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第十七章 神殿のテルマリウム4(皇子ルート)
161.椅子取りゲーム理論
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いやいや、そうじゃ無い。そうそう、俺の手が彼女の胸の前でクロスする件についてだ。
一般的に考えて、人間の両腕を広げた時の長さはおよそその身長と同じであると推測される。となると、俺の両腕を広げた長さはおよそ170cmぐらいだろう。
次に彼女だ。もちろん実測した訳では無いけど、恐らくDからEカップと予想される彼女の胸囲は、脅威の90cm前後であると予想される。……あぁ、山田君、一枚持ってって。
ただし、女性の胸囲については、残念ながら彼女の両腕の外周の長さは加味されていない。どうすれば良い? どうすれば良いんだ? 仕方が無い。例えば、彼女の二の腕の直径を8cmと仮定してみよう。そうすると、その外周はおよそ3.14倍の25cm前後となる。多少誤差はあるにせよ、先ほどの彼女の胸囲と予想される90cmに、25cmを二本分加算してみよう。その結果、おおよその彼女の腕を含む外周の長さは140cm~150cmであると推測されるのだ。
さぁ、ここからが佳境だ。俺の両腕を広げた長さ170cmに対して、彼女の外周が145cmと考えた場合、おおよそ25cmが彼女の胸の前でクロスする事になる訳だ。例えば、俺の手のひらの長さが凡そ20cmとした場合、手首までを含む25cm部分がちょうど重なる事になる。
これはマズいっ! 非常にマズい!
どうマズいかと言うと、例えば椅子取りゲームを思い出して欲しい。曲が鳴っている間は椅子の周りを歩いていて、音楽が鳴りやむと一番手近な椅子に座ると言う今世紀最大のどうでも良いゲームだ。小学校の時に『お遊戯会』なんかで稀にヤラされる事があったけど、まぁ盛り上がるのは小学校まで……と言う所だろう。だがしかーしっ! 齢二十年を重ね、大学生になった時にコンパでこれをやると、めちゃめちゃ盛り上がると言う事をご存じだろうか?
はぁぁ、これだから『新歓コンパで緊張しまくって、自己紹介で方言丸出しでドン引きされた事がある』童貞諸氏は御し難い。
ポイントは、男性と女性が交互に並ぶと言う事さ。当然自分の前後にいるのは女子と言う事になる訳だけども、と言う事は、必然的に一つの椅子を奪い合うのは前後の女子と言う事に他ならない。もちろんここで大人の男を演じ、座る直前に好みの女子に席を譲ると言う大技を繰り出す輩もいるだろう。しかしそれは『危険な掛け』だ。大方そんな事をしても翌日になったら大体忘れているし、場合によってはその場ですら『きもっ!』と言われるのが落ちだ。この大技は『キザでイケメン』な恋愛上級者しか使ってはいけない。しかし、往往にして女性経験の無い童貞が使用しようとして『ドツボ』に嵌っているのをこれまでに何度も目にして来ている。繰り返す。俺の話をまともに聞いている様な童貞諸氏は、軽く引くぐらいのテンションで、椅子取りゲームに真摯に向き合った方が、場も盛り上がる上に、自身へのリターンも大きくなる事請け合いである。
さて、既に勘の鋭い諸君はお気付きの事だろう。恐らく前後の女子も久しぶりの椅子取りゲームに、昔の記憶がよみかえっているはずさ。すると、童心に帰って意外と真剣に椅子を取りに行くものなのだよこれが。するってーと、場合によっては前後の女子と一緒に三人で一つの椅子を奪い合う事にっ! ……はうはうはう! あぁ、もうここから先はとても説明できない。賢明な読者の皆さんもR18規定ギリギリの範囲で想像を膨らませて欲しい。あぁ、間違っても違う所を膨らませちゃダメだぞっ! ちなみに、大学生なんて、そんな事しかして無いからな。あぁそうさ。そんなもんさ。あぁ悪かったな。
って、そんな事が言いたかった訳じゃなーいっ!
俺の手が彼女の胸の前で、25cmしか交差できない事が重要なんだよっ!
