【R18】マッチングアプリで弊社社長とマッチングされました!?

玄野クロ(星屑灯)

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私の大切な人

お披露目パーティー_7

 「……で。なんでその女なのよ!」
「その女、とは?」
「私のほうがずっと長く勤めているのに! ずっと社長のことみてきたのに! 若い子なんかより、ずっとずっとイイ女なのに!」
「……イイ女は虐めじみたことはしないと思うが?」
「なんでよ! ずっと狙ってたのに! 本社からこっちに来てチャンスだと思ったのに! なんで私じゃないのよ!」
「こんなことを平気でする人間を、私が好きになるとでも思っているのか?」
「あんなにアピールしたのに! ずっと見てたのに! メッセージだっていっぱい送ったのに! アナタは私のことを見てくれなかった!」
「仕事のツールを私情で使うべきではない」
「だって! 知らないもん! 好きなのに……こんなに、好きなのに!」
「……君が好きなのは、きっと私ではなくこの会社の社長の肩書だろう」
「……っ……! ち、違うもん! 顔だって、好きだもん!」
「それならば、見た目と社長である私以外に、私のなにを知っているんだ?」
「そ、それは……。……う、うわぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 突然怒り始めた春川だったが、今度はさめざめと泣き始めその場に座り込んだ。取り巻きたちはどうしていいのかわからず、お互いの顔を見ながらキョロキョロするだけである。親に咎められて駄々をこねる小さな子供のように、春川は人目も気にせず声を出した。その異様な光景に、誰も口を挟もうとしない。藪をつついて蛇を出すように、今春川に声をかけたり手を差し出したら、厄介ごとに巻き込まれると、いちようにそう感じているのだろう。

「――社長! お待たせしまし……た……?」

 そんな中栞が連れてきたのは、支社のハルトを除く上層部と事務の人間だった。泣いている春川を見て、栞が一瞬止まる。

「……彼女たちを連れて行ってくれ。説明は後ほど私がする」
「……わかりました」

 上層部を除いた人間で春川たちを部屋の外へと連れていく。ハルトは急に連れてこられた上層部へ簡単に説明をしたあと、処遇を決めるのは後日にすることとして、今までの話を聞いたうえで上層部の判断も仰ごうと彼女たちと対面で話をする場を設けた。
 その結果、春川たちは妬みからゆあだけでなく他の社員を虐めたり迷惑をかけていることがわかり、謹慎処分となった。上層部からは多少の同情もあり初めは短いものだったが、続々と集まる非難の声にその期間は延び、結果想定よりも長いものとなった。途中不服に思った春川の家族や取り巻きたちの家族から問い合わせもあったが、すべて正直に隠すことなく話したところ、逆に謝られてからそれ以降同じ人間から連絡が来ることはなかった。
 謹慎が明け復帰した春川たちは、支店ではなく元居た本社へと異動となり、部署もある程度上層部の目が届く範囲での仕事となった。群れることなくバラバラの配属になり、それから一気に大人しくなって今は真面目に仕事をしているようだった。本質的に変わったのかどうかはわからないが、ひとまず解決したと言って良いだろう。

 ――そして、またしばらく経った日のこと。

「……本当に、このドレス着て帰っても良かったのかな?」
「もちろん。特注品の買い取りだからね。そのドレスはゆあのものだよ」

 宣言した通り、ゆあとハルトは披露宴を行っていた。まだ籍は入れていなかったが『早く花嫁姿が見たい』という両家両親の勢いに押され、先に結婚式と披露宴を行うことになった。披露宴が無事に終わったあとゆあはいったんワンピースに着替え、ハルトはタキシードのまま家路へと着いた。

 今日着ていたプリンセスラインのカラードレスは、淡い色の中にスパンコールと刺繍がきらめいて非常に綺麗だった。ドレスの雰囲気に合わせて、アップではなく敢えて下ろした髪型にしているが、よくマッチしていた。お互い忙しい時間の合間を縫って何度も何度も担当と打ち合わせをし、ひとまずは親族だけの形で式と披露宴を行っている。会社の人たちや友人を呼んでの披露宴は、また別日に行う予定だ。今日着た衣装は買い取り、別日の二度目の披露宴でも着ることが決まっている。

「こんなにきれいなドレスが着られるんなんて、夢を見てるみたい」
「夢じゃないさ。……本当にきれいだよ、ゆあ」
「あ、ありがとう……」

 普段とは違う装いに、ゆあは顔を赤くして俯く。家の中では場違いかもしれないが、それでもタキシードに身を包んだハルトは、いつも以上にカッコよく見え、まとう雰囲気も相まってどこか別人の雰囲気も感じる。

「疲れた?」
「少し。……でも、まだ大丈夫……っ」

 返事の途中でハルトがキスをした。

「ゆあが本当にお嫁さんになるんだもんね。僕は幸せだよ」
「……私も。ハルトさんと結婚できるなんて幸せ」

 お互い寄り添い、鼻と鼻をくっつける。至近距離で目と目が合い、微笑んでから顔を離した。

「ハルトさん、凄くタキシード似合ってる」
「ゆあのドレスも似合ってた。……着て帰ってこられないのは残念だったな」
「あの格好で出歩くのは難しいね。……でも、次も着られるし」
「次回用のドレスもあるしね」
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