元・社畜とオーク ~コピースキルで【異世界行商】始めました~

たいよう一花

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03-2. 出会い 2

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(もうだめだ、俺はこいつに殺されるんだ!)

 死を覚悟した雪成だったが――しかし、怪物は一向に襲ってこなかった。背をかがめて自分の手元を見つめている。

(あれ……?)

 よく見ると、オークは手に柄杓(ひしゃく)を持っていた――棍棒ではなく。

(え……柄杓? 柄杓で戦うオーク? いや無理だろ、何か殴ったら折れるぞ、あの柄杓。それともあれ、特別製なのか⁈ 木製に見えるとけど、実は違うのか⁈)

 雪成が柄杓を凝視していると、オークはそれを足元にそっと置いて、手を広げて言った。

「こ、怖くない……怖くない、ぞ。大丈夫」

(……え……?)

 雪成は耳をすませた。重低音の渋い声が、囁くように静かに、オークの口から発せられている。

「俺は、何もしない。おまえを、襲ったりしない。この柄杓は、畑の水やり途中で持ってきてしまっただけで、おまえをこれで殴ったりはしない。俺の外見は恐ろしいだろうが、無害だ。大丈夫、大丈夫……」

「あ……え……う……」

 恐怖が薄れていくのと同時に、気の抜けた驚きが胸に広がってゆく。
 雪成がなおも言葉を失っていると、オークは敵意が無いことを示すように、そっとその場に膝をついて、言った。

「おまえを驚かせるつもりはなかったんだ、悪かった。何か常とは違う、変わった気配がしたから、見に来ただけで……」

「……は、はあ……、そ、そ、そうなんですか……」

「ああ。それにしても、どうした、おまえ? こんな森の中で、一人で? 何か困っているんじゃないか? 手を貸そうか?」

 オークの意外な申し出に、雪成は呆気にとられた。

(え……このオーク……もしかして、いオーク? ……そうかも……。だいたいさっき、神様っぽいのが俺に幸運を授けたとか何とか、言ってたし……)

 ありがたい幸運付きで送り出されたのなら、いきなり怪物に襲われて終わるのはあり得ないだろう――そう気付いた雪成は、ひとまず胸をなでおろした。

「あの……その、俺にもよくわからないんです。なんでここにいるのか。突然、ここに放り出されて。あの……ここ、どこですか?」

 話の通じる親切なオークは、気の毒そうに雪成を見つめて言った。

「小屋で話を聞こう。すぐそこだ。どんな手助けができるかわからないが、俺でよければ力になる」
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