えぇ? ここまで来ても、話の本筋が見えないだって? はぁぁ、本当に君は『童貞』なのかい? 考えても見たまえ、彼女の胸の前で25cmしか手が重ならないとした場合、僕の右手と左手は、どっちの方の椅子を掴めば良いのか? と言う事さ。その時点でコンフリクトが発生してしまう事は周知の事実と言えるだろう。
大体、初めて背後から抱き締める時に、右手は右の椅子を、左手は左の椅子を掴むとする。すると、非常に収まりは良いとは言え、俺の両腕には多少の遊びが出来てしまう事になる。しかし、この遊びが曲者さ。本来の目的は彼女を『ぎゅーっ』と抱き絞める事が目的だったはずなのに、それを一旦我慢した上で、事前談合があったかの様に、それぞれの椅子をしっかり掴むと言うのは、まずもって本末転倒と言わざるを得ない。しかも、その様子を彼女に知られたとしたら? もう想像するだけでも末恐ろしい。何しろ完全に背後から、『ソレ』を目的に抱き着いた様に思われるって事だぞ! そんな事、ガラスの様に繊細な『童貞』の心が耐えられる訳が無いじゃないかっ! もう、その時点で完全にセクハラ野郎に成り下がりだ。これはあくまでも彼女の『愛くるしい』仕草に、思わず『辛抱たまらん』事になって、あくまでも、あくまでも愛情表現の一つとしての背後からの『ぎゅーっ』でなければならないはずだ。それを事前談合しておくなんて、もってのほかだ。完全に公正取引委員会から是正勧告を受ける事は間違い無しの事案発生だ。
となると、俺は精一杯両手を伸ばして、次の椅子を取りに行く事になる。しかしっ! さぁココが本題だ。結局俺は片側12.5cm、両方で25cmしか腕を超過させる事が出来ない。つまり、俺の右手は彼女の左の椅子には届かず、更に、俺の左手は彼女の右の椅子に届かないと言う、前代未聞の不祥事が発生する事となる。
「はうはうはう! どっ、どうすれば良いの? 教えてっ! ドラ〇もん!」
一般的に考えて、人間の両腕を広げた時の長さはおよそその身長と同じであると推測される。となると、俺の両腕を広げた長さはおよそ170cmぐらいだろう。
次に彼女だ。もちろん実測した訳では無いけど、恐らくDからEカップと予想される彼女の胸囲は、脅威の90cm前後であると予想される。……あぁ、山田君、一枚持ってって。
ただし、女性の胸囲については、残念ながら彼女の両腕の外周の長さは加味されていない。どうすれば良い? どうすれば良いんだ? 仕方が無い。例えば、彼女の二の腕の直径を8cmと仮定してみよう。そうすると、その外周はおよそ3.14倍の25cm前後となる。多少誤差はあるにせよ、先ほどの彼女の胸囲と予想される90cmに、25cmを二本分加算してみよう。その結果、おおよその彼女の腕を含む外周の長さは140cm~150cmであると推測されるのだ。
さぁ、ここからが佳境だ。俺の両腕を広げた長さ170cmに対して、彼女の外周が145cmと考えた場合、おおよそ25cmが彼女の胸の前でクロスする事になる訳だ。例えば、俺の手のひらの長さが凡そ20cmとした場合、手首までを含む25cm部分がちょうど重なる事になる。
これはマズいっ! 非常にマズい!
どうマズいかと言うと、例えば椅子取りゲームを思い出して欲しい。曲が鳴っている間は椅子の周りを歩いていて、音楽が鳴りやむと一番手近な椅子に座ると言う今世紀最大のどうでも良いゲームだ。小学校の時に『お遊戯会』なんかで稀にヤラされる事があったけど、まぁ盛り上がるのは小学校まで……と言う所だろう。だがしかーしっ! 齢二十年を重ね、大学生になった時にコンパでこれをやると、めちゃめちゃ盛り上がると言う事をご存じだろうか?
はぁぁ、これだから『新歓コンパで緊張しまくって、自己紹介で方言丸出しでドン引きされた事がある』童貞諸氏は御し難い。
ポイントは、男性と女性が交互に並ぶと言う事さ。当然自分の前後にいるのは女子と言う事になる訳だけども、と言う事は、必然的に一つの椅子を奪い合うのは前後の女子と言う事に他ならない。もちろんここで大人の男を演じ、座る直前に好みの女子に席を譲ると言う大技を繰り出す輩もいるだろう。しかしそれは『危険な掛け』だ。大方そんな事をしても翌日になったら大体忘れているし、場合によってはその場ですら『きもっ!』と言われるのが落ちだ。この大技は『キザでイケメン』な恋愛上級者しか使ってはいけない。しかし、往往にして女性経験の無い童貞が使用しようとして『ドツボ』に嵌っているのをこれまでに何度も目にして来ている。繰り返す。俺の話をまともに聞いている様な童貞諸氏は、軽く引くぐらいのテンションで、椅子取りゲームに真摯に向き合った方が、場も盛り上がる上に、自身へのリターンも大きくなる事請け合いである。
さて、既に勘の鋭い諸君はお気付きの事だろう。恐らく前後の女子も久しぶりの椅子取りゲームに、昔の記憶がよみかえっているはずさ。すると、童心に帰って意外と真剣に椅子を取りに行くものなのだよこれが。するってーと、場合によっては前後の女子と一緒に三人で一つの椅子を奪い合う事にっ! ……はうはうはう! あぁ、もうここから先はとても説明できない。賢明な読者の皆さんもR18規定ギリギリの範囲で想像を膨らませて欲しい。あぁ、間違っても違う所を膨らませちゃダメだぞっ! ちなみに、大学生なんて、そんな事しかして無いからな。あぁそうさ。そんなもんさ。あぁ悪かったな。
って、そんな事が言いたかった訳じゃなーいっ!
俺の手が彼女の胸の前で、25cmしか交差できない事が重要なんだよっ!
えぇ? ここまで来ても、話の本筋が見えないだって? はぁぁ、本当に君は『童貞』なのかい? 考えても見たまえ、彼女の胸の前で25cmしか手が重ならないとした場合、僕の右手と左手は、どっちの方の椅子を掴めば良いのか? と言う事さ。その時点でコンフリクトが発生してしまう事は周知の事実と言えるだろう。
大体、初めて背後から抱き締める時に、右手は右の椅子を、左手は左の椅子を掴むとする。すると、非常に収まりは良いとは言え、俺の両腕には多少の遊びが出来てしまう事になる。しかし、この遊びが曲者さ。本来の目的は彼女を『ぎゅーっ』と抱き絞める事が目的だったはずなのに、それを一旦我慢した上で、事前談合があったかの様に、それぞれの椅子をしっかり掴むと言うのは、まずもって本末転倒と言わざるを得ない。しかも、その様子を彼女に知られたとしたら? もう想像するだけでも末恐ろしい。何しろ完全に背後から、『ソレ』を目的に抱き着いた様に思われるって事だぞ! そんな事、ガラスの様に繊細な『童貞』の心が耐えられる訳が無いじゃないかっ! もう、その時点で完全にセクハラ野郎に成り下がりだ。これはあくまでも彼女の『愛くるしい』仕草に、思わず『辛抱たまらん』事になって、あくまでも、あくまでも愛情表現の一つとしての背後からの『ぎゅーっ』でなければならないはずだ。それを事前談合しておくなんて、もってのほかだ。完全に公正取引委員会から是正勧告を受ける事は間違い無しの事案発生だ。
となると、俺は精一杯両手を伸ばして、次の椅子を取りに行く事になる。しかしっ! さぁココが本題だ。結局俺は片側12.5cm、両方で25cmしか腕を超過させる事が出来ない。つまり、俺の右手は彼女の左の椅子には届かず、更に、俺の左手は彼女の右の椅子に届かないと言う、前代未聞の不祥事が発生する事となる。
「はうはうはう! どっ、どうすれば良いの? 教えてっ! ドラ〇もん!」
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