しくなってきた。
「先生……ッ」
気がついたら、勝手に玄関に上がり込んで、小さな先生をぎゅっと抱きしめてた。
「し、新條くん……? どうしたの?」
先生、おろおろしてる。俺も大人になって、知らないふりをしてあげたほうがいいのかもしれない。でも、どうしてもできなかった。
「先生……っ、大丈夫か……? 辛かったよな、先生……!」
藍原先生の体が固くなった。
「ごめん……たまたま大橋たちに会って……」
「あ、あの……」
急に先生の態度がおかしくなる。俺は先生から体を離して戸惑っている先生の顔をじっと見つめた。
「先生、怪我とかはしてない? ふらふらしたりは?」
「え……と、あの……大丈夫、よ……」
答えとは裏腹に、みるみる先生の目に涙が沸いてきて、ぽろぽろと落ち始めた。
「ごっ、ごめんなさいっ、あたし、もう二度と会わないっていったのに、約束破ったあげくに、こんな……っ」
「何でこんなときまで謝るんだよ、先生は!? 全部聞いたよ、あいつに騙されたんだろ? 悪いのは全部あいつだろ!」
「でも、でも、あたし……っ」
「いわなくていいよ、全部わかってるから」
先生が激しく自分を責めてるのがわかった。どうしてかも、何となくわかった。先生は、自分は誰にでも感じちゃうエロい体なんだって、いってた。そういう体は、平気で誰とでもデキるような女が持てばいいのに、先生はそうじゃない。心と体が違いすぎて、先生は苦しんでるんだ。エロいのは、悪いことじゃないのに。
「……先生、俺にできること、ある?」
先生を助けてあげたいのに、どうすればいいのかわからないのがもどかしい。男の俺なんかには、そもそも助けられないのかもしれない。
「……ううん、大丈夫。本当に、大丈夫だから……」
そういって先生は体を離したけど。部屋着の間から、見えてしまった。乾かしたばかりの髪の毛の間に覗く首筋、ちょっとたわんだ上着の隙間から見える胸元。一部だけ不自然に、赤くなってる。
「……先生、ここ、どうしたの?」
触ろうとすると、ぱっと先生が体を引いた。
「な、何でもないの」
「何でもないわけないだろ。どうしたんだよ、これ……」
先生の腕を押さえて、髪の毛をよけてみた。赤いのは、首の両脇だけだ。擦れたみたいに赤くなってる。腕と一緒にずり上がったシャツから少しだけ見えたお腹も、ほんのり赤い。
「ねえ、これ……」
藍原先生が、観念したように抵抗をやめた。
「……どうしても、綺麗にならなくて……。元の体に、戻らないの。いやなの、自分の体が……もう、こんな体、いやなの……っ!」
また、先生がぽろぽろ泣き出した。……そうか、先生、シャワー浴びながら、自分で擦って……。
理解すると同時に、小山内への怒りとか、先生への愛しさとか、何もできなかった自分への憤りとか、もういろんな感情がごちゃ混ぜになって、俺はもう一度、壊れるくらい先生を抱きしめた。
「先生! 自分の体がイヤなんて、いうな! 先生は綺麗なまんまだ、なにされたって、どんなふうに反応したって、先生は綺麗なまんまだ! こんなに綺麗な人はいない、俺は今でも、先生のことも先生の体も大好きなんだからっ!」
ピンポーン。
……反応がない。……俺になんか、会いたくないかな。1回で出なかったら、帰ろう。
10秒くらい待ったけど音沙汰ないから、引き返そうとしたとき。ぎい、と扉が開いた。藍原先生が立ってた。すっぴんで部屋着、肩にタオルをかけてる。
「……新條くん。朝からどうしたの?」
目をくりくりさせて、俺を見てる。シャワー、浴びてたみたいだ。ぱっと見は、いつもと全然変わらないけど。
「……先生」
先生が何もなかったように振舞うなら、俺もそれに合わせてさっさと帰ろうと思ってた。でも。本当に何もなかったようにしてる先生を見ると、急に、胸が苦しくなってきた。
「先生……ッ」
気がついたら、勝手に玄関に上がり込んで、小さな先生をぎゅっと抱きしめてた。
「し、新條くん……? どうしたの?」
先生、おろおろしてる。俺も大人になって、知らないふりをしてあげたほうがいいのかもしれない。でも、どうしてもできなかった。
「先生……っ、大丈夫か……? 辛かったよな、先生……!」
藍原先生の体が固くなった。
「ごめん……たまたま大橋たちに会って……」
