【R18】童話の世界に異世界転移〜○○○なコトしてくれなきゃ帰れません!〜

玄野クロ(星屑灯)

文字の大きさ
26 / 63
ハイカブリ(同居人×女主/王子×女主/複数/媚薬/歪/二穴)

始まりの始まり_4

しおりを挟む

 継母の剥いてくれた林檎は、とても甘くて時々酸っぱくて美味しかった。ランスとシアは、『今まで自分達がどのように過ごしていたか』『普段フレリアは何をしていて、どんな女性だったか』を丁寧に教えてくれた。みんなで食べた継母お手製の夕食は、ほっぺたが落ちそうになるくらい、私の口にあっていた。
 ──とても、とてもとても、この世界は居心地が良い。まだ、来て一人も経っていないが、ノイはそう感じていた。
 目を覚ました時には気が付かなかったが、石鹸の良い匂いのするふかふかの布団と枕、綺麗に掃除されている部屋、種類分けして掛けられたクローゼットの中身、ピカピカに磨かれたドレッサーの鏡、どれもフレリアの丁寧な性格が現れている。きっと、素敵な女性なのだろう。

"……それにしても、あの結婚の約束、気になるのよね……"

 ランスとシアは、丁寧に説明をしてくれた、が、一番気になっていた部分については何も触れなかった。あの時、冗談めいた言い方ではあったし、シアしか聞いてはいない。重要そうな話ではなさそうだったから、特に話す必要はないと判断されたのだろうか。

"……聞いてみる?"

 シアは思い立つと、ゆっくりと部屋から出て行った。皆もう眠っているかもしれない。ゆっくりと、廊下を歩く。シアとランスの部屋は、明かりが点っていない。もう眠ったのかと思ったが、階段下から明かりが漏れていた。ハッキリはしないが何やら、話し声も聞こえる。

"……あれ、下にいるのかな?"

 床板が鳴らぬよう、注意を払って階段へと近付く。すると、話し声も少しずつ分かるようになってきた。この声はシアとランスだ。

「……しっかし、フレリアが記憶喪失か……」
「驚きましたね。何も覚えていないだなんて」
「まぁ、他に異常がないなら良いけどよ。あの王子さえ家に来なけりゃ……」
「……記憶がないことが分かってしまったら、都合の良い話を捏造して、連れて行きかねませんからね」
「だよなぁ。まぁ、渡さねぇけどよ」
「同感です。私達のフレリアですからね」
「だな。俺達のフレリアだ」

"俺達の……フレリア……?"

 二人の口から出た台詞にノイは驚いた。

「……そろそろ寝ますか」
「そうだな、明日もあの王子が来たら追い返さなきゃならねぇし」

"や……やばい……!"

 ノイは自分の部屋へと急いで戻った。それでも、足音を立てないことを忘れることなく。ゆっくりとドアを閉め、布団へと潜り込む。ドクドクと落ち着かない心臓を両手で押さえ、出来るだけ落ち着いた呼吸をした。

 コンコン──。

"えっあっ……寝てます寝てます……!"

 ギュッと目を瞑り、ドアへと背を向ける。

 ギィィ──。

「フレリア……」
「眠ってしまったかな?」

 ドアを開け、部屋に入ってきたのはランスとシアだった。

"寝てる……! 寝てるんです……!"

 バレないように、と、必死に祈る。今寝たフリをしているのだ、ここで寝たフリがバレてしまったら、何故そんなことをと思われるに違いない。
 止まったと思っていた足音がまた鳴る。音は一瞬遠ざかり、また近づいて来た。背中を向けていたからか、二人とも顔の向いている方へ来たようだった。

「今日は疲れたんだろ。ゆっくり寝かせてやろうぜ」
「そうですね。おやすみなさい、フレリア」
「おやすみフレリア」

 シアとランスはおやすみの挨拶を口にすると、交互にキスをした。──フレリアの唇に。

「私達も寝ましょう」
「そうだな」

 シアとランスは、フレリアの部屋を後にした。

"な……あああ……!? 口!? 口なの!?"

 思わぬ形で二人の放った【俺達のフレリア】の意味を理解したノイ。恐らく、間違ってはいないだろう。
 頭の中でグルグルと、二人のことを考えながら朝を迎えるのだった。
しおりを挟む
感想 9

あなたにおすすめの小説

【完結】異世界に転移しましたら、四人の夫に溺愛されることになりました(笑)

かのん
恋愛
 気が付けば、喧騒など全く聞こえない、鳥のさえずりが穏やかに聞こえる森にいました。  わぁ、こんな静かなところ初めて~なんて、のんびりしていたら、目の前に麗しの美形達が現れて・・・  これは、女性が少ない世界に転移した二十九歳独身女性が、あれよあれよという間に精霊の愛し子として囲われ、いつのまにか四人の男性と結婚し、あれよあれよという間に溺愛される物語。 あっさりめのお話です。それでもよろしければどうぞ! 本日だけ、二話更新。毎日朝10時に更新します。 完結しておりますので、安心してお読みください。

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

今夜は帰さない~憧れの騎士団長と濃厚な一夜を

澤谷弥(さわたに わたる)
恋愛
ラウニは騎士団で働く事務官である。 そんな彼女が仕事で第五騎士団団長であるオリベルの執務室を訪ねると、彼の姿はなかった。 だが隣の部屋からは、彼が苦しそうに呻いている声が聞こえてきた。 そんな彼を助けようと隣室へと続く扉を開けたラウニが目にしたのは――。

私が美女??美醜逆転世界に転移した私

恋愛
私の名前は如月美夕。 27才入浴剤のメーカーの商品開発室に勤める会社員。 私は都内で独り暮らし。 風邪を拗らせ自宅で寝ていたら異世界転移したらしい。 転移した世界は美醜逆転?? こんな地味な丸顔が絶世の美女。 私の好みど真ん中のイケメンが、醜男らしい。 このお話は転生した女性が優秀な宰相補佐官(醜男/イケメン)に囲い込まれるお話です。 ※ゆるゆるな設定です ※ご都合主義 ※感想欄はほとんど公開してます。

敗戦国の姫は、敵国将軍に掠奪される

clayclay
恋愛
架空の国アルバ国は、ブリタニア国に侵略され、国は壊滅状態となる。 状況を打破するため、アルバ国王は娘のソフィアに、ブリタニア国使者への「接待」を命じたが……。

獣のような男が入浴しているところに落っこちた結果

ひづき
BL
異界に落ちたら、獣のような男が入浴しているところだった。 そのまま美味しく頂かれて、流されるまま愛でられる。 2023/04/06 後日談追加

処理中です...