元・社畜とオーク ~コピースキルで【異世界行商】始めました~

たいよう一花

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04-2. 親切なオーク 2

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 オークは時折頷きながら、静かに聞いてくれた。茶化したり、話を遮ったりすることは一度もなく、真剣な表情で。
 そこで雪成は、包み隠さず全てを打ち明けるつもりになったのだが―― 一つだけ話せなかったことがある。
 神が授けてくれたらしい、コピー能力についてだ。
 そのことを話そうとすると、舌が凍り付いたようになり、どうしても言葉を紡ぐことができなくなった。秘匿ひとくする必要がある、と神が言っていたから、そのせいだろう。
 仕方なくコピー能力については省いて、話を続けた。オークは雪成が何度か言葉に詰まっても、気にする様子も見せずに静かに聞いてくれた。

 そうして彼に説明を続けるうち、雪成はだんだんと落ち着いてきた。
 ここがどこだか知らないが、異世界なのは明らかだ。もしかしたら知性的なオークの王国かもしれない。

(オークの王国……)

 別にダジャレを言ったつもりはなかったが、雪成は心の中でぷっと吹き出した。
 こんな異常な状態だというのに、なぜかリラックスしている自分が、不思議だった。きっとオークの穏やかな様子に、感化されたのだろう。冷静になるにつれ、現状を受け入れる余裕も出てくる。

(やっぱりこれ……いわゆる異世界転生?転移?の類いだよなぁ……お約束のトラックにかれたしなぁ……)

 クラス会に参加したら何らかの変化を得られるのではないかと期待した雪成だったが、変化し過ぎのこの現状に、驚きを通り越して呆れてしまう。
「こんな話、信じられないかと思いますが……」

 何があったか一通り話し終えた雪成ゆきなりは、チラリとオークに不安げな視線を送った。胡散臭うさんくさい話だと、不審者扱いされるのを恐れて。

(俺が逆の立場だったら、思いっきり疑う……。もしかしたら新手の詐欺かもしれないって……)

 しかし雪成のその不安に反して、オークはしっかりと頷きながら言った。

「俺はおまえの話を丸ごと信じる」

 聞きほれるほど心地良い、深みのある低音ボイスで、オークは続けた。

「俺を騙したところで何の利益もないし、疑う理由がない。だいいち、おまえの服装は珍しい。見たことのない仕立物だ」

 雪成はホッとして、肩の力を抜いた。

「これ、スーツって言うんです。俺のいた国のサラリーマンの、仕事服なんですよ」
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