「あ、あの……」
急に先生の態度がおかしくなる。俺は先生から体を離して戸惑っている先生の顔をじっと見つめた。
「先生、怪我とかはしてない? ふらふらしたりは?」
「え……と、あの……大丈夫、よ……」
答えとは裏腹に、みるみる先生の目に涙が沸いてきて、ぽろぽろと落ち始めた。
「ごっ、ごめんなさいっ、あたし、もう二度と会わないっていったのに、約束破ったあげくに、こんな……っ」
「何でこんなときまで謝るんだよ、先生は!? 全部聞いたよ、あいつに騙されたんだろ? 悪いのは全部あいつだろ!」
「でも、でも、あたし……っ」
「いわなくていいよ、全部わかってるから」
先生が激しく自分を責めてるのがわかった。どうしてかも、何となくわかった。先生は、自分は誰にでも感じちゃうエロい体なんだって、いってた。そういう体は、平気で誰とでもデキるような女が持てばいいのに、先生はそうじゃない。心と体が違いすぎて、先生は苦しんでるんだ。エロいのは、悪いことじゃないのに。
「……先生、俺にできること、ある?」
先生を助けてあげたいのに、どうすればいいのかわからないのがもどかしい。男の俺なんかには、そもそも助けられないのかもしれない。
「……ううん、大丈夫。本当に、大丈夫だから……」
そういって先生は体を離したけど。部屋着の間から、見えてしまった。乾かしたばかりの髪の毛の間に覗く首筋、ちょっとたわんだ上着の隙間から見える胸元。一部だけ不自然に、赤くなってる。
「……先生、ここ、どうしたの?」
触ろうとすると、ぱっと先生が体を引いた。
「な、何でもないの」
「何でもないわけないだろ。どうしたんだよ、これ……」
先生の腕を押さえて、髪の毛をよけてみた。赤いのは、首の両脇だけだ。擦れたみたいに赤くなってる。腕と一緒にずり上がったシャツから少しだけ見えたお腹も、ほんのり赤い。
「ねえ、これ……」
藍原先生が、観念したように抵抗をやめた。
「……どうしても、綺麗にならなくて……。元の体に、戻らないの。いやなの、自分の体が……もう、こんな体、いやなの……っ!」
また、先生がぽろぽろ泣き出した。……そうか、先生、シャワー浴びながら、自分で擦って……。
理解すると同時に、小山内への怒りとか、先生への愛しさとか、何もできなかった自分への憤りとか、もういろんな感情がごちゃ混ぜになって、俺はもう一度、壊れるくらい先生を抱きしめた。
「先生! 自分の体がイヤなんて、いうな! 先生は綺麗なまんまだ、なにされたって、どんなふうに反応したって、先生は綺麗なまんまだ! こんなに綺麗な人はいない、俺は今でも、先生のことも先生の体も大好きなんだからっ!」
0
あなたにおすすめの小説
月弥総合病院
御月様(旧名 僕君☽☽︎)
キャラ文芸
月弥総合病院。極度の病院嫌いや完治が難しい疾患、診察、検査などの医療行為を拒否したり中々治療が進められない子を治療していく。
また、ここは凄腕の医師達が集まる病院。特にその中の計5人が圧倒的に遥か上回る実力を持ち、「白鳥」と呼ばれている。
(小児科のストーリー)医療に全然詳しく無いのでそれっぽく書いてます...!!
還暦の性 若い彼との恋愛模様
MisakiNonagase
恋愛
還暦を迎えた和子。保持する資格の更新講習で二十代後半の青年、健太に出会った。何気なくてLINE交換してメッセージをやりとりするうちに、胸が高鳴りはじめ、長年忘れていた恋心に花が咲く。
そんな還暦女性と二十代の青年の恋模様。
その後、結婚、そして永遠の別れまでを描いたストーリーです。
全7話
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
マッサージ
えぼりゅういち
恋愛
いつからか疎遠になっていた女友達が、ある日突然僕の家にやってきた。
背中のマッサージをするように言われ、大人しく従うものの、しばらく見ないうちにすっかり成長していたからだに触れて、興奮が止まらなくなってしまう。
僕たちはただの友達……。そう思いながらも、彼女の身体の感触が、冷静になることを許さない。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる