虹の月 貝殻の雲

たいよう一花

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Ⅱ 幽閉

31. 夜明け前の性急な繋がり(2)

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魔王は術を唱えて瞬時に寝室へと移動すると、寝台にそっとレイを下ろし、服を脱ぐ間も惜しんでその上に覆いかぶさった。
常とは違うその性急な態度に戸惑いながらも、レイは魔王の顔を注意深く観察した。寝台横の小卓に置かれた灯火が、疲れを色濃くにじませた魔王の顔を、ぼんやりと照らし出している。

「おい……魔王、あんた、目の下に隈が出来てるぞ……。寝てないんだろ。今夜は何もしないで、体を休めろよ。もうすぐ夜も明けてしまう」

「酷なことを言うな……おまえを抱かずにただ隣で眠るなど、私にとっては拷問に等しい。……だが、私を気遣ってくれて、嬉しく思うぞ、レイ……」

「んっ……。…んん……」

深く唇を合わせながら、魔王はレイの下衣の中に手を滑りこませた。

「んっ……! ふ、ぁ……ま、待て、魔王……話が……ある……」

「後で聞く。レイ、今は黙って、私にその身を預けてくれ」

魔王はレイの下衣を下着ごと一気に引き下ろすと、股の間に顔をうずめた。

「んうっ……!」

(何だ……? 何を焦っているんだ? この男は……)

いきなり口に含まれ、レイは困惑に眉をひそめた。
とろけるような長い口付けも、丹念な愛撫もなく、しつこいほど囁いてくる愛の言葉もない。
それどころか服も身に着けたまま――いつものように、肌を直接触れ合わせることもなく、魔王は既にいきり勃たっている局部だけを、下衣の合わせ目から突き出していた。
その様子が、レイの不安をそそる。

「魔王……どうしたんだよ……? ……くっ、ぅあっ!」

魔王は潤滑剤で濡れた指で、性急にレイの後ろを解し始めた。

「ぅうっ! ぁぐっ……! っ……やめてくれ!」

「すまない……レイ。少しの間、辛抱してくれ……」

魔王は許しを請いながら、片手で<主根>をこすり上げ、まだ準備の整っていないレイの後ろにそれをあてがった。
ひゅっ、とレイが息を呑む。

「まっ、待て! 待ってくれ……まだ、無理だっ……魔王!」

「ああ……そうだな……まだ無理だ……」

魔王は息を荒げ、<主根>の先端部分をレイの秘所にあてがったまま、自身を激しくしごいている。何度も継ぎ足された潤滑剤が、魔王の先走りと混ざり、グチュグチュといやらしい音を立てる。
そのまま外で出すつもりかとレイは思ったが、魔王は絶頂を迎える手前で摩擦をやめ、レイの腰を持ち上げた。

「あっ……! ……ぅうっ、ぐっ……!」

レイが痛みに呻いた。
固い蕾をこじ開けるように、いきり勃った逸物が、侵入してくる。
連日の結合で、レイの後ろは魔王の大きさに慣れてきてはいたが、こんな風に心身ともに準備不足なまま受け入れるほどの余裕は、まだない。

「痛っ……! ううっ……ああっ! やっ、やめてくれ、魔王!」

涙声の懇願にも耳を貸さず、魔王はその身を半分ほどレイの中に沈めると、無情にもすぐに動き出した。

「ああっ! あっ! やっ、やめろ……いやだ! 痛っ、痛い!……魔王! ああああっ!」

「すまない、レイ……すまない。すぐに……終わる。……辛抱してくれ……」
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