道楽草

十三岡繁

文字の大きさ
284 / 341

空気調和

しおりを挟む
 建築設計と言えば、関係者以外はひとくくりに考える人が多いと思いますが、実は専門分野が分かれています。世間一般で一番建築家や建築士と呼ばれる職業に近いものは意匠と呼ばれています。他に何があるのかと言えば大きく三つ。構造、設備、電気です。外構設計も一分野とすれば全部で五つですね。これに加えて家具などのインテリアを別に考える場合もありますし、設備は空調設備と給排水衛生設備に分ける場合もあります。
 
 各々の分野が何を専門とするのかは前にも書いたかもしれませんが、今ここで書きたいのは空調設備についてです。なんとなく冷暖房や換気についてかなというのは予想がつくと思いますが、空調が何の略称なのかについては勘違いしている人も多いのではないでしょうか? 空調は空気調和の略です。空気調整とか空気調節だと思っている人が結構多いんじゃないかと思います。

 改めて聞いてみると空気調和っていい言葉ですよね。制御してやろうというよりは、調和させようとしているんだから印象が柔らかいです。大学生の頃に使っていた教科書の名前は『空気調和論』でした。

 ここまでは良い話ですね。この先は嘆きです。

 住宅などの小規模建物の場合、これら細分化した分野は一人の設計者(多くは意匠設計者)が計画をすることが多いですが、ちょっと規模が大きくなるとそれぞれの専門家が集まってチームを作ります。社会と同じく設計内容もどんどん複雑化しているので、一人で全てを網羅することは不可能なんです。

 ただしそれぞれが専門的過ぎて、発注者と話をするときは通訳のような役目が必要だったりします。それも意匠設計者が請け負う事が多いんです。まとめ役でもあります。ただそうなると、『話したはずなのに……』とかクライアントからの苦情は全てまとめ役の意匠設計者に降りかかってきます。ただの通訳者であれば、文句を言われることもないでしょう。本来であれば不具合は通訳した先の設計者にあるわけですから……その責任は各設計者がとるべきだとの話もあって、大型の建物であれば構造一級建築士とか設備設計一級建築士という資格者もいるわけです。

 大きければいいですが、小規模だとそんな大それたチームは組めません。結局前述の通り、意匠設計者の責任になったりします。若い人には打たれ弱い人も多いと聞きます。昨今の建築士の減少は、ここのところも原因として結構あるんじゃないかと思います。仕事は面白かったとしても、報酬と責任を比較した場合、責任の方が異常に大きすぎると感じてしまうでしょうね。

 一級建築士の合格者数の内訳を見ると、実は建築設計をやっている人は1/3しかいません……全体としての合格者数も減ってますが(そもそも受験者数が減ってます)、制度的にもう難しいのかなという感じもしています。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

ちょっと大人な物語はこちらです

神崎 未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な短編物語集です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

あるフィギュアスケーターの性事情

蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。 しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。 何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。 この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。 そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。 この物語はフィクションです。 実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。

まなの秘密日記

到冠
大衆娯楽
胸の大きな〇学生の一日を描いた物語です。

上司、快楽に沈むまで

赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。 冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。 だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。 入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。 真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。 ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、 篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」 疲労で僅かに緩んだ榊の表情。 その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。 「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」 指先が榊のネクタイを掴む。 引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。 拒むことも、許すこともできないまま、 彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。 言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。 だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。 そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。 「俺、前から思ってたんです。  あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」 支配する側だったはずの男が、 支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。 上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。 秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。 快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。 ――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

処理中です...